切手は郵便物を配達してもらうために手紙に貼るものですが、使い回しを防ぐために消印(スタンプ)を押して未使用か使用済みかを判別できるようになっています。
消印が押された切手には、配達してもらう切手としての価値はありませんが、使用済みの場合でも価値があるという人がいます。
使用済み切手にはどのような使い道があるのでしょうか。
使用済みの切手には価値がある?
切手は世界中に熱狂的なコレクターがいる収集対象です。切手収集には、「王様の趣味」という異名もあるくらいです。
切手のコレクションにも様々なタイプがあります。まず、新規発行された未使用の切手のみを収集している人がいます。
新しい切手が発行される日付などの情報を前もって入手しておいて、郵便局で購入します。人気のあるデザインの切手は、購入者が朝早くから購入希望者が並ぶこともあるので、確実に手に入れられるとは限りません。
それでも、新規発行の切手は、これまでに発行済みの切手の入手に比べれば、まだそんなに難しくはありません。
世界で圧倒的に多く存在するのが使用済み切手のコレクターです。新しく発行されることがない切手で、希少価値がある切手には収集家が競って入手をしようとします。
このような収集家にとっては、使用済みの切手の山の中からお宝を探し当てることが最大の喜びなのです。
切手は世界中で使われており、日本国内の郵便物が海外に配達される場合には、日本の切手が海外にあることになります。
逆に海外からの郵便物が日本国内に配達される場合には、海外の切手が日本国内に存在することになります。
つまり、日本国内のみならず、海外も含めて、国際的に切手の流通は行われており、価値のある切手は内外を問わず高い値段で取引されているのです。
使用済み切手になぜ価値があるのか、という問いの答えは、使用済みの切手であってもお金を払ってでも手に入れたい、コレクションに加えたい、という人がいるからです。
つまり、需要と供給が成り立つマーケットが使用済み切手には存在しているから、ということになります。
使用済み切手の収集家にも色々な目的を持っている人がいます。例えば、投資の一環として使用済み切手を収集している人がいます。
将来的にもっと価値が上がるであろう切手をなるべく早く入手して、値上がり益を確保できたら売却する、というタイプです。収集家というよりも投資家ですね。
片や、風景や人物などのテーマに沿って、世界中、あるいは特定の国の切手を集めている人もいます。あるいは、とにかく珍しい切手だけを収集している人もいます。
このように、使用済み切手に価値を見出してコレクションしている人がいることで、使用済み切手にも使い道があるということになるのです。
どのように売却する?
それでは、使用済み切手はどのように収集家に売却されていくのでしょうか。まず使用済み切手は、どこにあるのでしょうか。
郵便局にある郵便物には未使用(正確に言うと配達される途中の、「使用中」の)の切手しかありません。切手が使用済みになるには、消印が押される必要があります。
郵便局で消印が押された押されたものは、物理的には配達前でも、切手の状態としては使用済みの切手としてもよいかもしれません。
どちらにしても配達されて初めて使用済み切手となります。皆さんは、配達された郵便物の切手をどのようにしていますか。
おそらく多くの人が切手を貼りっぱなしにした状態のまま、手紙を保管している人が多いのではないでしょうか。
この状態では、使用済み切手が流通市場に出回ることはなくなってしまいます。
そこで、日本全国の郵便局やユニセフなどのボランティア団体では、使用済み切手の回収を行っています。
切手回収ボックスを設置したり、小学校や幼稚園にも協力してもらい各家庭にある使用済み切手を持参してもらったり、またインターネットなどでの呼びかけも行っています。
これらの切手は数枚程度では価値がありませんが、枚数が多くなればなるほど価値が高くなります。
こうして集められた切手は、重さに応じて業者に引き取られていきます。ちなみに換金されたお金は寄附金などとして利用されていることが多いようです。
使用済み切手を大量に購入した業者は、使用済み切手を売る小売業者に販売します。小売段階では、どのような切手があるのかを詳しく調べて、希少な切手があるかどうかを判別します。
もちろん、使用済み切手の売買業者に価値がある切手を個別に持ち込んで売る人もいますが、大量の使用済み切手も最終的には小売業者の手元まで流通するのです。
また海外にも使用済みの切手を大量に買い取る業者がいます。
このような国際的な大手の買取業者は、各国の使用済み切手の小売店と強力なコネクションを有していて、珍しい切手などを入手しやすいと考えられています。
また、著名な切手収集家には、使用済み切手の販売業者側から、こんな珍しい切手が手に入りました、という情報がもたらされることがあるそうです。
特別なお客様には特別な商品を、という点は、美術品の売買に少し似ているかもしれません。
しかし、中には美術品のようなとんでもない価値をもつ切手もあるので、あながち間違っているとも言えないのではないでしょうか。
どのような切手に価値がある?見分け方は?
それでは、どのような使用済み切手には価値があるのでしょうか。発行枚数が少ない切手、珍しい切手(印刷ミスがあるなど)、デザインが美しい切手などにはプレミアムが付くことが考えられます。
このような観点で価値の有無を判断することが可能ですが、正確には信頼できる切手の販売業者に確認することをおすすめします。価値が高い主な切手を紹介します。
見返り美人
日本でも最も有名な高価な切手のひとつです。1948年に発行されたもので、菱川師宣という浮世絵師の名作、「見返り美人」が図案として描かれています。
図柄もさることながら、この見返り美人は日本で発行された切手の中で最も大きなサイズの切手でもあります。
発行部数は200万部とそれほど少ないわけではないのですが、それだけ人気が高かったために価格が上昇したものと考えられます。
1枚でも美品であれば1,500円前後はしますし、5枚セットのシートであれば10,000円前後の買取価格になります。海外でも人気の高い切手です。
明治天皇銀婚記念切手
明治天皇銀婚記念切手は日本で始めての記念切手です。明治天皇の結婚25周年を記念して1894年に発行されたものです。2銭切手と5銭切手の2種類があります。
5銭切手は2銭切手よりも発行枚数が少なく、希少価値は高いと考えられます。2銭切手の買取価格は3,000円くらい、5銭切手は5,000くらいとされています。
青島軍事切手
青島軍事切手は中国の青島郵便局から現地の部隊によって発行された軍用切手です。現存する実物が極端に少なく、幻の切手とも言われています。
この切手は、戦時中の切手であるため、粗悪品も多く、また非常に高い値段が付くとされていることから偽造品も出回っており、取り扱いが難しい切手です。
買取価格は未使用であれば150万円以上、使用済みのものでも80万円以上はするとされています。使用済み切手の中でも、最高ランクの切手です。
赤猿切手
中国の切手にも高価なものがあります。その代表が赤猿切手です。1980年に発行された切手ですが、1980年の干支が猿であったことから人気が集中しました。
また、猿のデザインも美しく、金色の猿の顔も高い人気の原因です。美品であれば1枚でも10万円以上、シートであれば数百万円以上の買取価格が付くと言われています。
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