夜中にカラスが鳴いていると、不気味に感じて少し怖くありませんか。

昼間に聞いてもカラスの鳴き声はうるさく感じますし、だったらいつ鳴けばいいんだ、とカラスに怒られてしまいそうです。

昔から真っ黒な体を持つカラスにはいろいろな言い伝えがありますが、そのほとんどが凶事に関することのようです。

カラスの鳴き声に関する言い伝えを紹介したうえで、カラスが夜中に鳴く本当の理由を説明します。

 


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カラスが鳴くのは地震の前兆?

 

 

日本人にとって「黒」はあまりイメージの良い色ではありません。例えば、黒星、黒幕、腹黒、など悪い言葉として使われることが多いのは事実です。

カラスも全身真っ黒で、「カーカー」「ガーガー」と鳴き声も美しいわけではないので、あまり良い印象はないのではないでしょうか。

実際にカラスに攻撃されたり、ベランダの花壇を滅茶苦茶にされたりした人もいるので、人間に迷惑をかける鳥と思われているかもしれません。

このように負のイメージを持たれているカラスが夜中に鳴くとどのようなことが起きると信じられているのでしょうか。

 

地震の前触れ

 

地震が発生する前に大勢のカラスが騒いで鳴く、と言われています。

実際に大きな地震が起きた時にカラスがいつもよりもうるさく鳴いていたという人もいるようですが、カラスには地震の予知能力でもあるのでしょうか。

残念ながら科学的にはカラスに、地震を予知する力があることは証明されていません

ナマズの地震予知能力は有名ですが、もしかしたらカラスにも同じように、不思議な力があるのかもしれません。

一概に否定することはできないのですが、地震が起きても空を飛び回れるカラスには、地震を予知しなければならない必要性はあまり感じられません。

また、他の鳥に関しては、あまり地震の時に騒いだという話を聞いたことがありません。

カラスにだけ感じられる地震波のようなものがあるのだとしたら、すでに科学的に解明されていてもおかしくありません。

しかし、日常生活においても小石や枝を利用するほど賢いと言われているカラスなので、地震予知のような神懸かった能力があるかもしれないと信じられても不思議ではないかもしれません。

単なる迷信と言ってしまうのは簡単ですが、もしかしたらカラスには不思議な力があるのかもしれないと思っていた方が夢があって良いかもしれません。

カラスが鳴く度にビクビクしているのは問題ですが、もしかしたら地震が来るかもしれないという心構えを持つことは、防災上は大切でしょう。
カラスの群れ

 

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災いが起こる兆し

 

地方によっては夜中にカラスが鳴くと身近な人が亡くなる前兆だとされて、夜中のカラスの鳴き声は忌み嫌われています。

しかし、カラスにそのような力があるわけもなく、単なる迷信と考えてよいでしょう。

夜中に聞くカラスの鳴き声は不気味ですし、近親者が亡くなった前日の夜にたまたまカラスが騒いでいたことと、近親者の死が頭の中で繋がってしまい、夜中にカラスが鳴くと身近に不幸が起きる、となっていったのだと思われます。

そもそもカラスが鳴いたから人が亡くなったわけではなく、お通夜の時間になってねぐらに帰るカラスがいるからカラスの鳴き声が聞こえるのです。

原因と結果の因果関係を逆にしてしまっていることの、一つの例かもしれません。

他にも事故や火事などの災いごとと、カラスの鳴き声を意図的に結び付けて、災いの兆しとされてきたのではないでしょうか。

共同体にはよくある考え方ですが、明快に科学的な根拠で説明することで責任を取らされたり苦痛を感じたりする人がいないように、他のよくわからない理由で事故が発生したとするために、カラスの鳴き声は利用されたのかもしれません。

カラスにとっては迷惑な話でしょう。

 

 

カラスが夜中に鳴く本当の目的

 

 

カラスには大きく分けてハシブトカラスとハシボソガラスの2種類がいます。ハシブトガラスは都市部に多く生息していて、「カーカー」と澄んだ声で鳴きます。

くちばしは太く額が盛り上がっていて、両足でぴょんぴょんと跳ねるように歩く様子に特徴があります。

一方、ハシボソガラスは主に農村部で多く見られる種類で、「ガーガー」と濁った声で鳴きます。

くちばしは細く、額は盛り上がってはいません。足を交互にのこのこと歩くのが特徴のカラスです。

カラスにとって鳴き声は最大のコミュニケーションの手段です。鳴き声にもいくつかの意味があるのです。意味が判明している鳴き声を紹介します。

 

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仲間に自分の縄張りを知らせる目的

 

目立つような場所で、短めに「カッ、カッ、カッ」と鳴くような場合には、他のカラスに対して、ここら辺は俺の縄張りだから近付くなよ、と警告をしている鳴き声だと言われています。

 

縄張り浸入への警戒

 

カラスは自分のテリトリーを侵すものに対して非常に警戒をする生き物です。自分の縄張りの中に浸入してくる生き物(カラス、猫、人間、など)に対して、「カッカッカッ」と、あっちへ行けとでも言うように、警戒の鳴き声を発します。
電線とカラス

 

警戒を超えた威嚇

 

警戒の鳴き声を発しても無視して近付く生き物に対しては、強く「ガァガァガァガァガァ」と連続して威嚇する鳴き方をします。威嚇の程度が高まると、鳴き方が早くなります。

ここから立ち去らないと攻撃するぞ、という合図でもありますので、このままだと実際に攻撃される可能性があります。

 

仲間を呼び寄せる

 

例えば、早朝のゴミ置き場などで「カーカーカー」と鳴いているのは、仲間を呼び寄せています。ご飯があるぞ、という意味で仲間に教えているのでしょう。

実は、カラスは早起きで夜中の0時から朝方の4時くらいには起きてしまいます。したがって、夜中に鳴くカラスというのも決して珍しくはないのです。

 

仲間に注意を促す

 

カラスがねぐらに近付いた時に大勢で「カァーカァー」と鳴くことがあります。

これは群れの仲間に「巣の近くに危険な生き物がいるぞ」というような、注意を促す鳴き方と考えられています。

 

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仲間との連絡

 

ねぐらから出ていく際に「カァ~、カァ~」とカラスはのんびりと間延びしたような鳴き声を出すことがあります。

この鳴き声には、一緒に目的地まで行動する相手(つがいの場合が多い)とはぐれないようにするという意味があります。

カラスは人を襲うことがあります。羽を広げると結構大きな鳥ですので、もし頭をくちばしでつつかれたら出血を伴う怪我をしてしまう可能性もあります。

カラスが人を襲う場合には、襲う前に必ずカラスの鳴き声が変わると言われています。上記で説明した威嚇から攻撃に移る合図なのでしょう。

カラスの鳴き声が、強く速く連続するように変わったら、注意してください。カラスが攻撃になるのは、子育ての期間です。

カラスの雛が近くにいるのに気付かずに、側を歩いてしまった場合などには、頭や顔を突かれてしまうかもしれません。

また、カラスの社会は人間以上に階級社会であると言われています。カラスを使った実験によると、ハシブトガラスの集団では、よく鳴く固体というものは決まっているそうです。

「カァ」とひと声だけ鳴くカラスはたくさんいますが、食べ物の存在を仲間に知らせるように「カァ、カァ、カァ」と鳴くのは、集団内でも強くて地位が高いカラスだそうです。

このようにカラスはカラスの事情で鳴いているだけで、人間側の事情には無頓着です。

人間にとっては身近であり、賢い行動をするカラスなので、夜中のカラスの鳴き声に何らかの意味を持たせようとすることになっていったのではないでしょうか。
カラス一羽