お盆の時期には実家に帰省して先祖のお墓参りをすることが、当たり前の習慣のようになっている人は多いのではないでしょうか。そもそも、なぜお盆にお墓参りをするのか考えたことはありますか。

お盆にお墓参りをする理由と、その際のお供えやマナー、お膳などについて説明します。

 

 

お盆にお墓参りの意味や由来は?いついく?

 


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日本人の習慣として根付いているお盆のお墓参りですが、どうしてこの時期にお墓参りをするようになったのでしょうか。

お盆にお墓参りをする理由

お盆とは、仏教における盂蘭盆会(うらぼんえ)を省略した言葉で、旧暦(太陰暦)の7月15日(または8月15日)に実施される夏の御霊祭のことを言います。現在では、毎年7月(あるいは8月)の13日から16日頃をお盆としている地域が多いようです。

釈尊(お釈迦様)の弟子である目連の母親が餓鬼道(仏教における六道のひとつで、飢えと渇きに苦しむ世界)に落とされたが、目連が釈尊の言葉に従い、お布施をして供養をしたら母親が救われた、という話にちなんで始められた行事がお盆です。

 

お盆の歴史

 

お盆の歴史は古く、斉明天皇の時代である657年に盂蘭盆会が開催されたという記録が残っています。その後、貴族や武士などの上流階級の人々にお盆は広まっていきましたが、まだ限られた人々の間で催される行事といった色合いが濃いものでした。

江戸時代になると、ろうそくや提灯を安価で大量に生産できるようになってきて、ようやく庶民にもお盆の習慣が広まるようになったのです。
綺麗に並んでいるお墓

お盆のしきたり

一般にお盆では、初日(7月、あるいは8月の13日頃)に先祖の霊をお墓(あるいは菩提寺)に行って出迎えることから始まります。地方によっては、火を灯した提灯で迎えに行ったり、お墓からの帰り道を明るく照らしたりするところもあります。これを迎え火と言います。

先祖の霊を迎える家では、仏壇や盆棚などに、お供え物を供えて迎えます。キュウリやナスで作った馬のような置物を目にしたことはないでしょうか。これは精霊馬(しょうりょううま)と呼ばれ、先祖の霊がこの馬に乗って行ったり来たりすると言われています。

個人の四十九日(忌)が終わってから、初めて迎えるお盆を新盆(にいぼん、又はあらぼん)と言います。新盆では、通常のお盆よりも手厚く故人の霊を迎えたいと思う人も多いでしょう。地域によっては、白地の提灯を用意するところもあるそうです。

お盆の期間中には、親戚の家などに先祖の霊を慰めるために集まることも多いでしょう。普段なかなか会えない人々に会うことができる貴重な時間をお盆は作り出してくれているのかもしれません。

 


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お盆が終わる最終日(7月、あるいは8月の16日が多いようです)には、今度は送り火を焚いて先祖の霊を見送ります。送り火の習慣も地方によって異なりますが、海や川にろうそくの火などを流す精霊送りを行うところもあります。

また、お盆の期間中に備えていたお供え物は、缶詰などの食品を除いては、基本的に捨てることになります。精霊馬に使われたキュウリやナスも食べることはなく、海や川に流すか、土に埋めることが多いようです。

ゴミとして捨てる場合には、塩で清めて白い紙に包んでから捨てるようにしましょう。そのまま生ごみとして捨てるようなことはしない方がよいでしょう。

 

お盆の役割とは

 

お盆には、なかなか会えない人々に会うことができる、という役割もあります。ご先祖様の霊に感謝をして、魂を慰めるという宗教的な意味も当然にありますが、人間関係が希薄になっていると言われる現代では、ますます貴重なイベントなのではないでしょうか。

生まれ育った土地を離れて都会で生活をしていると、田舎の親戚関係などを煩わしく感じてしまいがちです。また、日々の生活に追われるような状態では、故郷を思い出すことも少なくなってしまいます。

お盆にお墓参りに行かない人々も増えているようですが、お盆には古き良き人間関係を思い返すことができる力があります。お盆の帰省時期に合わせて、学生時代の同級生などが同窓会を開いてくれることも多いのではないでしょうか。

多くの会社では、お盆休みという夏季休暇制度を制定しているところもあります。生活スタイルや家族構成が変化したとは言え、日本人のDNAに深く刻み込まれた「お盆」という習慣は簡単にはなくなることがないでしょう。
”お供え物"

 

 

どのようなお供え物をすべき?

 

 

お盆のお供え物にはどのようなものが適しているのでしょうか。前述した精霊馬は有名なお供え物ですが、ご先祖様や故人が好きだったものであれば、何でも問題はないのでしょうか。

お供え物として一般的なものは、明かり、線香、お花あたりでしょう。砂糖菓子なども喜ばれます。また、故人の好物だった食べ物も良いかもしれません。ただし、殺生に通じる肉類や魚介類をお供え物にすることは避けた方が良いでしょう。

他には、旬のフルーツ、クッキーやおせんべいなどの日持ちのするお菓子、そうめんなどの乾麺、故人が好きだった飲み物、などもお供え物には適しているとされています。

 

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お金やお布施の金額は?

 

 

お盆に訪問する時にはお布施は必要なのでしょうか。また、いくらくらいのお布施を用意する必要があるのでしょうか。地方によってお布施の相場は異なりますし、故人とお坊さんとの関係の濃淡によっても金額は異なります。

普通のお盆の場合であれば、5,000円~20,000円くらいのお布施をお坊さんに渡すことが多いようです。遠方から家にお坊さんに来て頂くような場合には、車代として5,000円~10,000円くらいをお布施とは別に渡すこともあります。

新盆の場合には、法事・法要が執り行われる場合もありますので、30,000円~50,000円くらいのお布施が必要になると考えられます。なお、お布施はお金に限ったものではなく、食事やお土産をお布施としてお坊さんに渡す地域もあります。

また、お盆の際に親戚の家を訪問する場合の香典の相場はどのくらいなのでしょうか。香典も、その地域の習慣や故人との関係にもよりますので、一概には言えませんが、2,000円~5,000円くらいが普通のお盆の場合の香典の相場です。

普通のお盆では香典を辞退する人も多いようです。また、新盆の場合の香典の相場は、5,000円~10,000円くらいとされています。お布施も香典も、その地域の風習に詳しい人に確認をして準備をしておけば恥ずかしい思いをすることはないでしょう。
お盆の帰省列車

 

 

どのような服装にすべき?マナーの注意点は?

 

 

お盆の時期は真夏なので、できれば喪服などの正装は避けたいのが本音ではないでしょうか。お盆の服装は、一般的には平服で問題がありません。平服とは普段着のことではありません。

男性であれば落ち着いた色のスーツ、女性であれば地味なワンピースやスーツ、のような服装を言います。子どもの場合は制服や無地のブレザーやスカート、ワンピースなどが好ましいでしょう。

また、服装だけではなく、派手なアクセサリーや時計などもマナー違反になります。新盆の場合には法事・法要が営まれることが多いので、喪服などの正装で行事に参加されることをおすすめします。

ただし、地域によっては、平服ではなく普段着で参加するようになっているところもあります。どのような場合でも派手で目立つような出で立ちや立ち居振る舞いは避けるようにしましょう。

お布施や香典の場合と同じように、地域の風習に詳しい人に、どのような服装がふさわしいのか確認をしておくとよいでしょう。