スイカを思い浮かべてください。

 

夏の果物、緑の皮、赤い中身に黒い種。色々なことが連想されますよね。

 

では、どんな形をしていますか?

 

そう聞かれたら、ほとんどの方は球形を思い浮かべるのではないでしょうか。

ですが、実は四角い形をしたスイカが売られているということをご存知でしょうか。


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そう、サイコロと同じような形をしたスイカです。

 

今回の記事では、その四角いスイカについてお話をします。

 

どこで買うことができるのか、どんな味をしているのか、いったいいくらで買えるのかもあわせてご紹介します。

 

 

四角いスイカとはそもそも何?育てられ方は?

 
四角いスイカの画像写真
 

普通に育てられた品種は丸く育ちますが、四角いスイカとは一体どんなものなのでしょうか。

 

品種はそのまま、育てかたによって四角くなるのか、それとも四角くなる品種があるのか気になる方もいることでしょう。

 

ここでは、そんな四角いスイカについて紐解いていきます。

 

普通のスイカとは?

 

スイカとは、果実を食用にするために育てられたウリ科の一年草のことです。

 

主には植物自体ではなく、その果実のことをスイカと称することがほとんどです。

 

熱帯アフリカのサバンナ地方や砂漠地方が原産で、日本には室町時代以降に伝来してきたと言われています。

 

夏に球形や楕円形をした果実をつけ、果実的野菜に分類されています。

 

果実は一般的に緑色の外観に深緑色の縦縞が入ったものですが、薄緑色のものや黒に近い深緑色をしたものもあります。

 

日本では球形をしたものが多く流通していますが、欧米では楕円形のものが多く流通しています。

同じウリ科の果実的野菜に分類されるメロンと異なる点は、主に食用となる部分です。

 

メロンは主に甘く熟した果皮の部分を果肉として扱いますが、スイカは内側の薄い層しか甘く熟しないため、主に種子をつける胎座の部分が食用とされています。

 

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果皮自体も味がついており、キュウリを僅かに甘くしたような味がします。

 

ですが、生のまま果皮を食用として扱うことはそう多くはありません。

 

日本において、縦縞の模様が入った品種が広まったのは昭和初期頃と言われています。

 

それまでの品種は黒色の無地で「鉄かぶと」と呼ばれていました。

 

果肉の色は赤だけではなく黄色をしたものもありました。

 

現在流通しているものと比べると大玉の品種で糖度は11〜13度程度になります。

 

果実の中心部分や種子の周辺部分の果肉の糖度が最も高くなっていました。

 

スイカは水分の多い果実的野菜で90%以上が水分です。

 

様々な品種が流通していますが、一般的に果肉は赤色をしており、果肉は甘くて多汁のものです。

 

もともとスイカは乾燥地帯が原産であるため、野生動物が水分を目当てに果実を食べ、水分ごと種子を飲みこみます。

 

糞とともに種子を排泄することで、広い範囲に種子を蒔くことができます。

 

人間ももともとスイカの水分を目当てに栽培を行い、水分と同時に脂肪やタンパク質を含む種子も食用にするようになったと考えられています。

 

現在日本で改良されたスイカにはナトリウムやタンパク質はほとんど含まれていません。

 

ですが、アフリカ南部に広がるカラハリ砂漠に自生している野生の種類には1.19mgのナトリウムや8.7gのタンパク質が含まれています。

 

そのため、この地方に生えるスイカは砂漠での生活において貴重なミネラルや栄養素の供給源となっています。

 

四角いスイカとは?

 

四角いスイカとは、普段食べている品種と変わらないものを指しています。

 


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これは、日本の冷蔵庫事情による一種の取り組みによる変化でした。

日本は核家族化が進み、丸く大きいスイカを買ってしまうと食べ切るまで保存しておく冷蔵庫の容積が足りないという問題が出てきました。

 

もともと、家族の人数が少なくても日本には「おすそ分け」という文化があり、家族で食べきれない分は隣近所へ配ってしまうことが多々ありました。

 

ですが、今は近所付き合いが少ない家庭も多く、余った食材は食べ切るまで保存するか廃棄処分するかしかありませんでした。

 

丸い形のスイカは、その形態上直径と同じ広さを占有してしまいます。

 

また、唯一の生産場所である香川県善通寺市は、約50年ほど前からアイスの売上が大きくなってきました。

 

スイカの購入量が減った農家は、原因がスイカの保存が難しいことを挙げました。

 

そのために、冷蔵庫にしまい、保管しやすい形のスイカの開発が進められました。

 

約45年前に開発された四角いスイカは、今ではほとんど観賞用として出荷されています。

 

作り方は?

 

四角いスイカは善通寺市が特許を取得しているため、現在でも善通寺市でしか生産は行われていません。

 

成長途中でまだ直径が10cm程度のスイカをアクリル板や強化プラスチックでできたケースにはめます。

 

日光が十分に当たらなければ、綺麗な縞模様が浮かんでこないため、ケースは透明のものを使用します。

 

成長過程で丸くなるのを型枠で押さえるため、きれいな四角い形に成長し、適切な強度が保たれるように工夫を施しています。

 

もちろん、ケースはその後の成長を加味し、適切な大きさのものを選択しないといけません。

 

ケースの強度が弱すぎる場合は、スイカの成長に負け、ケースが割れてしまうこともあります。

 

強度は十分なものの、ケースがそのスイカの成長に対して小さすぎれば、成長によりスイカ自体が割れてしまうことも考えられます。

 

反対に大きすぎれば、きれいな四角い形にはならず、ディスプレイとしての出荷用には向きません。

 

実際、生産したうちの6〜7割程度しか出荷に適していないと言われています。

 

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実際の味や値段は?

 

 

現在、四角いスイカはディスプレイや観賞用に生産されています。

 

中にはそのスイカを食べた、という人もいることでしょう。

 

四角いスイカは、その珍しい形から海外にも出荷されており、お土産や贈答品として購入する人が多いです。

 

多くのスイカには、「このスイカは観賞用ですので、食べることはできません。」という旨の記載がされているそうです。

 

ですが、その記載に気付かなかったり、チャレンジャーは食べてしまうこともあります。

 

どんな味がするの?

 

もともとディスプレイ用に作られているスイカは、一辺が17.5cmというのが理想の大きさだとされています。

 

ですが、この時点ではスイカはまだ未熟で甘みが少なく、食用には適していません

 

切ってみると、果肉はまだ黄味がかっており、食べれないことはないものの値段に見合わないおいしさだと言われています。

 

一方、ディスプレイ用ではなく食用にするためには一辺を20cm程度まで育てる必要があります。

 

この頃になると、果肉は熟し、切った時にほとんどが赤色をしています。

 

もともと、普段の丸いスイカと同じ種類を使っているため、味は普通のスイカと変わらないと評する人が多いです。

 

ですが、ここまで育ってしまうと長期間の鑑賞には向かず、およそ1週間程で食べ切る必要があります。

いくらで買えるの?

 

四角いスイカは生産・流通するのに手間がかかっています。

 

熟する前の適切な時期に、適切な大きさのケースに入れ、適切な強度になるよう育てるという手間です。

 

また、現在善通寺市でも6農家しか作っておらず、生産量が少ないことはもちろん、出荷に適したスイカが限られてきますので、流通量はもっと少なくなります。

 

日本国内でもデパートなどのディスプレイ用に出荷されることがほとんどですので、価格も13,000円など1万円を超えます

 

中には2万円や3万円の値段がつけられたものもあります。

 

食用に適した丸いスイカは、この四角いスイカよりも大きいにも関わらず、2,000円〜3,000円ほどで買えますので、およそ10倍近い値段がつけられていますね。

 

海外ですと、流通の難しさなどからもう少し値段があがり、200$〜300$、日本円にするとおおよそ2万円から3万円の値段がつけられています。

海外からの評価も値段の割にまずい、と評する人が多くなっています。

 

 

まとめ

 

 

四角いスイカは、日本の住宅の冷蔵庫事情により開発が進められました。

 

アイスのように冷蔵庫にしまいやすく、場所をとらない形ということで四角いスイカが誕生しました。

 

ですが、大きく熟す前に成長を阻害してしまう四角いスイカは、どうしても甘みが出ないため、今ではディスプレイ・観賞用として流通しています。

 

手間がかかり、生産体制を整えるのが難しいため、日本国内でも普通のスイカのおよそ10倍程度の価格で売られています。

 

懐に余裕があり、チャレンジしてみたい方は、四角いスイカの味を試してみてもよいのではないでしょうか。

 

食べ方のおすすめとしては、スイカの中身を切り出しスイーツなどに加工し、四角い果皮は器として使うなどはいかがでしょうか。