みなさんはお弁当を作ることはありますか?もしかしたら普段職場で食べるのは自作のお弁当だったり、子どもの保育園がお弁当だったりするかもしれません。

ですが、夏のお弁当作りは少し慎重になりますよね。朝作ってから食べるまで時間が飽きます。もちろん、職場などに保冷庫があれば少しは安心できますが、ないところも多いことでしょう。

もしかしたら既に、お弁当箱を開けた時にむっと嫌なにおいがしたという経験がある方もいるかもしれません。大人はそのまま別のものを買うという手段がとれますが、子どもはそうもいきません。


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特に小さな子どもが傷んだお弁当を食べ、お腹を壊したり調子を崩したりすると重症化したり、あるいはもうお弁当を食べたくないと思うようになるかもしれません。

そこで今回は、夏のお弁当作りの不安が少しでも解消されるような対策方法をご紹介します。ぜひ参考にして今年の夏を乗り切ってください。

 

夏に起こる食中毒とは

 

 

夏場はなにによって食中毒が引き起こされるのでしょうか。食中毒は主に細菌によって引き起こされるものです。暖かく湿った気候を好みますので、夏場は大繁殖する季節です。

細菌は15℃~40℃の気温を好みます。特に35℃付近で最も活発化し、よく増殖します。夏場の気温は暑く、日中は30℃を超える日も少なくありません。

また、栄養がなければ繁殖しませんが、お弁当箱の中には人間の栄養がたっぷり詰まっています。それはもちろん最近にとってもご馳走そのものです。

そして、最後の条件は水、つまり湿気です。私たちみたいに口があるわけではありませんので、細菌は水に溶けた栄養素を取り込み繁殖します。お弁当箱の蓋を開けると裏側に水滴がついていませんか?

つまり夏場のお弁当箱の中は、細菌が繁殖するのに非常に優れた条件なのです。

腸管出血性大腸菌

聞いたことがある名前かも知れませんね。腸管出血性大腸菌とは、ベロ毒素と呼ばれるものを出す細菌です。O-157といえばピンとくる方もいるのではないでしょうか。

この菌による感染は3類感染症に指定されているため、診断した医師は即座に保健所に届出をします。

初めて発見されたのは1982年のアメリカでした。日本では1996年に爆発的な感染を引き起こしています。特に大阪府堺市では学校給食がO-157に汚染されていたことにより、10,000人を超える集団感染がありました。

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カンピロバクター

カンピロバクター症、あるいはキャンピロバクター症と呼ばれるこの細菌は日本では近年注目を集めている細菌です。もともとは家畜の腸内に生息し、下痢や流産などのリスク因子として知られていました。

しかし1970年代に人間にも感染するということが明らかになりました。感染者は毎年いるものの、日本国内では少なくとも1998年以降、死者は出ていません。

比較的冷たい温度に対し、耐性を持っているため過度な冷蔵・保冷の信頼は危険です。反面、熱には弱いため60℃、1分以上の加熱でほとんど不活化します。

また、重症化することは少ないですが、稀にギラン・バレー症候群という運動神経障害を引き起こすこともあり、ギラン・バレー症候群の原因菌ではないかとも言われています。

サルモネラ

厳密には、食中毒を起こすものはサルモネラ属菌と呼ばれます。鶏卵に付着していることが多く、健康な人間の体内においても常在細菌として微量検出されることがあります。

全卵や卵黄では60℃、3.5分の加熱で不活化します。卵白では55℃、3.5分で不活化します。ですが、砂糖や食塩を加えると耐熱性があがりますので、加熱時間は長めにします。

また、マヨネーズなどpH4.0の酸性の中でも生きることができます。そのまま中性に近づき、pH4.6以上で増殖を始めます。

夏にお弁当を作る際の注意点は?

では、まず夏場のお弁当を作る時に気をつけるべき点をいくつか紹介します。これを守れば必ず安心できるという訳ではありませんが、食中毒のリスクを減らすことができます。

お弁当を作る前に

食料品を買う時に、ついついメインのおかずから買っていませんか。例えばお肉やお魚はメインの食材になりがちで、スーパーでも端っこに位置することが多いですよね。

持ち歩いているその時にも、食材は劣化し菌は繁殖します。ですので持ち歩き時間を減らすためにも肉や魚、野菜などの生鮮食品は1番最後にかごに入れるように心がけましょう。

 

 

また古くなった食材の方が、既に食品内で菌が発生している危険性が高いです。ですので、消費期限や賞味期限、製造日などを確認してから購入する癖をつけておきましょう。

食材を持ち帰る時に、肉汁や魚などの水分がもれて他の食材につかないようポリ袋にいれましょう。その時に、氷や保冷剤を当てておけば菌の増殖スピードを抑えることが出来ます。

保存する時は

食品の保存方法を確認します。要冷蔵、要冷凍など温度管理が必要なものは、帰宅したらすぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れ、保管しましょう。

肉や魚から出る汁が他の食材に付くと、菌の繁殖を起こす恐れがあります。ポリ袋や密閉容器などに入れ、汁がかからないようにしましょう。

また、肉や魚、卵などに触れる時は、前後に必ず手指を洗いましょう。その時に、手に小さな傷などがないことを確認してください。その小さな傷から菌が入ることもあります。もし怪我をしているのなら、絆創膏などで保護してください。

温度管理にあたって、冷蔵庫や冷凍庫は決められた温度があります。冷蔵庫は10℃以下にし、食材を詰め込みすぎないようにしてください。詰め込むと、保冷能力が落ちます。

 


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また、空気の流れがあった方が良いので、同じ密閉容器でも四角いものより円柱形のものの方が隙間から風が流れますのでよりよいです。

冷凍庫は-15℃以下に保ちます。こちらは詰め込んでも他の食材が保冷剤となり冷凍効果が保たれるため、すかすかにするよりも効率がよくなります。

ですが、詰め込みすぎた冷凍庫は目当ての食材を見つけるのが大変です。長時間冷凍庫を開けると、室内の温度で冷凍庫内の温度が上がってしまいますので、注意してください。

調理の準備

まず、手をしっかり洗いましょう。可能でしたら、消毒用アルコールを使っても構いませんが、使いすぎると手荒れなどの原因になります。石けんで構いませんので、30秒程度洗いましょう。

野菜類を洗います。パックされていたりしても菌は繁殖します。袋から取り出したら、よく洗ってください。

肉、魚、卵は触る度に手をよく洗ってください。他の食材や調理器具に触れた時に菌がうつる可能性があります。

野菜を切るまな板・包丁と肉類を切るまな板・包丁は別のものを使いましょう。まな板は裏と表で使い分けても構いませんが、完全に別のものを使用した方がより安全です。

冷凍食品を解凍する時はなるべく自然解凍を避け、使う分を冷蔵庫や電子レンジで解凍しましょう。再冷凍は風味が落ちるだけではなく、解凍を繰り返す度に菌の発生リスクが上がります。

使用した調理器具はよく洗い、最後に熱湯をかけて殺菌しましょう。煮沸できる布巾などは煮沸した方がより安全です。

 

生ものは必ず火を通す

 

細菌はタンパク質が大好きです。つまり、より危険な食材は「肉類・魚・加工品・卵」ということになります。

ソーセージやベーコン、ハムは加熱しなくても食べることのできるものが売られていますよね。ですが、それも必ず1度火を通してください。

また、プチトマトやカマボコなどはお弁当に彩を添える食材ですが、あまり加熱する人はいないのではないでしょうか。菌はどの過程で付着し、どの食物についているかわかりません。ですので、こういった食材も必ず加熱してください。

 

お弁当箱に詰める時

 

暖かいものは必ず冷めてからお弁当箱に詰めましょう。暖かいものをそのまま入れてしまうと水蒸気が発生します。つまり、お弁当箱の中の湿度が上がる原因です。

ご飯は詰めたら蓋をずらしておくか、もしくは詰める前にどこかに広げて置くとよいでしょう。広げると空気と接する面積が増え、より早く冷ませます。早く冷ましたい場合は、うちわなどで扇ぐとよいですね。

また、ご飯は炊く時に少しだけお酢を混ぜておくと傷みにくくなります。

お弁当箱におかずを詰める際は、素手でやらずに清潔な菜箸で行いましょう。おにぎりもラップなどを使って直接手が触れないようにして握るといいです。

子どもがまだ小さければキャラ弁なんてものを作ることがあるかもしれません。ですが、キャラ弁は普通のお弁当に比べて素手で触る時間が圧倒的に長くなります。できれば夏の間はキャラ弁を辞めた方が無難でしょう。

 


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保冷剤は?

もちろん使った方がよいです。お弁当を作り終わったあとにしばらく当てておくと早く冷ますことができます。

また、お弁当をバッグに入れる際に上などに置いておくとなるべく冷やした状態で持ち運びできます。お弁当バッグが保冷バッグであればなおよいですね。

最近では抗菌シートなどが売られており、お弁当のご飯やおかずの上に置いておくだけで菌の繁殖を抑えてくれる優れものです。

 

 

痛みにくい食材・雑菌を防ぐ食材レシピは?

 

 

では、具体的にどんな食材が傷みにくいのでしょうか。また、合わせて雑菌を防ぐことのできるレシピもご紹介します。

生野菜は傷みやすく、水分もでますのでお弁当には不向きです。ですが、どうしても野菜を食べたい時もありますよね。

そんな時は野菜をピクルスやマリネにしてしまいましょう。お酢には抗菌効果があります。ですので、酢漬けにした野菜は傷みにくい食材といえます。ですが、水分はよく切ってから使ってくださいね。

シソ、つまり大葉も傷みにくい食材です。大葉だけ食べるということはほとんどないでしょうから、例えばお肉を大葉で包むというのはどうでしょうか。さらに梅干しなどを添えておくと抗菌効果もあがります。

茹でてしっかり火を通したササミを割き、梅肉を詰めます。それを大葉でくるっと巻けば、見た目にも涼しいササミの梅じそ巻です。半分の大きさに切りお弁当に詰めるといいですね。

また、味付けは濃くした方が痛みにくいです。根菜類は傷みやすい食材ですが、そんな時はきんぴらにしましょう。普段食べるときよりも濃い味にしておいた方がより安全です。

生姜は食べ物の腐敗を遅らせる効果があります。生姜焼きにすれば、食べ物の腐敗がゆっくりとなり、さらに冷めても美味しく食べられる食材ですのでオススメです。

また、食材を揚げるというのもいいですね。揚げることにより中まで火が通ります。ですが、コロッケだけは辞めておいた方がよいでしょう。じゃがいもは傷みやすいためです。

また、揚げ物にはソースやタルタルソースなどをかける方もいるでしょう。できる限り食べる直前にかけるようにした方がよいですので、小分けしたものを持っていきましょう。