魚は体に良く美味しいことからたくさん食べたいけれど、骨があるから食べにくいし面倒くさいと思っている人は多いのではないでしょうか。
また小さい骨だから大丈夫と骨ごと食べてしまったところ、喉に魚の骨が引っかかったり、刺さってしまい大変な思いをした人もいるかもしれません。
魚の骨が喉に刺さってしまった場合の対処方法について説明します。
魚の骨が喉に刺さった時の対策とは?
一番大切なのは、魚を食べる時には骨をきちんと抜くことです。小さな子供やお年寄りに魚を出す時には、十分注意して魚の骨を抜いておくようにしましょう。
しかし、気を付けていても魚の骨を抜き忘れてしまうことはありますし、実の中に隠れている細い骨には気が付かないこともあります。
魚の骨が喉に刺さってしまった時には、いくつかの対処法が言われていますが、その真偽も含めて、検討してみましょう。
唾を飲む
魚の骨が喉に刺さった時には慌てずにゆっくりと唾を飲み込みましょう。喉の手前に軽く刺さった小骨であれば、唾を飲み込むだけで外れることがあります。
食事を中断して、落ち着いて唾を飲み込んでみましょう。
うがいをする
魚の骨が刺さっている場所をイメージしながら、その場所を洗い流すように何回かうがいをすると骨が外れる場合があります。
但し、骨が深く刺さっているような場合に激しいうがいを繰り返すと出血がひどくなる場合があるので注意してください。
ご飯を丸呑みする
昔からよく言われている方法ですが、魚の骨が刺さった時にはご飯を丸呑みすると、ご飯が魚の骨を流してくれると言います。この話は本当なのでしょうか。
実は喉に魚の骨が刺さった時に絶対にやってはいけない方法が、このご飯の丸呑みです。たまたま上手くいくことがあるかもしれませんが、それは「たまたま」なのです。
この方法だとご飯が魚の骨をより深く押し込んでしまうこともあり、さらに喉を傷付けてしまう可能性があります。
なかなか骨が取れないからといって、何度もご飯を丸呑みすると骨が刺さった部分が喉の粘膜を傷つけて化膿させてしまう場合もあります。
そうなったらご飯を食べる度に激痛に苦しむことになるでしょう。ご飯の丸呑みは止めておきましょう。
酢を飲む
酢を薄めずにそのまま飲むと刺さった魚の骨は取れやすくなる、という噂があります。魚の骨が酢で柔らかくなるから、というのがその理由だそうですが、どうも眉唾です。
酢で魚の骨を溶かすには、どれくらい大量の酢を飲まなければいけないのでしょうか。骨が溶ける前に、酢の飲み過ぎで健康を損ねてしまうでしょう。
ピンセットで取る
確実に魚の骨を抜く方法は、ピンセットで骨を抜く、です。鏡で喉のどこに魚の骨が刺さっているのか確認できる場合には、ピンセットを使って骨を抜いてしまいましょう。
喉を傷付けないようにピンセットは先端が丸いものを使うようにしましょう。また、ばい菌が入らないように、きちんと消毒をすることも重要です。
ただし、ピンセットで骨を抜く時にきちんと抜けず、骨の一部が残ってしまったり、変形して抜くなくなってしまう場合もあります。
難しいと感じたら、魚の骨を無理に引き抜くことは止めておきましょう。状態をさらに悪化させてしまう危険性があります。
つぼを押す
足の内側のくるぶしの後ろの部分(正確には、くるぶしとアキレス腱の中間)には「太ケイ」というつぼ(経穴)があります。
喉の痛みには腎経という気の流れ道が関係していて、太ケイは腎経の大元のつぼとされています。
深呼吸しながら太ケイをゆっくり押してみると、魚の骨が取れる場合があるそうです。ただし、この方法は個人差がありますので、気を付ける必要があります。
放置する
果たして対処法と言って良いのかわかりませんが、魚の骨が喉に刺さった時にはそのままにしておくという方法もあります。
自然と魚の骨が抜けて違和感を感じなくなることはあり得るでしょう。しかし、どんな場合でも放置しておけばそのうちに抜けるわけではありません。
魚の骨が刺さっている状態は、本人にすれば痛みや違和感で不快で、仕事や勉強に支障をきたす可能性もあります。
ひどい場合には喉が腫れたり、出血してしまったり、放っておけるような状態ではない場合もあります。
どうしてもとれなかったら病院に行くべき?
様々な対処方法を紹介しましたが、これならば完璧と言われる方法はなかなかありません。たまたま上手くいくことはあるかもしれませんが、リスクを伴う方法が多いのが実際です。
一番確実な方法は病院でお医者さんに処置してもらうことでしょう。魚の骨が刺さったくらいで病院に行くのは恥ずかしいと思う人もいるかもしれません。
しかし、自分のお子さんの喉に魚の骨が刺さって泣き叫んでいるのを、そのままにしておける人はいないでしょう。
素人が魚の骨を抜こうとして、さらに状況を悪化させてしまうことは絶対に避けなければいけません。
たかが魚の骨などと思わずに、きちんと病院に行って処置してもらうことをおすすめします。次のような症状がある場合には、病院に行きましょう。
2日経っても症状が良くならない、痛みがひどくなってきて悪化している、熱が出ている、出血が止まらない、ものを飲み込むのに苦労する、呼吸が苦しい、などの場合には、精密検査を受ける必要があります。
口を大きく開けても魚の骨が見えない場合には、咽頭や食道の深い部分に骨が刺さっている可能性があります。
場合によっては、傷が大きく、感染症を起こしていて、気道を塞いでしまっている可能性も考えられます。
そのような場合には、CT検査で骨の位置を確認します。CT検査であれば、ほとんどのケースで魚の骨を発見することができるでしょう。
なお、レントゲン写真には映らないこともあるので注意しましょう。CT検査には魚の骨は映らないが痛みがひどいような場合もあるでしょう。
そのようなケースでは、内視鏡(咽頭ファイバー)による精密検査を行います。内視鏡を見ながら魚の骨を抜くこともできます。
また、非常に稀ですが、膿の状態がひどく、感染が強いような場合には手術が必要になることもあります。
あまり頻繁に起こるとは考えにくいのですが、魚の骨と侮っていると大変なことになってしまう可能性があることは忘れないでください。
魚の骨が喉に刺さった時には、病院の何科に行けば良いのでしょうか。
夕飯を食べている時に発生しやすい事故だと思われますので、既に一般外来の受付は終わってしまっている場合が多いのではないでしょうか。
ほとんどのケースで、時間外の救急外来を受診することになると思われます。もし、通常の受付時間に病院に行く場合には、耳鼻咽喉科に行くのが良いでしょう。
大き目の病院の耳鼻咽喉科であれば、CTスキャンもありますし、内視鏡などの設備も整っているでしょう。
魚の骨が喉に刺さって病院に行くのは、3人に1人が9歳以下の子供とのことです。子供は自分の症状を正確に医師に伝えることができない場合があります。
付き添っている大人が、どのようなものをいつ食べて、どのような痛みや違和感があるかをきちんと医師に伝えるようにしましょう。
前述したように、子供が食べる魚の骨はできるだけ大人が抜いてあげることが重要です。特に、アジ、サバ、サケ、サンマ、ウナギ、などは日常でも食卓に並びやすい魚です。
しかし、これらの魚の骨は刺さりやすいとされています。大人が十分注意してあげるようにしましょう。