天ぷらやとんかつなどの揚げ物に使った油は、何回か濾して使う場合もありますが、いつかは捨てなければいけません。
油を捨てる時にはどのような点に気を付けなければいけないのでしょうか。
油の捨て方はどうする?
食用油は液体なので、そのまま流しやトイレに流してしまおう、などと考えてはいけません。油が冷えると固まりますので、流しやトイレのU字パイプの曲がっている部分に油がこびりついてしまいます。
そうなったらパイプが詰まってしまい、掃除をするのが大変になってしまいます。仮に、油が流しからスムーズに流れたとしても、環境にとっては悪い影響を与えてしまうことになります。
食用油を排水溝を通じて外部に流出させることは環境破壊になりますので、厳に慎みましょう。
それでは、食用油はどのようにして捨てればよいのでしょうか。捨てる前に必ずやっておかなければならないことは、油の温度を十分に冷ましておくことです。
これからいくつかの油の捨て方を説明しますが、どの捨て方であっても、冷めた油を捨てることが大切です。
条件が重なってしまうと、場合によっては直射日光を長時間浴びたりして、油が自然発火して火災になることもあり得るのです。
凝固剤(固める)
一番手軽な方法は、油に凝固剤を入れて固めて、生ごみとしてごみ収集の日に出すことでしょう。
代表的な凝固剤は「固めるテンプル」という商品名で、1箱(10本入り)400円くらいで販売されています。
固まった油を新聞紙などに包んでビニール袋に入れると、捨てやすくなります。ただし、前述した通り、油の温度には注意が必要です。
手元に凝固剤がない場合には、代用品になるものがあると良いですよね。凝固剤の代用品としては、小麦粉や重曹などが考えられます。他にも片栗粉やパン粉などでも代用できるでしょう。
使用量は油の量とほぼ同じくらいが目安になります。これらの代用品は油がまだ温かいうちに油に溶かす必要があります。捨てる時には、十分に冷えていることを確認してください。
代用品の場合は、凝固剤のようにしっかりと固まるわけではなく、ドロッとした状態になりますが、凝固剤を使った場合と同様に、ごみ袋の口をきつく縛っておけば問題はないでしょう。
しかし、凝固剤の代用品を、捨てる油と同じ量だけ使うのはもったいないような気もします。特に油の量が多い時には不経済かもしれません。
代用品を使うのは、あくまでも凝固剤を切らしてしまった時に限っておいたほうがよいかもしれません。
牛乳パック(吸わせる)
不要になった油を捨てるのには牛乳パックを利用することができます。わざわざ道具や材料をそろえる必要はなく、手元にあるものを使えるので経済的で便利です。
まず飲み切った牛乳パックを用意します。牛乳パックに不要になった新聞紙を敷きます。丸めて入れておいても大丈夫です。
そこに油を注ぐように入れます。新聞紙に油が浸み込んでいくのがわかるでしょう。そこに少し水を加えます。
これは、油の自然発火を防ぐと同時に、気化熱(水分が蒸発するときに、温度を奪って下げる効果)を利用して油の温度が上昇するのを防止するためです。
この牛乳パックをガムテープなどでしっかりと縛って、ビニール袋に入れて燃えるごみとして出せば問題はありません。
自治体によってルールが異なっている場合もあり得ますが、一般的には、凝固剤で固めた油を捨てるのは生ごみ、牛乳パックを使って捨てるのは燃えるゴミ、で問題はないようです。
牛乳パックは「油を吸わせる」という方法で捨てる方法ですが、他にも「吸わせて」捨てる方法があります。
新聞を取っていない家庭も増えていて、手元に新聞がない人もいるかもしれません。その場合には、要らなくなった肌着などを使って油を染み込ませても良いでしょう。
細かく切って、牛乳パックに入れれば、新聞紙と同様に、油を捨てやすくなります。
他には、子供が大きくなって使わなくなったおむつも利用することができます。おむつは高分子で強い吸収力を持つ素材でできています。
不要な油をたくさん吸い込んでくれる便利な素材です。油を吸い込んだおむつは、しっかりと口を縛ったビニール袋に入れて、燃えるゴミとして捨てることができます。
ペットボトル(再利用)
自治体によっては、不要になった食用油を回収して、自動車の燃料などに再利用しているところがあります。
自治体によって、細部が異なっている場合はありますが、ペットボトルに油をそのまま入れて、決められた期日に回収してもらいます。
回収専用の缶に入れる自治体もあります。回収方法についてわからない場合には、自治体に確認しましょう。
また、自治体以外でも不要になった油を回収しているところがあります。例えば、スーパーのイオンやマックスバリュ、レストランのびっくりドンキーなどです。
不要になった油は捨てればただのゴミですが、再利用すれば資源になります。環境にも優しい再利用をすることができるのであれば、ぜひ使ってみましょう。
賞味期限切れでも未開封であれば使用できる?
食用油は、未使用のものであれば、どのくらい前のものでも使うことができるのでしょうか。
油は種類によって賞味期限が異なっています。サラダ油の場合は、1年から2年くらいですが、プラスチック容器や透明なガラス容器などは1年から1年半と少し短くなっています。
金属缶の油は2年くらいはもつとされています。ごま油の場合は、サラダ油よりも半年くらい賞味期限が長くなります。
これはごま油に含まれる「ゴマリグナン」という物質のおかげで、酸化しにくくなっているからです。
オリーブオイルも、サラダ油と同様に、1年~2年くらいの賞味期限となっています。賞味期限を過ぎてしまった油を食べても問題はないのでしょうか。
賞味期限とは、その食品をおいしく食べられる期限のことなので、賞味期限を1日過ぎてしまった油を使って料理をしたから、すぐに健康被害が発生する、ということは、基本的にはありません。
ただし、保管状態が悪い場合には、その限りではありません。また、賞味期限は未開封の食品に対して意味がある期限なので、開封済みの食品はなるべく早く消費することをすすめます。
開封済みの油については、古くなると酸化が進み、環境にもよりますが、1週間ほどで使えなくなってしまう場合があります。
このような油で料理をするとお腹を壊したり、腹痛に苦しんだりする場合もあり得ます。油の匂いには気を付けて古くなった油は捨ててしまいましょう。
そもそも、油は何回くらい使うことができるのでしょうか。
天ぷらやとんかつの専門店では、毎日油を取り替えることも珍しくはないのでしょうが、一般の家庭では、揚げ物をする度に油を交換していたのでは、もったいないことになります。
通常は、3回くらいで新しい油に交換することが理想です。使用した油の中に食材のカスが残っているような場合には、油をきれいに濾して、次の料理に使うようにすれば良いでしょう。
油を濾す場合には油が熱いうちが良いとは言いますが、50度くらいに下がっても問題はありません。油が温かいうちは、状態がサラサラしてるので濾しやすくなっているのです。
通常は油濾し紙を使って油を奇麗にしますが、手元に油濾し紙が無いような時には、コーヒーフィルターが利用できます。
ただし、コーヒーを淹れる時のろ紙を使うと、ものすごく長い時間がかかってしまうので注意しましょう。