ついガムを飲み込んでしまって焦ったことはありませんか。
ガムを噛んでいても口の中でなくなってしまうことはないので、そのままガムを飲み込むとガムはどうなってしまうのでしょうか。
ガムを飲み込んでしまっても体に悪い影響はないのでしょうか。ガムを飲み込んでしまった場合の対処法と合わせて説明します。
ガムの成分とは?飲み込んでも平気?
ガムを誤って飲み込んでしまう場合もあるかもしれませんが、そもそもガムはどのような成分でできているのでしょうか。
ガムの主な成分
ガムは元々アメリカの先住民が噛んでいた食べ物に由来します。アメリカの先住民にはサポディラという木の樹脂を噛む習慣がありました。
この習慣をヨーロッパの人が真似るようになり、広まることでガムを噛むようになったのです。サポディラの木の樹脂にはチクルという成分が含まれています。
初めは、チクルに甘い味や良い香りを混ぜたものをガムとしていました。しかし、現在では別のものを使ってガムを作っています。
それはプラスチックの仲間である酢酸ビニール樹脂です。酢酸ビニール樹脂に、着色したり、香味料を混ぜたりしてガムを作っています。
ここで言うプラスチックは、熱可塑性(加熱で軟かくなり成形可能で、冷やせば固まる性質)という意味で使われていて、合成樹脂という意味のプラスチックではありません。
現在では、ガムの主な成分は天然樹脂を主原料としていて、場合によっては酢酸ビニルやポリイソブチレンなどの合成樹脂を加えています。
ガムに使われている酢酸ビニル樹脂は1912年にドイツで開発されました。無色透明で水には溶けず、味も臭いもしないものです。
日本では、食品衛生法の厳格な規格基準に基づいて製造されており、人体への安全はさまざまな試験により確認されています。
この酢酸ビニル樹脂は、柔らかくなって心地良い噛み心地をもたらすガムベースの原料となります。
酢酸ビニル樹脂は高分子の物質なので、人体の胃や腸の消化管内にある消化酵素でも分解されることはありません。したがって、体内に吸収されることもないのです。
もし、体内で分解されたとしても、酢酸ビニル樹脂は炭素と酸素と水素で構成されている有機化合物です。
体内で二酸化炭素と水に分解されることとなるので、危険性はないとされています。
以前は砂糖を使用しているガムも多かったので、虫歯になる危険性が言われていました。ガムを噛みすぎると虫歯になるだけでなく、太る可能性もありました。
現在では砂糖に変わる人口甘味料を使用しているガムも多く、虫歯や肥満の可能性については、言われることが少なくなっています。
ガムの効果
ガムにはさまざまな効果があります。まずはリラックス効果について説明しましょう。
ガムを噛むことで人間は緊張から開放されて、リラックスした気分で仕事や勉強に臨むことができるようになります。
自分の好きな味や香りを楽しみながらガムを噛むことで、快適な時間を過ごすことができるでしょう。
また、あごを上下に動かすことにより、あごの筋肉を鍛えることができます。
ボクサーや空手などの打撃系のスポーツをやっている人の中には、時間があればガムを噛んであごを強化している人もいます。
ガムは、種類によっては、虫歯予防にもなります。キシリトール入りのものや歯科医が推薦しているガムなどは、虫歯になりにくい成分が含まれています。
歯磨きと合わせて、このようなガムを噛むことで、虫歯を防ぐことができます。ガムを噛むことで唾液が分泌されるので、それもまた虫歯には効果があります。
唾液にはさらに口臭予防の効果もあります。ガムの香りとあいまって、お酒やニンニクの臭い消しにも最適かもしれません。
また、脳生理学者によると、ガムを噛むと思考力が上がるとされています。ガムを噛む動きで脳細胞が刺激されて、脳の発育が良くなるそうです。
飲み込んだガムはどうなるのか
分解もされず体内で吸収されることもないのであれば、飲み込んだガムはどうなってしまうのでしょうか。
答えは、そのまま「排出される」です。つまり、間違ってガムを飲み込んでしまっても、そのまま排出されるので、安心なのです。
ただし、本来は噛み終えたら口から吐き出すことを前提にしている食べ物なので、飲み込むことは止めておいたほうがよいでしょう。
また、ガムによっては飲み込まなくても食べ過ぎることで体に影響が出る場合があります。
それはキシリトール入りのガムです。
キシリトールは、低アルコールの一種で人口甘味料として使用されるものです。冷涼感があり、後味の切れもよいとされています。
正確に言うと、天然の甘味料にリン酸・水素カルシウムなどの化合物を加えたものがキシリトールです。
また、キシリトール入りのガムには、歯の再石灰化を増強する効果があると宣伝されています。
しかし、このような良い効果だけではなく、キシリトール入りのガムを食べ過ぎるとお腹がゆるくなってしまうという影響が出る場合があります。
どのくらいのキシリトール入りのガムを食べると下痢になってしまうのでしょうか。
個人差はありますが、大体20gから30g位のキシリトールを1日で摂取すると下痢の症状を引き起こすと言われています。
これはボトル入りの粒上のガムの場合だと、15個~23個くらいの量に相当します。
粒上のガム20個近くを1日で食べるのは一般的には大変なので、あまり気にすることはないと考えられます。
キシリトール入りのガムでお腹がゆるくなるかならないかの差は、その人が持つキシリトールの分解酵素の量の差によります。
日本人にはキシリトールを分解する酵素を持つ人が少ないと言われています。キシリトールの分解酵素を持つ人は、いくら食べても下痢の症状を起こすことがないそうです。
いくらキシリトール入りのガムでお腹がゆるくなることないとは言っても、常識の範囲内の量を食べることがおすすめです。
飲み込んでしまったらどうすればいい?
ガムを飲み込むことで体内で問題が生じることは本当にないのでしょうか。ガムを飲み込まないほうが良い最大の理由は、喉に詰まることを避けることにあります。
口の中で溶けることがないガムを大量に口に入れて、もし喉に詰まってしまったら命の危険が生じてしまう可能性も否定できません。
ガムベースは柔らかく粘着性も高いので、喉に詰まった時に取り出すことは簡単ではありません。
そのような場合にはチョコレートやポテトチップスを食べてガムを溶かしましょう。
チョコレートなどには油脂分が含まれています。この油脂分にはガムの酢酸ビニル樹脂を溶かす効果があります。できれば、チョコレートは溶かしながら食べると効果的です。
もし喉にガムが詰まっているような感じがしたら試してみましょう。しかし、この方法を試しても違和感が残るような場合には、病院で医者に診てもらいましょう。
前述した通り、ガムを飲み込んでも体内で分解・吸収されることはなく、そのまま胃から腸への移動して対外に排出されます。
したがって、もしガムを飲み込んでも何の心配も要りません。
ただし、真偽のほどはわかりませんが、一部の記事には酢酸ビニル樹脂には発がん性があるという話しが掲載されています。
ガムメーカーなどはこの噂を否定していますが、このような噂がある食べ物を喜んで飲み込もうとする人もいないのではないでしょうか。
やはり、喉に詰まらせて大事故になってしまうと大変なので、ガムは噛み終わったら紙に吐き出して、しっかりとくるんで、ゴミ箱に捨てるようにしましょう。