翌日に、人と会う予定がある時、特に取引先やデートのように大切な相手と会う予定がある時は、前日に食べるものを気にするという方は多いことでしょう。
にんにくは前日に食べるのを避けてしまう食品の代表ではないでしょうか。
にんにくを食べると、食べた直後はもちろん翌日までなにか臭うという経験をお持ちの方は少なくないでしょう。
むしろ、食べた直後より翌日の方がにんにく臭いと感じることもありますよね。
ですが、仕事上の付き合いであったりうっかりしていたりと、にんにくを食べてしまうことはないとは言いきれません。
にんにくは味のアクセントとして様々な料理で使用されているため、完全に避けるということは難しいです。
また、にんにくは古くから健康や美容によい食材ですので、習慣として食べている場合、大切な日の前日だけ避けるというのも違和感があるかもしれません。
今回の記事では、にんにくを食べてしまったあとにできる翌日までに臭いを抑える方法をご紹介します。
にんにくについて
にんにくは、学名を「Allium sativum」という、ヒガンバナ科ネギ属の多年草です
。
鱗茎つまり球根の部分を香辛料として用い、食材として利用されています。
肉の臭みを消す効果があり、食欲をそそる香味を料理自体につけてくれる作用があります。
香味野菜の代表的な食材であり、中国料理や韓国料理といったアジア料理はもちろん、イタリア料理やフランス料理などの西洋料理など多岐にわたって使用されます。
日本では、にんにくを使った料理の代表として餃子が挙げられます。
また香辛料として用いられていることも多く、焼肉のタレなどに入っていることも多いです。
他にもラーメンの具としてや香辛料としてトッピングされることもあり、珍しいものではありません。
にんにく単体として料理に使われることもあり、皮付きのまま丸ごと揚げたり焼いたりして提供されます。
にんにくを食べるメリット
アリシンという物質が、糖質の分解を促す効果があるとされています。
現在はまだ実験室レベルでの研究成果ですが、各種の薬理作用などの報告があがっており、栄養ドリンクや健康食品にもにんにくのエキスが使われています。
また、ビタミンB1を豊富に含んでいる豚肉は、にんにくと一緒に食べることで、ビタミンB1が吸収されやすくなるといわれています。
にんにくには無臭の成分であるスコルジニンを含んでいます。
このスコルジニンには、触れた物質を酸化させたり還元させる効果があります。
古来から民間伝承として、体組織を若返らせ新陳代謝を盛んにするといわれています。
それにより疲労回復の手助けをし、滋養強壮作用があるとされています。
他にもにんにくを摂取することにより、特に消化器管系の特定の癌の発生リスクを減少させる可能性が示唆されています。
これらの研究は、さまざまな種類のにんにくで量を変えて調査されています。
にんにくと癌の発生リスクについては、まだどのようなガンには確実に効果があるなどは明確にされていません。
ですがNATIONAL CANCER INSTITUTE(アメリカにある国立癌研究所)のファクトシートには癌に対する有効性が記載されています。
現状、にんにくは結腸癌や直腸癌の予防をすることができ、にんにくを習慣的に食べない人に比べリスク低下がほぼ確定しています。
また、にんにくには殺菌力があることでも知られています。
O157菌などの腸管出血性大腸菌に対して殺菌効果を示し、試験管やシャーレ上での実験や動物実験などでの効果が論文で発表されています。
にんにくを食べるデメリット
にんにくは強い口臭や体臭の原因となります。
また、人にもよりますが、赤血球を破壊することがあります。
さらににんにくは強烈な香りと辛味をもちます。
この刺激が強過ぎて胃壁などといった消化管を痛める場合があります。
過剰に摂取することによって胃腸障害を引きおこすこともありますので、食べ過ぎには注意が必要です。
ニンニクを食べるとなんで臭くなるの?原因は?
にんにくを食べると硫黄にも含まれている成分と同じ匂いがする腐敗臭を体内から発生させることになります。
にんにくの成分
にんにくにはアリインという成分が含まれています。
ですが、このアリイン自体は無臭です。
にんにくは調理過程などで細胞体が傷つけられると、アリインがにんにくに含まれるアリナーゼという酵素と反応します。
この反応で作られるのがアリシンという物質です。
それにより、にんにくはにおいが生じ始めます。
ですので、にんにくの片鱗のままではにおいはしません。
この現象はにんにくが外敵から身を守るための手段として獲得してきたものです。
虫や細菌などがにんにくに侵入したり、かじったりすると細胞が破壊され、アリシンが産生されます。
アリシンに抗菌・抗カビ作用があり、さらに独特のにおいをさせることで、虫などを遠ざけることができます。
アリシンは非常に変化しやすく時間が経過することで、アリシン自身も変化します。
それと共ににおいも変化していきます。
時間経過によるにんにくの臭い
にんにくの臭いは大きく分けて、口に残ったにんにくよる口臭と、体内に吸収された後に、体臭となるものです。
口臭の臭いはおよそ3時間であまりにおわなくなります。
しかし、体臭となるにんにくの臭いは短時間では消えてくれません。
また、先ほど口臭となるにんにく成分は3時間ほどで消えるとお話ししましたが、体臭は腸や肺にも関係してきます。
呼気、つまり吐き出す息は肺からくるものですので、肺のにおいが口臭として出てきます。
そのために、翌日も口臭としてにんにくの臭いが残ることがあるのです。
また、消化・吸収されたにんにくは、血液によって全身を巡ることになります。
代謝された後も臭いが消えるわけではありませんので、におい分子も全身を巡り、結果として全身からにんにくの臭いがすることになります。
もちろん、臭いは摂取した量や、その人の代謝といった条件でどのくらいの時間残っているのかは異なります。
一般的に約15時間は臭いが持続し、完全ににおわなくなるまでには48時間つまりまるまる2日程度はかかると言われています。
にんにくの臭いを早く消すコツ 6選
なかなかしつこいにんにくの臭いですが、どうしても翌日までに消しておきたいという方は少なくないことでしょう。
では、どうやればにんにくの臭いは早く消すことができるでしょうか。
代表的なコツを6つご紹介します。
なるべく早く対処する
にんにくが翌日以降もにおってしまう原因はアリルメチルスルフィドという物質です。
このアリルメチルスルフィドは、にんにくに含まれているアリインなどの物質がアリナーゼと反応することによりアリシンとなることで生まれていきます。
アリシンの一部はジアリルジスルフィドに変化します。
このジアリルジスルフィドは体内に入った後、グルタチオンと還元反応がおこり、アリルメルカプタンとなります。
このアリルメルカプタンがにんにくを摂取した直後の臭いの原因です。
その後、アリルメルカプタンは腸などで代謝され、メチルトランスフェラーゼとS-アデノシルメチオニンの作用により、アリルメチルスルフィドとなります。
このアリルメチルスルフィドは体内で代謝されず、体外に排出されるまでおよそ15時間以上におうことになります。
アリルメチルスルフィドはメタンに由来するスルフィド、つまり硫黄系の有機化合物です。
ですので、にんにくを摂取した後は、このアリルメチルスルフィドが腸から吸収されてしまう前に対処する必要があります。
アリルメチルスルフィドが腸から吸収され始めるのは、食後からだいたい1~2時間後と言われています。
それに間に合うように、遅くてもにんにくを口にしてから1時間以内に対処することで翌日のにんにく臭さを抑えることができます。
また、どうしても1時間以内に対処できないからと諦めてはいけません。
少しでも早く対処することで、未吸収のアリルメチルスルフィドを脱臭できる可能性は残っています。
翌日の臭いを意識した消臭を
にんにくには、直後から臭うにおいと、食後1~2時間頃から臭うにおいの2種類あります。
翌日の消臭のためには、食後1~2時間頃からのにおいを意識した消臭が大切です。
口臭スプレーやガムなどはその場の臭いを消すことはできますが、体臭としてにおってくるにおいは消すことができません。
乳製品を意識して摂取する
翌日のにおい対策としてあげられる代表的なものは、牛乳などの乳製品です。
チーズなど、固形の乳製品も効果はありますが、より強い効果を示すのは牛乳やヨーグルトといった液体の乳製品です。
乳製品はにおい成分を吸着し、脱臭してくれる効果があります。
アリルメチルスルフィドは、化学的に安定している物質で、化学変化による消臭に強い物質です。
ですので、消臭するよりもにおいのもとから絶ってしまう脱臭のほうがより強い効果があるといえるでしょう。
ポリフェノールを摂取する
さきほどにんにくは消臭することが難しいと説明しましたが、その中でも消臭効果があるとされているのがポリフェノールです。
ですが、すべてのポリフェノールがにんにくの臭いに対して有効というわけではありません。
以下に代表的なにんにくの臭い対策効果が確認されているものをご紹介します。
「ウーロン茶」は、ポリフェノール類の中でも、アリルメチルスルフィドに対する消臭効果が高いことがすでに確認されているものです。
また、ウーロン茶には利尿作用がありますので、臭いの原因物質を体外へ排出する働きも併せ持っており、より強い消臭・脱臭効果が期待できます。
また、排出させる効果がありますので、すでに吸収されているアリルメチルスルフィドに対しても効果が出ます。
「マテ茶」はお茶の種類の中でもアリルメチルスルフィドに対する消臭効果が一番高いことで知られています。
現在は、市販されているものもよく見かけることがありますが、まだウーロン茶などに比べると見つけづらいものです。
「紅茶」はポリフェノール多く含むお茶ですが、アリルメチルスルフィドを消す効果は薄いです。
しかし、紅茶はアリルメチルスルフィドの前駆体であるアリルメルカプタンに対する消臭効果が高いことが確認されています。
つまり、紅茶をアリルメルカプタンの状態で摂取しておくことにより、翌日の臭いを抑えることができます。
「リンゴ」はポリフェノールを含む食べ物です。
ですが、リンゴジュースにしてしまうと消臭効果が落ちるという研究結果がありますので、生のリンゴをとるようにしましょう。
レモンを含めた酸性のものと一緒に摂取することで、より強い消臭効果を示すと言われています。
長時間消臭効果が持続するものではありませんので、対処療法として考えておくとよいでしょう。
清潔を保つ
口臭や体臭というのは、なにもにんにくのみではないはずです。
元々のにおいににんにく臭さが追加され、より強い口臭・体臭として知覚されます。
また、体内に吸収されたあとのにんにくの臭い物質は、皮膚にある毛穴などから放出されます。
肌に老廃物や毛穴などに雑菌が多くつまっていると、放出時に雑菌などの働きにより臭いが強くなります。
もちろん、体を清潔にするだけではにんにくの臭いを消すことはできません。
ですが、にんにくが原因より口臭・体臭が強くなることを防ぐことはできます。
代謝をよくする
1度体内に吸収されたにおい物質を消臭・脱臭することは難しいです。
有効な手段は体外へと排出することです。
血液によって媒介される物質を排出するのは、主に汗と尿です。
カフェインが含まれる飲み物には、利尿作用があります。
ですがカフェインの摂りすぎは中毒症状を招くことにもなりますので、水などを飲んで尿の回数を増やすといいでしょう。
また、運動などをして汗をかくというのもよいです。
運動により代謝が高まりますので、より早くにおい物質を体外へ排出できます。
運動をする際は消化器への負担なども考慮し、食後2時間以降がよいです。
それまでは、利尿効果や脱臭効果がある飲み物を摂取しておきましょう。
まとめ
摂取した直後よりも、翌日のにおいが強いにんにくですが、正しく対処することでにおいを抑えることはできます。
一番いいのは、腸内で吸収されてしまう前に消臭してしまうことです。
腸で吸収されてしまったあとは、いち早くにおい物質を体外へと排出する方法をとることです。
健康によいにんにくですので、摂取を避けるよりもにおい対策をしてうまく摂取できるとよいですね。