夏はどうしても暑く、食欲がわかないという方は少なくはないでしょう。
そんな時は栄養価の高いものを摂るに限ります。
栄養価が高い夏の野菜といえば、ゴーヤーが挙げられます。
ですが、ゴーヤーには独特の苦味があり、大人でも苦手だという人は多いのではないでしょうか。
もちろんこの苦味が好きだという方もいるでしょう。
小さなお子さんがいる方は、少しでも食べてもらえるように苦みを取る工夫をされているかもしれません。
今回は、ゴーヤーの苦味取りのコツをご紹介します。
ゴーヤーとは
ゴーヤーとは正式名称ではなく、蔓茘枝(ツルレイシ)と呼ばれる、熟する前の果実を野菜として利用しているウリ科の植物のことです。
一般的にはツルレイシとは呼ばれず、ニガウリやゴーヤーとして呼ばれています。
ツルレイシというのは標準和名ですが、イボ状に覆われた果実の外皮と、完熟することで仮種皮が甘くなるというこの2つの性質がレイシ、つまりはライチに似ていることから名づけられました。
蔓になるレイシなので、ツルレイシというわけです。
また、ニガウリとも呼ばれているのは、果肉が苦いウリ科の植物であることが由来です。
ゴーヤーという呼び方はもともと沖縄県の方言です。
特に沖縄本島で使われている首里・那覇方言などで呼ばれているものが標準的に使われています。
特徴
蔓性の植物で、一年生の草木です。
成長すると長さは4m~5mにもなります。
果実は細長い形をしており、紡錘形の長さ20cm~50cmになります。
果肉を包む果皮は、無数の細かいイボで覆われています。
両端は尖っており、未成熟な状態つまり普段食べる状態では緑色です。
熟すると黄色くなり、柔らかくなります。
また、先端のほうから裂けるという特徴があります。
未熟な状態で収穫していても、常温で放置することで熟します。
完熟したゴーヤーの仮種皮は、赤いゼリー状になり甘みが出てきます。
これは腐敗ではありませんので食べることはできます。
ですが、歯ごたえなどの食感は失われています。
栽培方法
棒や網などを立てかけ、蔓を巻き付けるようにして栽培を行います。
梅雨以降の夏場で、日光が十分に当たり気温が高くなる場所で育てることができます。
雨が豊富な期間は露地でもよく育ちます。
病害虫に比較的強く、日光と気温と十分な水があれば、肥料や農薬などを使わなくても収穫することができ、家庭菜園としても適した植物です。
最近では、温暖化対策の一環として、グリーンカーテンとして栽培している方も多いことでしょう。
ゴーヤーの下処理や苦みを取るコツは?
ゴーヤーの苦みを取る方法はいくつかあります。
それほど難しい方法ではありませんので、向いている方法を試してみるとよいでしょう。
ゴーヤーの選び方
まずは、ゴーヤーを選んでみましょう。
ゴーヤーにはいくつか種類があります。
沖縄地域で昔から栽培されてきたゴーヤーの品種は、太く苦みが穏やかなものです。
一方、九州地方で栽培されてきているゴーヤーは細長く、苦みが強いという特徴があります。
色があまり濃くなく、サイズやイボが大きめのゴーヤーはあまり苦くありません。
反対に、濃い緑色をして、イボが小さく密度が高いものは苦みが強いです。
触ってみても、苦いもののほうが硬い傾向にあります。
薄くスライスする
よく聞くのは、ゴーヤーのワタを抜くという方法でしょう。
ですが、実はゴーヤーのワタには苦みは含まれていません。
それでも、見た目の観点からワタを抜いておきたい方は抜いておくとよいでしょう。
苦みを抑えたい方は、できるだけ薄くスライスするとよいです。
ですが、あまりにも薄すぎるとゴーヤーの食感が失われてしまいます。
おすすめは、2mm~3mmの厚さのスライスです。
この程度の厚さのスライスでは、食感をあまり損なうことがありません。
それに加えて、苦みを比較的感じにくい厚さですので、ぜひとも試してみてください。
きれいに薄くスライスしたいのであれば、スライサーなどを使うとよいでしょう。
下処理で苦みを抜く
下処理過程でも、苦みを抜く方法はあります。
塩を使い揉むことで、ゴーヤーの苦みを適度に抜くことができます。
ですが、あまり塩の量が多すぎると逆に苦みが強くなるということがありますので、ゴーヤー1本に対し塩は小さじ1/2程度がよいでしょう。
また、その塩もみの過程で砂糖を一緒に混ぜておくとより苦みを抜くことができます。
砂糖だけで揉んでしまうと、苦みが強く感じる場合がありますので、必ず塩と一緒に揉みましょう。
揉みこむ時間は10分~20分程度が目安です。
もし、手荒れが気になるという方は塩水や塩と砂糖の混合水に漬け込んでもよいです。
目安はゴーヤー1本につき30分程度です。
塩だけで揉みこんだ場合は、全体的な苦みを取り除いてくれます。
口に入れたときは、ゴーヤー独特の苦みを感じることができますので、苦みが好きだという方にも向いている方法です。
砂糖だけを使っても見込んだ場合は、最初の口に入れたときの苦みを取り除いてくれます。
ですが、後味が苦くなりやすいので、苦みを抜くという目的で揉みこむにはあまり向いていません。
塩と砂糖を合わせることによって、最初の苦みと全体的な後味の苦みのどちらも取り除いてくれます。
ゴーヤー独特の苦みが苦手だという方に最適な揉みこみ方といえるでしょう。
また、なにかと話題になる塩麴にもゴーヤーの苦み成分を抑える働きがあります。
塩で揉みこむときに比べ、短時間で苦みを和らげることができますので、忙しい時にも使える方法です。
下味も十分につきますので、そのまま調理してもおいしいでしょう。
調理過程で苦みを抜く
水にさらすと、どうしても水溶性の栄養分が抜けてしまいます。
また、下処理だけではまだ苦みが強く感じるという方もいるでしょう。
そんな時は調理過程でも苦みをとることができます。
油を使う
ゴーヤーの苦み成分にチャランチンというものがあります。
このチャランチンは膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞に働きかけを行います。
β細胞はインスリンの分泌を行う細胞ですので、血糖値を下げる効果があります。
体内でもインスリンと似たような働きを行うため、植物インスリンともよばれています。
このチャランチンは油溶性の成分ですので、油を多めに使用することで、苦みの軽減ができます。
ゴーヤーを使った料理の代表にゴーヤチャンプルーなどがあります。
これは、炒め料理ですので、調理過程で油を使いますよね。
ただし、この炒めた後の油にはチャランチンが溶け出していますので苦みを感じます。
そのため、一度ゴーヤーを素揚げして苦みを抜いてから調理に使ってもよいでしょう。
素揚げすることにより、より一層ゴーヤーの食感がよくなります。
また、わざわざ油を使って調理を行わなくてもかまいません。
豚肉と一緒に調理することにより、豚の油の中に苦み成分が溶け出します。
豚肉の油にはもともと旨みや甘みがありますので、ゴーヤーの苦みをうまく消してくれます。
ほかにもツナ缶や、マヨネーズなどと合わせて使うことで苦みを軽減することができます。
かつおぶしを使う
ゴーヤーの苦み成分であるトリテルペノイドは、かつおぶしに含まれる苦み抑制成分に吸着されやすい性質をもっています。
また、かつおぶしにはイノシン酸やグルタミン酸に代表される旨み成分が含まれています。
この旨み成分がゴーヤーの苦みを抑えてくれる上に、コクのある味に仕上げることができます。
ゴーヤーを美味しく保存するコツは?
グリーンカーテンなどで家庭菜園として育てている場合は、すぐに使いきれない量の収穫があることもあります。
ですが、捨てるのはもったいないですよね。
では、おすすめの保存方法をご紹介します。
常温保存はNG
ゴーヤーは常温保存に向いていないです。
ゴーヤーの収穫時期である夏は、気温が暑くなりやすく、ただでさえ食品の常温保存には不向きな時期です。
さらに、ゴーヤーは収穫後も熟そうとしてしまいますので、色が黄変し裂けてしまうことがあります。
冷凍保存する
やはり長期間保存したいのであれば、冷凍保存が一番でしょう。
冷凍保存する場合は、下処理をしておきます。
種とワタを取り除いてから薄切りにし保存袋などに入れて冷凍庫に入れます。
解凍した後に鮮度をより保ちたい方は、薄切りにしたあとに軽く炒めたり、短時間塩ゆでにするほうがよいです。
冷凍保存の場合は約1か月保存することができます。
冷蔵保存する
購入後もしくは収穫後数日程度でしたら、野菜室などで保存してもよいです。
ゴーヤーの表面部分の水分や汚れを、キッチンペーパーなどでふき取ってからラップなどに包んで野菜室などに立てて入れておきましょう。
もう少し長く保存したいのであれば、ゴーヤーを縦半分に切ってから種とワタを取り除きます。
ラップをゴーヤー全体に密着させ野菜室に入れます。
乾燥させる
ゴーヤーは一度乾燥させてから冷凍保存することで、より長期間保存することができます。
まずは、冷凍保存するときと同じように薄切りにします。
それを天日干しさせ乾燥してから保存袋に入れ冷凍します。
保存袋の中に乾燥剤を入れることでより長持ちします。
使用する際は、一度水にさらし炒めるようにしましょう。
まとめ
ゴーヤーは苦みが強いものの、栄養価が高く夏に積極的に摂取したい食品の1つです。
食べやすいように苦みを適度に抜いてやるとよいでしょう。
調理の際にひと手間加えるだけで、簡単に苦みを軽減することができます。
また、すぐには使いきれない量のゴーヤーがあるときは長期保存するに限ります。
単純に冷凍保存するよりも、一度乾燥させてから冷凍保存することで半年近く保存することができますよ。