揚げ物などに使った油の処理に困ったことはありませんか。

天ぷら1回で捨てるのはもったいないし、いつまでも使うのは健康上問題がありそうな気がするし、かといってどのように保存すればよいのかも自己流で、何が正解なのかわからない人も多いでしょう。

しかし、油には正しい保存法や、適切な保存期間、そして劣化=酸化を予防して長持ちさせる方法があるのです。


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ここではそれらの点について解説していきます。

 

 

油の保存方法や注意点は?

 

 

まず油はどのように保存すればよいのでしょうか。

 

油を保存する時の5つの注意点

 

その注意点は以下の5つです。

1 油は劣化するもの、ということを前提に考えよう

油は光や熱で劣化、つまり酸化します。

ですから、保存する時には直射日光や蛍光灯などの光を避け、暗くて涼しい場所に保存しましょう。

さらには空気に触れてると空気中の酸素と反応して酸化が早まりますから、開封後はしっかりキャップを閉めて保存しましょう。

特に盲点が、買い物をした荷物の中に油が入ってて、それを炎天下の車の中に長時間置いておく場合です。

これは油を劣化させるだけではなく、温度により油を膨張させ、キャップを緩ませて油が容器から漏れることさえあります。

2 調理後は鍋にそのまま入れておかない

揚げ物をして、保存容器に入れずに鍋にそのままにしておくのはNGです。

それは、空気や光ともろに接触するため、更に酸化が促進されるからです。特に鉄製の鍋の場合は、その鉄とも反応して酸化が早まりますから注意しましょう。

3 使い終わったらきれいに漉す

油で揚げたらその油がまだ熱いうちに油こしで濾過し、その上で冷まし、保存容器に入れましょう。

その際に油漉し紙を使うと、細かい揚げカスもきれいに除去できます。

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まだ新しい油の場合など、汚れが少ない時には、濾過せずに、揚げカスが沈んだあとの上澄み部分だけを保存容器に移してもOKです。

4 密封容器に保存し、早めに使い切る

油を保存する時の容器の条件は2つです。遮光性の高いもの、そして密封できるものです。

そして油をその中に入れて、暗くて涼しい場所に保存しましょう。

特に、普段は大丈夫な場所でも夏になると温度が急上昇しますから要注意です。また冷蔵庫での保存でもよいですが、逆に0℃などの冷え過ぎもよくありません。

しかしそこまでしても、やはり1度使った油は未使用のもの比べて、格段に酸化しやすいので、できるだけ早めに使いきることが肝心です。

油の保存方法とは

では油はどのように保存したらよいのかもう少し詳しく解説しましょう。

保存の手順

まず基本的な部分として、保存の手順です。

必要なものは

◆油漉し紙(専用のものがなければコーヒーフィルター、ティッシュペーパーでも大丈夫です)
◆漏斗または円錐の濾し器(すくい網でもOK)
◆保存容器(後で詳しく解説しますが、専用容器ではなくても方法はあります)

です。また手順は以下の通りです。

1 漏斗または濾し器に、油漉し紙をセット
2 保存容器か、容器の口が狭ければ別の鍋を用意し、1をセット
3 油を熱いうちに2に注ぐ(熱くて危険なので、おたまですくって注ぐのがベスト)
4 冷めたら保存

油の保存容器の選び方

次に保存容器の選び方と、専用容器ではない場合の工夫の仕方です。

まず専用容器ですが、可能ならやはりこれがベストです。専用容器であれば、油モレの心配もなく、汚れも落としやすため手入れが簡単です。取っ手も耐熱仕様なので持ちやすいです。

このように書くと値段が高そうですが、実は100均でも十分に買えます。たとえば、

◆エコー金属 オイルポット 700ml

は薄い鉄板を錫でメッキした、いわゆるブリキ製の容器です。強度や耐久性はいわゆる100均レベルですが、100円なのでダメになったら買いかえればいいくらいの気持ちで買えば、それ以外の保存性は十分に合格点の品物です。

次に、いわゆる普通のガラス瓶です。ガラス瓶なら耐熱性は合格ですが、光を透過させるものがほとんどです。その場合は、周囲をアルミホイルで巻いて遮光して用いれば十分に用に足ります。

3つめがペットボトルです。ペットボトルには遮光性も耐熱性もありません。したがって敢えて使うのなら、熱い油を漉したらまずほかの鍋に入れ、冷えたうえでそこから移し替えるのがよいでしょう。そして周囲にはアルミホイルを巻くことを忘れないでください。

4つめが牛乳パックや、その他の容器です。しかし牛乳パックは油が染み出しますし、密封性がないので全く不向きです。耐熱性もないので、下手をすると火傷をしてしまいます。

 

 


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油を保存できる期間は?

 

 

ではこのように細心の注意で油を保存したとして、それはどのくらいの期間、劣化しないでいるものでしょうか。

上で書いたような適切な保存方法をしっかり行った場合でも、保存期間は最長で2~3週間、使用回数は3~4回と考えましょう。ただし、1回の使用でも高温で揚げる大量に天ぷらを作った場合は、油は非常に酸化しやすい状態ですから、使えてももう1回くらいでしょう。

さらに、季節が冬か夏かによっても変わってきます。したがって上で書いたことはあくまで安にして、あとは以下で解説する、油の酸化状態の判別方法で、劣化の具合を自分で確かめて判断していくしかありません。

 

 

酸化した時の見分け方は?

 

 

揚げ物をして残った油だけではなく、開封して購入した容器に入れてある状態の油でも、光、熱、空気中の酸素によって、どんどん劣化=酸化していきます。

 

酸化した油を使い続ける悪影響

 

酸化した油をそのまま料理に使い続けると、健康に対して重大な悪影響があります。

酸化した油を摂取すると、細胞を老化させたり、発がんを促進する活性酸素、酸化した脂分の総称である過酸化脂質、などの有害物質を体内に発生させます。

中でも過酸化脂質は、先の活性酸素を増やし、一方では動脈硬化などの生活習慣病の原因になります。

さらには、皮膚の細胞を傷つけ、色素沈着やシワの原因を作るのです。

ですから、老化をできる限り遅らせたり、生活習慣病やガンにかかりたくなければ、酸化した油を摂取してはいけないのです。

ではどのようになったら、油は廃棄が必要なほど酸化していると見分けることができるのでしょうか。それは主に以下の5つのポイントで判断できます。

 

1 濁りが濃い

 

揚げ物が焦げやすかったり、鍋の底が見えないほど油が濁ってきたら酸化は限界です。また魚を揚げた場合に、揚げ色が濃くなったら必ず新しい油に取り換えましょう。

 

2 泡が消えない

 

揚げ物が終わったとも、ずっと細かい泡が鍋の底や側面に付着していたら、酸化がかなり進行しています。それでも使い続けると、1の状態になりますから、この段階で廃棄しましょう。

 

3 180度程度で煙が出る

 

新鮮な油は240度近くまで温度を上げないと煙は出ません。しかし、酸化した油は180度程度でもう煙が出てきます。従って、まだ低い温度なのに煙が出るという場合もすぐに廃棄しましょう。そのまま使用すると、火事の恐れもあり、非常に危険です。

 

4 粘度が高い

 

温度が下がってから、お玉で油をすくって垂らした時に、粘度が高かったら、酸化している証拠です。この場合もすぐに廃棄しましょう。

 

5 饐えたような悪臭がする

 

悪臭は酸化の中の1番わかりやすいサインです。

饐えたような臭いが油からした場合、あるいは揚げた料理の酸味が強かったり、生臭かったりした場合も、すでにかなり酸化していますから、即廃棄して新しい油に換えましょう。

まとめ

いかがですか。

油は消耗品ですから、家計を預かる身としてはできるだけ長持ちさせたいのが本音でしょう。

そのためにできることも、ここでご紹介したようにたくさんありますが、しかし一旦酸化したら、それをそのまま使い続けることは家族の健康を損なうことになります。

ですからそのような油は思い切って廃棄し、新しい油で安心して、気持ちよく料理をしましょう。