アボカドといえばどんなイメージが湧いてきますか?
森のバターとも呼ばれるアボカドは、果肉に脂肪分が多く含まれている果物です。
とろりとした食感が印象的なアボカドですが、近年ではポピュラーな果物としてスーパーなどで購入することもできます。
ですが、いざ食べようとして包丁を入れると、その果肉が固かったということはありませんか。
楽しみにしているのはあの柔らかい食感という人も少なくはないでしょう。
では、そんな時はどうすればいいのでしょうか。
今回の記事では、固いアボカドを早く柔らかくするコツや、食べごろはいつなのかについてご紹介します。
アボカドとは
耳にする機会が増えてきたとはいえ、アボカドがどんなものなのかよく知らないという方も多いことでしょう。
アボカドとは、クスノキ科ワニナシ属の常緑高木のことで、その果実もアボカドと呼ばれます。
ワニナシ属に属するので、ワニナシという名前で呼ばれることもあります。
特徴
メキシコ、中央アメリカ原産のアボカドは、熱帯および亜熱帯で生息する植物ですので低温に弱いです。
野生では30メートルほどの樹高にまで成長しますが、果樹園などで栽培されているものは接ぎ木法で栽培され、整枝するので最高でも10メートルほどまでの高さに抑えられます。
5月ごろに花が咲き、果実は成熟するまでに10か月から15か月ほど要するため、翌年の11月から12月ごろに収穫することができます。
品種によって、木全体が隔年結実するものと枝ごとに隔年結実するものがあり、枝ごとに隔年結実するものでは毎年収穫することができます。
食用として
果実は生食で食べることができます。
サラダやサンドイッチの具材としてや、カリフォルニアロールと呼ばれる巻き寿司に使われることもあります。
日本では醤油とよく合うことから、刺身として食べたり、寿司では特に女性人気が高いエビアボカドとして食べられることも多いです。
日本で出回ることの多いアボカドの種類は、メキシコ産ハス種で、一年中出回っていますが特に美味しい時期は3月から9月です。
まだ出荷数は多くありませんが、チリ産やニュージーランド産のアボカドも少量ずつ出回り始めています。
こちらは、南半球ですので旬の時期が10月から1月ですので、実際には日本で1年中美味しいアボカドを口にすることができます。
アボカドの実は樹上では柔らかくならないため、果実を収穫した後に追熟させることで柔らかくなり食べごろになります。
スーパーなどの店頭で販売されているアボカドは、完熟させる前のものが多いため全体的に固い印象があります。
ですが、果実や種にはペルシンという物質が含まれています。
これはヒト以外の動物には中毒反応を起こす物質で、人であっても天然ゴムアレルギーを持つ人に対しては症状を発症させることがあります。
症状は痙攣・呼吸困難などです。
ですが、アボカドが入ったペットフードやおやつも販売されています。
現在のところ健康被害の症例はないと企業は報告しています。
近年ではこのペルシンが乳癌の細胞を破壊することが発見されています。
また、乳癌に特化した抗癌剤であるタモキシフェンの効果を強化することも示されています。
アボカドの品種
日本での出荷数が多いものはハス種と呼ばれるもので、約99%を占めています。
メキシコで多く栽培されていますが、原産地はグアテマラです。
品種として寒さに弱いアボカドの中でも特に寒さに弱いため、日本での栽培には向いていません。
ですが、ハス種は皮が厚いため、長距離の輸送に向いていることや、栽培が容易で結実数が多いこと、熟すと黒くなるので食べごろがわかりやすいという利点からほかの品種に比べて多く栽培されています。
また、大きな種が特徴的なアボカドの中では、比較的種が小さく可食部が大きいことも栽培が多い理由です。
フェルテ種やベーコン種と呼ばれるものは、グアテマラ系とメキシコ系の交配により登場した種類です。
この2種は比較的寒さにも強いため、少量ですが高知や和歌山、南九州など日本の中でも温暖な地域で栽培されています。
特にベーコン種のほうがより寒さに強く、カリフォルニアなどでも生産可能です。
2種類とも熟しても黒くならないので食べごろがわかりづらく、日持ちの点でもハス種に劣ります。
アボカドの栄養
アボカドは栄養価が高いことでも知られています。
ハス種では果肉に脂肪分が18%から25%ほど含まれていますが、この脂肪分は善玉脂質と呼ばれる不飽和脂肪酸が多く占めているため、血中コレステロールの上昇リスクがほとんどありません。
ビタミンEも多く含まれおり、1個半で10mg程度となり、これは成人男子の一日の適正摂取量をまかなうことができます。
アボガドはいつが食べごろ?見分け方は?
栄養価が高いアボカドですが、食べごろの時期でないと十分な栄養素が含まれていないことがあります。
では、いつごろが食べごろなのでしょうか。
アボカドの食べごろ
日本で多く出回るのはメキシコ産のハス種です。
基本的には一年中流通しているため、いつでも入手することができますが、多く市場に出回るのは4月ごろです。
最も油分が多く、味が多いとされるのは4月から6月ごろと言われています。
その時期を過ぎてくると、油分が少なく、大きさも小ぶりなものが増えてきます。
濃厚なアボカドを食べたいのであれば、春から初夏にかけて出回っているアボカドを選ぶとよいでしょう。
食べごろの見分け方
もちろん同じ時期に出回るアボカドでも個体差があります。
アボカドは追熟することでおいしさが増す果物ですので、いつ食べるのかというのも選び方の1つです。
すぐ食べるのであれば、すでに熟しているものを選ぶほうがよいですし、しばらく時間をおいてから食べるときは完熟前のアボカドを選ぶほうがよいです。
果肉の色は熟する前は緑で、熟するにしたがって黒みがかった濃い緑色になります。
ただし、黒すぎるアボカドは熟しすぎていますのでほどほどの黒さのものを選んだほうが無難です。
形で鮮度を見分けることもできます。
表面にシワがよっておらず、張りとツヤがあるものが新鮮です。
未熟のまま出荷された果実はまだす分量が多く、乾燥することでヘタのほうから縮んでいきます。
ヘタと皮の間に隙間が空いているアボカドは、まだ未熟な可能性が高いです。
固さも確かめておきましょう。
やや弾力を残したアボカドが熟している証拠です。
もちろん柔らかすぎると熟しすぎていますので、弾力があるかは確かめておいて損はないでしょう。
店頭で購入前に確かめるときは、強く押さないようにしましょう。
強く押してしまうと、果実を傷める可能性が高くなります。
固いアボカドを早く熟させる方法は?
アボカドは、自宅で追熟させることができます。
ですが、熟させるときは必ず常温で置いておきましょう。
4.5℃以下に長時間さらすことで、維管束が変化してしまい正常な追熟が行われなくなります。
冷蔵庫の多くは4℃に保たれていますので、追熟させる予定があるのであれば冷蔵庫に入れるのはよくありません。
5℃から7℃で保存しているのであれば、長期保存も可能で、室温に戻した後に正常な追熟や軟化が可能です。
ですので、アボカドを保存しておくときは5℃以下にしないことが大切です。
切る前のアボカドを熟させたい
お店で買ったときに熟していないのがわかっており、そのまま熟させるときはアボカドを紙袋などに入れます。
アボカドはエチレンガスにより追熟を促すことができます。
エチレンガスが外部に漏れなければ問題ありませんので、ほかの容器などでも代用することができます。
アボカドと一緒にりんごかバナナをいれておきます。
これらの果物はエチレンガスを多く発生させることができますので、早く熟させることができます。
エチレンガスが漏れないように袋は直射日光を避けて18℃から24℃程度の室温で保存しておきます。
果物のエチレンガスで追熟が促進されていますので、1日から3日ほどで食べごろになります。
もちろん、熟しすぎないように頻繁なチェックをしておくことをおすすめします。
熟した後は野菜室などで保管することができます。
切った後のアボカドを熟させたい
包丁を入れた後に未熟なことに気づいたときは、その時からでも追熟させることができます。
それは電子レンジを使って追熟を進める方法です。
断面を下にして、600ワットで1分ほど温めることにより、アボカドに含まれている水溶性の食物繊維や脂肪酸を溶かすことができ、柔らかくすることができます。
しかし、電子レンジによる追熟では、栄養素を壊してしまう、味を損なうというデメリットもありますので、基本的には切る前に追熟させるほうがよいです。
固いままでのアボカドでも美味しく食べるコツは?
では、固いままのアボカドを食べるときはどうすればよいのでしょうか。
アボカドは一度切ってしまうと追熟のスピードが落ちてしまいます。
ですので、追熟は諦めて生のままではなく調理をしてから食べるとよいでしょう。
もちろんレンジで温めて無理やり追熟させてもよいですが、どうしてもアボカドとしての風味が損なわれてしまいます。
火を通すことで、独特の風味がするようになります。
お肉などと一緒に炒め、醤油などで味付けをするとおいしく食べることができます。
マヨネーズとの味の取り合わせもよいため、味付けにマヨネーズを使ってもよいでしょう。
ミキサーやジューサーがあれば、生のまま食べることができます。
アボカドをさいの目に切り、牛乳や砂糖などと一緒に混ぜ、ジュースを作っても美味しいですよ。
まとめ
栄養価が豊富なアボカドは、日本で入手するときは未熟な硬いままで売られていることが多いです。
日本で多く売られている品種のハス種は見た目で熟しているか未熟化を見極めることができますので、切る前に追熟させてやりましょう。
もし切ってしまった場合は、追熟のスピードが落ちてしまいます。
また、そのまま放置することで茶色に変色してしまい、見た目もよくありませんので電子レンジで無理やり追熟させるか、火を通すことで柔らかくしてなるべく早く食べてしまいましょう。
ミキサーやジューサーなどでジュースにすることで固くても生のまま食べることもできます。