シャキシャキとした食感と、ジューシーな果汁が特徴の梨ですが、いただきものなどで一度に食べきれない量をもらったという経験をお持ちではないでしょうか。
梨という果物は、品種にもよりますが美味しく長持ちをさせることが難しいとされる果物の代表でもあります。
同じ期間保存していたとしても、りんごやミカンのほうがより長持ちをするため、同様に保存していると梨のほうが早く傷んでしまうということがあります。
また、梨はほかの果物と違い、あまり加工して食べることを前提とされていない果物です。
ですので、一度で食べきれない量を入手してしまうと適した保存方法をとる必要があります。
今回の記事では、そんな保存が難しいとされる梨の正しい保存方法をご紹介します。
梨はどのように保存するとよい?期間はどれくらい持つ?
どちらかといえば、一個単位で買うことよりも複数個で購入することが多い梨は、どのように保存すればいいでしょうか。
保存場所や保存方法別に、保存できる期間をご紹介します。
常温保存する場合
基本的に常温保存はあまりおすすめできません。
理由としては、どの品種であっても梨の最適な保存温度が5℃前後と他の果物に比べても低めの温度だからです。
そのために、常温保存してしまうと冷蔵庫やほかの場所で保存するよりも長持ちしません。
夏に旬の時期を迎える果物を購入し、常温で保存するとなると室温が高いこともあり2日ともたないことも珍しいことではありませんので注意が必要です。
梨は乾燥に弱く、酸化して早く傷みやすいですので、どうしても冷蔵庫などにスペースがなく、常温保存したい場合は、必ず冷暗所で保存するようにしましょう。
梨は切らなくても水分が蒸散してしまいます。
ですので、保存する際は切らずにそのまま保存します。
乾燥を防ぐためにラップやアルミホイル、新聞紙などで1個ずつ包み、極力水分が蒸散しないようにします。
それをさらにビニール袋やポリ袋に入れます。
ラップなどは温度の変化から、ビニール袋などは乾燥から梨を守ってくれます。
コツとしては、軸を下にして置くことです。
梨は、その甘みが軸と反対側に集中しています。
反対向きに置くことで重力の力を借り、梨全体に甘みがいきわたり、全体的に甘い梨となります。
また、梨は収穫後も呼吸を続けています。
ですが、収穫後はもちろん枝から切り離された状態ですので、それ以上栄養分が補充されることはありません。
梨が呼吸することによって、それまでに蓄えられた糖分などが消費されてしまうのです。
梨の呼吸量は、身全体というよりも軸部分を中心にして行われており、全体の呼吸量の8割から9割というほとんどを占めています。
そのため、軸を下にすることで、梨の呼吸を抑えることができますので、糖分などの消費も抑えることができます。
その状態の梨を、風通しのよい冷暗所に保存します。
冷暗所での保存であれば、3日から4日程度は保存することができます。
ですが、5日を過ぎると、美味しさがどうしてもなくなってしまいますので、なるべく長持ちさせたいのであれば、あまり常温保存はいくら冷暗所とはいえ、向いているとは言えないでしょう。
冷蔵庫で保存
梨の最適な保存温度が5℃前後ですので、一番その温度に近いのは冷蔵庫でしょう。
冷蔵庫は一般的に4℃を保たれていますので、最適な保存温度ということができます。
ですが、冷蔵庫は常温に比べてより乾燥しやすいですので、乾燥に対する対策をより重点的に行わなければジューシーさなどが失われてしまいます。
保存方法としては、やはりこちらもラップやアルミホイル、新聞紙などで1個ずつ包みます。
さらに上からビニール袋やポリ袋などで覆いましょう。
必ず、軸を下にし、野菜室などに保存します。
ビニール袋などの空気は極力抜いておくことをおすすめします。
梨は低温にすることで蒸散が抑えられ、さらに低温に強い果物ですので冷蔵庫は最適といえるでしょう。
冷蔵庫で保存することにより、一週間程度は、美味しさを保ったまま保存することができます。
冷凍保存する場合
梨はあまり冷凍保存に向いている果物ではありません。
梨は冷凍保存することにより、その美味しさの最大の特徴であるシャキシャキとした食感が失われてしまい、冷凍前の状態には戻せないというデメリットがあります。
ですが、傷ませるのはもったいなく、大量に入手してしまいどうしても冷蔵庫での保存期間では食べきれないときの最終手段として考えておくほうがよいでしょう。
冷凍した後に食べる場合は、シャーベット状にして食べるかピューレ状にして果実ソースとして使うかの2つに大きく分けることができます。
シャーベットにする場合は、まず皮をむき、8等分くらいの食べやすい大きさに切り分けます。
切った梨はラップで包むか、ラップやアルミホイルを敷いた皿や金属バットなどに重なりあわないように並べます。
金属バットやアルミホイルを使うことにより、急速冷凍することが可能ですので比較的美味しさを損ないにくいです。
冷凍庫で凍った後は、タッパーなどの保存容器に入れるか、フリーザーバックなどに入れなるべく空気を抜きます。
ピューレ状にする場合は、皮をむき、切って種を抜いておきます。
その梨の表面にレモン汁を少量まぶし、ミキサーやフードプロセッサーを使い液状にしておきます。
その後、フリーザーバッグに入れ、できるだけ平らになるようにし、空気を抜いて冷凍庫に入れます。
この状態で冷凍することにより、繊維をほとんど残さずにソースにすることができます。
梨にはプロテアーゼという酵素が含まれています。
このプロテアーゼは、タンパク質を加水分解することができます。
お肉を焼く前に、梨のピューレに漬け込んでおくと、タンパク質が分解されて柔らかくなります。
そのまま焼いてしまいますと、焦げやすいですのでピューレは拭き取ってください。
煮込み料理にも使うことができます。
梨の柔らかい甘みが広がりますので、甘味料として活かすことができます。
冷凍した梨は、およそ1か月間保存することができます。
切った後は梨はどのよに保存すればいい?
では、すでに切ってしまった梨はどう保存すればよいでしょうか。
梨は酸化することにより大きく味が損なわれてしまいますので、切った後に保存するのであれば酸化を防ぐ必要があります。
りんごと同じように、酸化を防ぐためには塩水などにつける方法があります。
ですが、塩水では酸化は防ぐことができますが梨本来の風味が損なわれる可能性があります。
ですので、梨の場合は変質や変色を防ぐ目的でも砂糖水につける方法をおすすめします。
切った梨は、空気になるべく触れないようにジップロックなどの保存バッグに入れます。
水200ccに対し、砂糖大さじ1くらいの割合で砂糖水を作ります。
シロップなどでも代用できます。
梨全体が浸かる量を用意したら、保存バッグの中に砂糖水を入れます。
なるべく空気を抜き、できる限り平らにしておきます。
保存場所は冷蔵庫です。
できる限り次の日まで、長くても保存期間は2日ほどにしておきましょう。
もし、皮をむいていない2つ切りなどでしたら、切った部分にラップを密着させ、さらにその上からラップなどで全体を包んでおけば2日程度は冷蔵庫で保存することができます。
まとめ
夏に旬を迎える梨は、美味しく保存することが難しい果物の1つです。
もし、大量に入手してしまった場合は正しく保存することで少しでも長い期間美味しく保存することができます。
基本的には、空気に触れないようにし冷蔵庫での保存がおすすめです。
冷蔵庫にスペースがなければ冷暗所でも保存できますが、その場合は特になるべく早く食べきるようにしましょう。
どうしても1週間以上保存する必要がある場合は、最終手段として冷凍保存がありますが、その場合は冷凍前とはまったく異なった食感になってしまいます。
切った後も保存できますが、なるべく酸化を防ぎ、できる限り早く食べきるようにしましょう。