食品にも使われている重曹は、最近ではお掃除をするときに便利なアイテムとして使われることが多くなってきました。
では、重曹風呂という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
重曹風呂とは、その名の通り浴槽の中に重曹を溶かしたお風呂のことです。
では、その重曹風呂というのはどんな効果があるのでしょうか。
今回の記事では、重曹風呂についてご紹介します。
お風呂の入浴剤として重曹を使ったときのメリットや注意点などもあわせてご紹介しますので、気になる方はぜひ参考にしてみてください。
重曹は成分や効果は?
重曹という言葉を聞いたことがないという方は少ないでしょう。
では、その重曹とはどんなものか聞かれたときに正しく答えることはできるでしょうか。
重曹の成分とは
重曹とは、化学的に言えば炭酸水素ナトリウムのことです。
常温では白い粉末状の重曹で、水に溶ける性質を持っていますのでお掃除に使うときなどは粉末状で使う以外にもぬるま湯や水を使い、水溶液として使うことが多いでしょう。
例えばケーキなどを作る際に使われる膨らし粉は、ベーキングパウダーと呼ばれていますが成分は炭酸水素ナトリウム、つまりは重曹です。
つまり、食品に使われているほどありふれていて、口に入れても安全な素材ということです。
また、昔から野菜のあく抜きに使ったり、煮豆を作るときに使うことで豆がふっくらとできあがることからも料理に使われてきました。
重曹の水溶液は、pH値8.5とアルカリ性を示す物質です。
ですが、アルカリ性に反応するフェノールフタレイン溶液を加えても変色することがないほどの弱いアルカリ性です。
そのために、水道などからそのまま中和することなく流すことができます。
日本の基準では、pHにより廃液基準が決まっています。
海域ではpH5.0からpH9.0まで、海域以外ではpH5.8からpH8.6までと定められているため、pH8.4からpH8.5の炭酸水素ナトリウム水溶液は範囲内であり、そのまま流せるというメリットがあります。
また、非常に安定された無機物の物質ですので、長期間保存していても物質が変化することはありません。
市販されている入浴剤にも重曹は使われてきています。
また、発泡性のある入浴剤はほとんどが重曹とクエン酸を合わせて作られたものです。
重曹は酸性の溶液と反応することで、炭酸を出しますので、泡が出ます。
ですが、そのままでは無色透明な溶液で無香料となってしまいますので、市販の入浴剤は香料や色素などを入れることによって、色や香りをつけています。
酸性を中和し、体臭を抑える
アルカリ性の物質ですので、重曹風呂に入ることにより酸による臭いなどを中和し、消臭することができます。
具体的には、体臭などの臭いです。
体臭は、酸性もしくはアルカリ性のどちらかに分かれています。
弱アルカリ性を示す重曹により、汗や皮脂に含まれている脂肪酸や酢酸といった酸性の物質による臭いを中和し、嫌な臭いを消臭する効果が期待できます。
また、重曹には殺菌作用がありますので、皮膚に細菌が増殖することを抑え、細菌が原因となる臭いを抑えることができます。
皮脂などを効率的に落とす
皮脂は酸性を示す物質ですので、弱アルカリ性の重曹水により中性に近づけることができます。
そのため、体に付着した角質や皮脂など余分なものを洗い落としやすくする効果が得られます。
ニキビは、毛穴に皮脂がつまり炎症すると起こります。
顔はまだしも特に背中などは自分では洗いにくく、背中の毛穴には皮脂が詰まりやすくなって背中ニキビとなりやすいです。
重曹風呂に浸かることで、背中の毛穴につまった皮脂汚れなどを取り除いてくれます。
背中ニキビがすぐに治るというわけではありませんが、少しずつ改善されることにより背中ニキビを減らしたり予防したりという効果を得られます。
スクラブ効果がある
重曹の粉は、固すぎない粒子で構成されています。
また、水に濡れ水分を取り込むことで、粒の形状は丸みを帯びます。
そのため、皮膚への負担が少ないスクラブとして使うことができ、より効率的に皮脂汚れや角質といったいらないものを落とす効果を得ることができます。
清涼感を得ることができる
夏場は特に、体温が上昇してしまうからという理由で入浴を避け、シャワーだけですますという方が増えます。
ですが、汗をかく夏場であるからこそ重曹風呂はおすすめできます。
体臭を緩和する効果に比べて、重曹には皮膚表面からの水分蒸発を活発にしてくれる効果があります。
そのため、体にこもった熱を効率的に放散させることができます。
価格が安く、使いやすい
市販の入浴剤にも重曹が使われていますが、意外と値段が張ることがあります。
ですが、重曹はそれに比べるとかなり安く使うことができます。
浴槽の掃除が楽になる
重曹はお掃除にも使える便利なものです。
重曹風呂に入った後の残り湯はもちろん重曹水ですので、そのまま浴槽の掃除を行うことができます。
洗濯物に使用できる
市販の入浴剤は香料や色素が入っているため、お風呂の残り湯を洗濯に使っているという人は躊躇してしまうかもしれません。
ですが、重曹水、あるいは重曹とクエン酸を合わせた水は無色透明かつ無臭の水ですので、洗濯物にも問題なく使うことができます。
お風呂の入浴剤として使える?注意点は?
結論から言えば、重曹水はお風呂の入浴剤代わりに使うことができます。
では、何も問題なく使うことはできるのでしょうか。
重曹風呂に入る際に気を付けておくべきポイントをいくつかご紹介します。
肌荒れの恐れ
重曹は弱アルカリ性で低刺激ですが、毎日のように入っていると、肌がアルカリ性に傾き、荒れることがあります。
また、そうなってしまうとアルカリ性の環境で繁殖しやすくなる細菌などが増殖することもあり、それによってまた体臭が強くなってしまう恐れもあります。
ですので、重曹風呂を行うときは週に1度から2度程度にとどめておくことをおすすめします。
また、肌表面からの水分の蒸散を促進する効果がありますので、乾燥しやすくなるということがあります。
乾燥肌や敏感肌、アトピー肌の方にはあまりおすすめできません。
直接肌には塗らない
重曹には細かい研磨剤としての効果があります。
そのため、重曹の粉を直接肌にかけてしまうと肌が削れてしまう危険性が高くなってしまいます。
もし体を洗いたいときは、重曹水にタオルなどを浸し、それで拭くようにしましょう。
洗顔にも使うことができますが、どうしても刺激が出てしまいますので敏感肌などの方は辞めておくほうが無難です。
そうでなくても、毎日のように重曹水で洗顔をするのは避けておきましょう。
重曹をたくさん入れても効果はそれほど高くならない
お湯の中に重曹をたくさん入れたからといって、メリットの効果が高くなるわけではありません。
むしろ、アルカリ性が強くなりデメリットのほうが大きくなります。
人間の肌に対してもですが、風呂釜を傷めるなど浴槽にとってもあまりよくはありませんので、濃度は守ったほうがよいです。
基準はお風呂のお湯200リットルに対し、大さじ1から約1/2カップまでと様々ですが、最初は大さじ1から始め肌の様子を見ながら増やすとよいでしょう。
追い炊き機能は使わないほうがよい
金属に対して大きな影響を与えることがない重曹ですが、パイプや給湯器によってはアルカリ性に対して弱いものがあります。
ですので、追い炊き機能がついている浴槽の場合は、追い炊き機能を切っておいたほうが無難でしょう。
おすすめは食品用
重曹はその品質により、食用に使うものと掃除に使うものがあります。
もちろん掃除用でも問題はありませんが、赤ちゃんや小さなお子さんにも使う場合はより口に入れても安全とされる、食品用の重曹を使うことをおすすめします。
まとめ
実は昔から入浴剤に使われていた重曹ですが、最近では入浴剤を買うよりも経済的である点やお風呂の残り湯をそのまま洗濯に使えるという点からも、重曹を入浴剤として使う方が増えてきています。
体臭を緩和したり、皮脂などの汚れや古くなった角質などを効率的に落とすことから毎日のように入っている方もいることでしょう。
ですが、重曹水は弱いとはいえアルカリ性の水溶液です。
人間の皮膚は弱酸性に偏っているため、長期間アルカリ性の水溶液に使っていると本来なら繁殖しない細菌が皮膚表面で繁殖し、また別の体臭となってしまうことがあります。
基本的には口に入れても安全な物質である重曹ですが、より衛生に気を使う必要がある場合は、掃除用となっている重曹ではなく食品用の重曹を使うことをおすすめします。