お風呂掃除にトイレ掃除、洗濯物など、日常生活て洗剤を使う機会って結構ありますよね。家に何種類も洗剤があるという方も多いことでしょう。

でも、ちょっと待ってください。ちゃんと裏に書いてある注意事項は読んでいますか?

もし何も読まずに洗剤を使っているのなら、それはちょっと危険かもしれません。

今回の雑学は、そんな洗剤に関する記事です。なぜ「混ぜるな危険」と書いてあるのか、どんな組み合わせで混ぜると危険なのかをご紹介します。


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洗剤の種類

洗剤には、その液体の酸性度によって、「酸性」「弱酸性」「中性」「弱アルカリ性」「アルカリ性」の5段階に分けて表示が書いてあります。

なぜ、こんなに種類が分かれているのかというと、汚れはその種類によって落としやすいもの、落としにくいものがあります。ですので、汚れの種類によって洗剤が分かれています。

一般的には、水垢や尿石などのアルカリ性汚れには酸性の洗剤、油汚れなどにはアルカリ性の洗剤が適しています

また、漂白剤として「塩素系漂白剤」や「酸素系漂白剤」の2種類が販売されています。どちらも汚れを酸化させ落とすことが出来るものです。

 

どうやって汚れを落としているのか

 

 

どの洗剤であっても基本的な仕組みはほとんど同じです。汚れをとかして水に浮かし、洗い落とします。では、詳しい説明をしていきましょう。

界面活性剤

洗剤の主成分は「界面活性剤」というものです。洗剤の分子を拡大すると、「親水基(水に溶けやすい)部分」と「親油基(油に溶けやすい)成分」がくっついているのがわかります。

油と水って混ざり合いませんよね。同じコップに油と水を入れると油が浮いてくるというのは経験したことがあるでしょう。お鍋だって、油が浮いてきますよね。

これは2つの比重が関係しています。比重は通常4℃の水と比べてどのくらい重い・軽いのかを示したものです。水に浮くものは比重が軽い、沈むものは比重が重いと言えますね。

例えば同じ水であったとしても、冷水とお湯で「密度」が違います。例えばお風呂にお湯を入れた時、上の方が熱く、下の方が冷たいという経験はありませんか。

でも、水の比重に大きな差はありませんし、同じ分子構造ですのでかき混ぜるとよく混ざります。ですので、全ての水は比重1.0として扱われます。

一方、サラダ油などの油というのは、この比重が軽いのです。同じ食用油であっても何種類かありますよね。なたね油だったりごま油だったり。これらはほとんど0.9前後です。

 


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そのために比重の重い水は下に、軽い油が上にいき2つが混ざり合うことはありません。

洗い物をする時に、水を使って洗いますよね。ですので、汚れは水に流れていく必要があります。ですが、油汚れは特に水と混ざりあわないため、洗剤の中にある親水基が水と、親油基が油とくっつくことで、汚れが水の中に溶け込みます。

また、1度落ちた汚れが水の中でまた服につくことを防止するための作用も持ち合わせているのが界面活性剤の力なのです。

 

中性洗剤

家の中の掃除に使われる洗剤の多くは中性洗剤です。安全ですので、どこにでも使えますが、汚れの種類によっては落ちにくいこともあります。

酸性洗剤

pHが3未満の洗剤は酸性洗剤と呼ばれます。主にアルカリ系の汚れを落とすために使われるものです。アルカリ系の汚れを酸の力で中和し、落としやすくする力を持っています。

トイレにできる尿石や水まわりの水垢は、その汚れの中のミネラル成分が固まったものです。これらの塊はアルカリ性を示すために、酸性の洗剤と相性がいいです。

代表的なのは「KINCHO」から販売されている尿石落としのロングセラー「サンポール」や、お酢が配合されている「水回り用ティンクル」などでしょう。

また、最近よく使われる「クエン酸水」はクエン酸を水に溶かしたものです。これもpH2〜3と強い酸度を示すために汚れを落とす力は強いです。

 

弱酸性洗剤

 

弱酸性洗剤はpH4〜6の洗剤のことです。こちらもやはり、落としやすい汚れはアルカリ性の汚れです。また、酸性よりも洗浄力は弱いですが、「汚れを落とす力と人の体への優しさ」を併せ持ったものになります。

特に素手で扱うことの多いものは、食器用洗剤ではないでしょうか。人の皮膚は弱酸性です。ですので、その成分に近い弱酸性洗剤は手荒れなどを起こしにくいものとして知られています。

代表的なものは、「KINCHO」から販売されている「お風呂用ティンクル」、「花王」から販売されている「アタックNEO」などです。

 


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アルカリ性洗剤

 

アルカリ性洗剤はpH11以上の洗剤のことです。油汚れとの相性がよく、キッチン周りや手あかなどを落とすのに使われます。

油汚れが酷くなければ中性洗剤でも落とすことができますが、コンロ周りや換気扇など頑固な油汚れはアルカリ性洗剤で落とす方が簡単です。

「花王」から販売されている「台所用品マジックリン」や「キッチンハイター」、「ジョンソン株式会社」から販売されている「カビキラー」などはアルカリ性洗剤です。

こちらの洗剤を使う際は、ゴム手袋などをつけ、肌表面を守りましょう。先ほども言ったとおり、人間の皮膚は弱酸性ですので、アルカリ性とは相性がよくありませんので、素肌に触れないよう注意が必要です。

 

弱アルカリ性洗剤

 

pH8〜11の洗剤は弱アルカリ性洗剤に分類されます。もちろんこちらも油汚れに対して相性がよいため、キッチン用洗剤に多いです。

「P&G」から販売されている「除菌ジョイ」や「花王」から販売されている「アタック 抗菌スーパークリアジェル」は弱アルカリ性洗剤です。

弱アルカリ性洗剤は、アルカリ性洗剤よりも中性に近いため、油汚れを落としつつも肌に優しい性質を持っています。

さらに、肌の弱い方や小さな子供がいる家庭では、「重曹」や「セスキ炭酸ソーダ」をオススメします。アルカリ性を示しますが、肌に触れても安全な素材です。

弱酸性や弱アルカリ性の方がいい?

酸やアルカリが強いほど汚れは落ちやすくなりますが、肌や洗いたいものに強く影響を与えます。ですので、使い分けが必要です。

頑固な汚れには、酸性やアルカリ性の強い洗剤を使うと落ちやすくなります。普段の汚れや、肌の弱い方、小さな子供がいる家庭では安全のために弱酸性・弱アルカリ性の洗剤を使う方がよいでしょう。

混ぜるな危険の意味と危険な組み合わせ

汚れの種類が違いますので、あまり酸性の洗剤とアルカリ性の洗剤を意識して混ぜることはないかもしれません。

ですが、実は「塩素系漂白剤」はアルカリ性を示します。「花王」から出ている「ハイター」や「ジョンソン株式会社」から販売されている「カビキラー」が塩素系漂白剤にあたります。

塩素系漂白剤は、漂白力が強く殺菌効果もありますので、ご家庭で使われていることも多いでしょう。特に、トイレやお風呂のカビを落とすのにはもってこいだと言われています。

 


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ですが、トイレやお風呂の水垢掃除には酸性の洗剤が向いています。もし、お風呂場のカビを落としながら浴槽を掃除しようとすると、カビ落としの「アルカリ性洗剤」と水垢落としの「酸性洗剤」が混ざることになります。

 

 

これを混ぜると有毒ガスである「塩素ガス」が発生してしまいます。

 

 

塩素ガス

アルカリ性の漂白剤には「次亜塩素酸ナトリウム」というものが含まれています。これにより漂白効果や殺菌効果が生まれます。

ですが、これに酸性の液体が混ざると化学反応が起こります。それによって塩素ガスが発生し、人体に影響を与えます。塩素ガスは刺激臭を持つ黄緑色の気体で、空気より重い性質を持っています。

目や皮膚、呼吸器系に対して腐食性があるため、目や鼻、のどに刺激を感じ、肺水腫を起こすことがあります。もし、塩素系漂白剤を使っている時に違和感を感じたら、塩素ガスが発生している恐れがあります。

 

 

安全のためには

 

 

塩素系漂白剤を使う時は必ず単品で使うようにしてください。万が一混ざってしまうと塩素ガスが発生します。もし、お風呂の水垢掃除とカビ取りを連続して行うのなら、きちんと流してから次の作業に移りましょう

トイレで嘔吐したあとに塩素系漂白剤を使うのも危険です。人間の胃液は酸性の液体ですので、次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤がまざると塩素ガスを発生します。

 

 

また、逆に塩素系漂白剤が残った状態で嘔吐してしまうと、こちらも塩素ガスを発生させる要因になります。掃除が終わったら、きちんと流すようにしてください。

漂白剤を塩素系漂白剤から酸素系漂白剤に替えるとより安全です。ただし、より安全なだけで100%安全というわけではありませんので、注意は必要です。

そして、漂白剤を使う時は必ず裏に書いてある注意書きを読むようにしてください。日本の製品にはその液体がどんな性質を持っているのか、使用上どのような注意点があるのかが書いてあります。