働き方としてパートとアルバイトがありますが、この二つの働き方の違いについてはご存知でしょうか。
パートとアルバイトの区別は曖昧で、二つの違いを色んな人に聞いてみても中々しっくりくる回答を得ることはできないでしょう。
この記事では、パートとアルバイトの違いについてご紹介します。
パートとアルバイトの違いがよくわからないという方は、是非チェックしてみてください。
パートとアルバイトの違いとは?
パートとアルバイトの違いについて、順を追ってご説明します。
パートとアルバイトがどのように使い分けされているかを確認してみてください。
法律的な違いは?
実は、パートとアルバイトについて法律においては明確な基準がありません。
労働基準法ではパートとアルバイトの違いはおろか正社員などともひっくるめて「労働者」と表記されています。
パートタイム労働法という法律がありますが、実はここでもパートとアルバイトを区別するような記載は無く、どちらも「パートタイム労働者」として定義されています。
パートタイム労働法におけるパートタイム労働者とは、一週間の所定労働時間が正社員よりも少ない人のことを指します。
例えば会社によって9時~18時の定時が設定されている場合、正社員はその決まり通りに働きますが、パートタイム労働者の場合はシフト制などを用いて少ない時間でも勤務することが可能でしょう。
正社員のように決まった時間に縛られていない労働者であるという点で、アルバイトもパートも一括りに定義されているということです。
パートとアルバイトの違いについて聞かれても明確な違いを答えられない人が多い原因は、まさにここにあると言えるでしょう。
法律上でパートとアルバイトは同義のものとして扱われているため、明確な定義を説明しようがないのです。
どのように使い分けされている?
法律上の違いが無いにも関わらず、なぜわざわざパートとアルバイトという別の呼称が設けられているのでしょうか。
これには、企業側が便宜上区別しやすいように呼び方を変えたという背景があります。
パートは主婦が入るものとし、アルバイトは学生が入るものとして使い分けている企業が多いです。
主婦はまとまったお金を稼ぐために固定で長時間働きたいという人が多く、規則正しい労働時間であるという特徴があります。
主婦は飽くまで家庭優先であるため、家族が揃いやすい夕暮れ頃には帰りたいと考える人が多いです。
土日も家庭のために空けておきたいという主婦は多いため、パートの休みを土日に設定している企業も多いです。
このような主婦の生活リズムに合わせて作られたのがパートという働き方でしょう。
正社員よりも労働時間は短いものの、それに次ぐ長さの時間働く労働形態がパートであると考えれば良いでしょう。
また、都合が悪い日は働かなくても良いという点が、正社員には無いパートの魅力あるとも言えます。
正社員は仕事の都合に合わせて生活するものであることに対し、パートは家庭の都合に合わせて勤務状況を決定できるという違いがあります。
アルバイトの場合は、働きたい時に好きな時間を設定して働くことができる点で、固定シフト制のパートと異なります。
パートよりも不規則かつ、短時間働くことができるという点で、融通の利かせやすい労働形態として位置づけられている場合が多いです。
学生や社会人など本業としてやることがある人が、空いた隙間時間を使って働けるようにした労働形態がアルバイトであると認識すれば良いでしょう。
パートのように主婦の生活リズムに合わせて働く必要が無いため、自由な時間に働くことができるという点でアルバイトは非常に優れているでしょう。
アルバイトの労働時間に関しては働く側のさじ加減によるため、人によっては正社員並みに長く働いていたり、土日返上で働いている場合もあります。
上記の違いを考慮すると、法律上は変わらないパートとアルバイトも、異なる認識のもとで設定されていることがわかるでしょう。
パートとアルバイトは別物として扱われてはいますが、結局のところは各企業の解釈が全てとなります。
企業によってパートとアルバイトに関するルールや定義は異なってきますので、上記でお伝えした内容があらゆる企業の労働形態に当て嵌まるわけではないという点はご了承ください。
自分が働こうとしている企業がどのような認識でパートとアルバイトを使い分けているかは、事前に調査しておく必要はあるでしょう。
有給や社会保険はどうなる?
パートやアルバイトには有給や社会保険が適用されるのでしょうか。
順番にご説明しますので、ご参考にしてください。
有給はある?
パートやアルバイトであっても有給休暇をとることは可能です。
労働基準法においては雇用形態によって有給休暇の有無が変わることはありません。
労働時間や労働日数などの基準さえ満たしていれば、正社員と同じ条件で有給休暇をとることが可能です。
所定労働時間数や、所定労働日数に基づいて算出された有給休暇を与えられますので、ご安心ください。
社会保険には入れる?
パートやアルバイトでも社会保険に入ることが可能ですが、条件を満たしておく必要はあります。
最初の雇用契約が2か月以上であり、1週間と1ヶ月のそれぞれの所定労働日数が正社員の4分の3以上であることが条件です。
ある程度長期で働くことが分かっており、働く時間も長ければ社会保険に入ることを認めてもらえるということです。
隙間時間程度の労働時間のアルバイトでは、社会保険に入ることはできません。
上記の条件を満たすことができない場合でも、他の条件を満たすことで社会保険への加入を認められる場合があります。
1週間の所定労働時間が20時間以上であったり、継続勤務が1年以上になることが見込まれる場合などが該当します。
正社員並みに働いていればそれなりの待遇を受けることはできるため、不安に感じる必要は無いでしょう。
パートやアルバイトの語源とは?
パートやアルバイトといった言葉が生まれた理由や、語源について確認してみましょう。
言葉のルーツを知ることで、より二つの労働形態の違いを理解することができるようになるでしょう。
パートの語源
営業時間中はフルに働く正社員などの形態を指すフルタイムという言葉に対する言葉として、パートタイムという言葉が使われることになりました。
子育てや家事があるためフルタイムで働くことが難しい主婦のために作られた働き方です。
パートは主婦がやるものというイメージがありますが、元々パートは主婦のために作られた働き方であったということが分かります。
アルバイトの語源
アルバイトという言葉は、ドイツ語の「Arbeit」から来ています。
Arbeitは勤労という意味です。
明治時代の学生たちの間で、学費を稼ぐための仕事をアルバイトと表現することが流行ったことから生まれた言葉です。
当時のアルバイトのイメージは、学生のお小遣い稼ぎ程度のイメージであったことがわかります。
パートと比較すると、軽い意味合いの言葉として用いられていました。
大きな違いは働き方だった
パートとアルバイトの違いについてご説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
二つの労働形態の大きな違いは、その働き方にありました。
パートは主婦のため生まれ、アルバイトは学生などのお小遣いのために生まれた労働形態です。
働き方の異なる人々に合わせて、労働形態に多様性を与えるために生み出された概念の違いと言っても良いでしょう。
現在では違いがわかりづらいものになってしまいましたが、生まれた当時は明確に区別された労働形態であったことがわかります。