夏に靴下と革靴を履くよりも、裸足でサンダルを履いた方が足元はサッパリして涼しく感じます。
しかし、そのサンダルがムッとした嫌な臭いを出していたら、自分だけではなく周囲の人も不快になってしまいます。
なぜサンダルが嫌な臭いを発するようになってしまうのか、その原因と臭わせないための対策について説明します。
サンダルが臭う原因は?
一般的には、足に汗を掻いて靴の中で蒸れると臭くなるイメージがあるので、通気性が良くてあまり蒸れることがないと考えられるサンダルが臭くなるのは不思議な感じがします。
実は足は思っている以上に汗を掻く部分です。足の裏やつま先は汗を掻きやすく、1日でコップ1杯分(約200CC)の汗を掻きます。
人間の体の中で汗を掻きやすい部分は、脇の下や背中だと思っている人も多いかもしれませんが、手のひらや足の裏は頭に次いで汗を掻きやすい部分です。
一般的には、重要な体の部分には汗腺が集中していて、汗を掻くことにより体温調節をしやすくするようになっています。
しかし、手のひらと足の裏は少し事情が違っていて、汗を掻くことにより摩擦を作り出すようになっています。
裸足で歩いていた人類の祖先が滑りにくく歩きやすくなるように、足の裏の発汗量が増えていったと考えられています。
夏には裸足で直接サンダルを履く機会が多いと思いますが、いくら風通しの良いサンダルであっても、足の裏と直接触れているので大量の汗がサンダルに付着すると考えられます。
靴下を履いているのであれば、汗は靴下に吸収されますが、サンダルでは汗の逃げ場所がありません。
つまり、裸足でサンダルを履いているということは、大量の汗の中に足を突っ込んでいる状態と言っても良いのです。
特に汗の逃げ場がないようなゴムやプラスチック製のサンダルの場合には、蒸れ具合は相当な状態になっていると考えられます。
高温多湿なサンダルの中の状態は、雑菌にとっては繁殖するためには好適な環境です。サンダルの中に染み込んだ汗の中で雑菌はどんどん増えていきます。
この雑菌がサンダルの嫌な臭いの原因です。また、足の裏には角質という固い部分がありますが、角質は剥がれやすいという性質があります。
裸足の場合は剥がれ落ちた角質が直接サンダルの中に残ります。角質は雑菌にとって大好物なので、これも繁殖の原因になります。
さらに、足の指の間は密着しているので、雑菌が繁殖しやすい環境であると言えます。このように、実はサンダルは悪臭を発生しやすい環境が揃っているのです。
予防対策は?
サンダルが臭くならないようにするためには、汗をあまり掻かないようにするか、汗を掻いたサンダルに雑菌を繁殖させないようにするか、の2つの方法が考えられます。
人間が汗を掻くことは避けられないことではありますが、どうすれば汗を掻きにくくなるのかを考えてみましょう。
太い血管が通っている部分の体温が上昇すると汗を掻くようになります。したがって、足の付け根や膝の裏などを冷やすと、体温を下げることができるので、発汗量も減ります。
冷えたペットボトルやタオルなどで冷やすと、応急処置的に汗を止めることができるでしょう。足の裏に近い部分でなければ、首や脇の下を冷やすことも効果的です。
汗を掻きにくくなるツボを刺激することも有効な対策になります。多汗症などによいと言われているのは、手の人差し指の親指側のツボと足の小指の外側のツボです。
これらのツボは、興奮している交感神経を抑制することができるとされています。腰を圧迫することも足の発汗を抑えるとされています。
普段の位置よりもベルトを少しだけ下げて、腰をぎゅっと締めると足の発汗を抑えることができます。
圧迫した腰の反対側の発汗が抑えられる作用のことを「皮膚圧反射(半側発汗)」と言います。つまり、腰の両側を圧迫すれば、皮膚圧反射により足汗を抑えることができるのです。
冷え性の人は、発汗量が多いことがあります。血行が良くないために、部分的に発汗量が増えてしまうのです。
例えば、ショウガのような食べ物で体を温める工夫をしたり、足の指が独立している5本指の靴下などを使って、足を冷やさないようにすることが考えられます。
また、足の角質のお手入れも冷え性改善には効果があります。固い角質の状態は、血行を悪化させるので冷え性には大敵なのです。
さらに、前述したように古い角質は足の臭いの原因となる雑菌が繁殖しやすくなるので、こまめにお手入れをすることが大切です。
基本的な対策かもしれませんが、定期的な運動をして体温調節が適切にできるようにしておくことも重要です。
不規則で不摂生な生活をしていると、体温調節機能がおかしくなってしまいます。ただでさえ夏場は暑くて体温調節が難しい季節です。
しかし、普段から規則正しい生活をして体を動かすようにしておけば、体温のコントロール機能が正常になっているので、必要以上に汗を掻くようなことはなくなると考えられます。
次に、サンダルに雑菌を繁殖させない方法について紹介します。
前述の通り、サンダルに足の汗が浸み込むことが原因なので、素材にもよりますが、サンダルをこまめに洗って乾かしておくことが最も基本的な対策になります。
もし水洗いが難しい素材のサンダルだったら、天日干しで雑菌を死滅させましょう。長時間直射日光を浴びさせれば良いのですが、サンダルが日焼けして変色してしまう場合もあります。
そのような時には、日なたでの天日干しは短時間にして、続けて陰干しをするようにしましょう。
サンダルの足の裏が着いている部分は汗でベトベトしていることがあるでしょう。そのような場合には、中性洗剤を含ませた雑巾などでベタベタを拭き取りましょう。
拭き取れたら、水を固く絞った雑巾でもう一度サンダルを拭きます。そうすると雑菌の繁殖が抑えられるので、悪臭がすることはなくなるでしょう。
靴用の消臭スプレーを使っても良いかもしれません。ちょっとした臭いであればサッパリと消し去ってくれます。
しかし、スプレーやサンダルの素材によっては、染みが残ってしまう場合も考えられます。さらにはスプレーが全然効かない強烈な臭いの場合もあります。
何日も同じサンダルを履いていると、臭いが浸み込んで取れにくくなってしまいます。したがって、サンダルも普段の靴と同じようにローテーションした方が臭くなりにくくなります。
また、上記のようなサンダルの臭い対策の効果も効きやすくなりますので、同じサンダルを履き続けることのないように注意することも重要です。
普段の生活で使っているものを利用することで、サンダルの悪臭を防ぐことができます。例えば、新聞紙、お茶殻、重曹、脱臭剤などです。
新聞紙は強力な脱臭力を持っています。新聞紙にサンダルを包んでしばらく置いておくと嫌な臭いが取れています。
なかなか臭いが取れない場合は、新しい新聞紙に替えて何度か繰り返してみてください。ただし、新聞紙のインクがサンダルに染みないように注意してください。
お茶殻は乾かしたものを使います。お茶殻や重曹、脱臭剤はサンダルと一緒にビニール袋に入れて密封しておくと効果的です。
最近では、サンダルに直接足が触れないように、サンダル用の中敷きなども販売されています。中には防臭機能があるものも売られているようです。
このように様々なサンダルの悪臭防止対策はありますが、基本は足を清潔にしてこまめにサンダルを掃除することです。
ただでさえ足を出すことが多い夏だからこそ、サンダルが臭いようなことがないようにケアしておきましょう。