秋に旬を迎える栗ですが、おすそ分けや栗拾いなどで、家に大量に栗がある状態になることは0とは言い切れませんよね。
意外と多く手元に残ってしまうと、次に困るのは栗の保存方法です。
では、どんなところに気を付けてどのように保存すればよいのでしょうか。
今回は、栗の保存方法についてご紹介します。
栗の保存方法の注意点は?
では、保存する際に注意する点について大まかに2点ご紹介します。
甘さに対する注意点
実は、栗が一番甘いのは収穫直後ではないのです。
収穫後、0℃程度の低温保存することにより、少しずつ糖度を増していきます。
約4週間から6週間ほど経つと、およそ収穫後の3倍程度の糖度になり、もっとも甘く感じます。
栗は実ではなく種で、低温にしておくと発芽するためのエネルギーを生産しようとします。
その時にアミラーゼという物質を作りますが、これはデンプンから糖を作り出す際に必要な酵素です。
ですので、結果として栗の糖度が上がり、甘く感じるようになります。
そのもっとも甘い時に、マイナス25℃以下で冷凍保存することによって、甘さを保ったまま長期保存できるようになります。
虫に対する注意点
自然環境下で育った栗は、虫がついていることがあります。
例えば収穫直後の栗を常温で2日から3日ほど放置しておくと、白い粉状のものがふきでたように見えることがあります。
これは、栗の鬼皮と渋皮の間に虫の卵が産みつけられており、それらが孵化して幼虫となり、活動を始めたということです。
こうなると食べることを躊躇してしまいますよね。
ですので、殺虫処理をしてから保存するのが基本の保存方法です。
常温保存は可能?
下処理を施すことにより、常温でも保存は可能です。
基本的には栗を半日以上水につけておくことで下処理ができます。
また乾燥してしまうとよくありませんので、ある程度水気を切り、皮つきの状態で新聞紙にくるみ、冷暗所で保存します。
もしくは、バケツなどに水をため、よく洗った栗をその中に入れます。
冷暗所で保存しますが、水は毎日取り換えるようにしましょう。
賞味期限は、約1週間ですが虫がいない場合はもう少し長持ちする場合があります。
水につけていた場合は、1週間以内を目安に食べきるようにしましょう。
常温で長期保存する場合は、栗の渋皮煮などにするとよいです。
保存容器を煮沸消毒し、水気を切ります。
栗の渋皮煮を沸騰させてから瓶に移し、砂糖などを使ったシロップをひたひたに満たします。
瓶の蓋を乗せ、中にお湯が入らない程度までのお湯に瓶ごとつけます。
お湯を張った鍋に蓋をし、中火で15分ほど煮沸し、取り出してから蓋を閉め、逆さにして冷まします。
未開封状態で常温でも1年近く保存することができます。
冷蔵庫で保存する際の注意点
基本的には冷蔵保存が適していますが、どのようなことに注意して保存すればよいでしょうか。
生栗に近い状態で保存
まずは、甘みを強くするためにも糖化を促すことが大切です。
余分な水分を抜くために、1日程度天日干しをします。
その後新聞紙に包み、ビニール袋に入れ、チルド室あるいは冷蔵庫の中でも涼しい部分で保存します。
正しい保存の仕方であれば、3か月ほど保存することができますが、1週間以内を目途にするほうがよいでしょう。
茹でてから保存する
少し手間に感じるかもしれませんが、確実に殺虫をし保存する方法です。
まず、栗1キログラムに対し、水を2リットル用意します。
鍋に水をはり、80℃にまで温度を上げます。
栗をなべに入れ、80℃をキープして、1分間茹でます。
栗の表面を陰干しで乾燥させ、結露を防ぐために穴を数か所開けたビニール袋などに包みます。
そして冷蔵庫で保存します。
保存期間は1週間から1か月程度ですが、なるべく早く食べきるようにしましょう。
冷凍庫で保存するときは?
まずは、冷蔵保存の時と同じように、甘みを増やしてやります。
その後、フリーザーバッグなどに入れ、空気を抜いてから冷凍保存します。
鬼皮は、栗ご飯などにするのであれば剥いてからのほうがよいですが、そうでなければ剥かなくても構いません。
正しい保存の仕方であれば、6か月程度保存することができます。
食べるときの注意点
解凍すると、柔らかくなりすぎてしまいますので、冷凍したまま調理することをおすすめします。
栗ご飯を作る場合などは、鬼皮をとってあればそのまま調理してください。
鬼皮がまだついている場合は、圧力鍋があればそちらを使います。
圧力釜でお湯を沸騰させ、約10分間加圧します。
その後、自然に圧力が抜けるのを待つとふっくらとした蒸し栗になりますので、それを栗ご飯にしたり、蒸し栗としてそのまま食べたりすると、美味しく食べることができます。
もし圧力釜がなければ、普通の鍋にお湯を沸騰させ、冷凍されたままの栗をそのまま入れ、茹でます。
まとめ
栗の保存方法として、一番生の状態に近いまま保存できるのは、冷蔵庫で新聞紙を使って適度な乾燥状態を保ったまま保存する方法です。
虫がついているのが嫌だという方は、必ず下処理を行ってから保存するようにしましょう。
冷凍保存では長持ちさせることができますが、どうしても風味が変わったりする場合があります。
また、すべての保存方法でいえることですが、その栗の入手経路によって最適な保存方法が変わります。
スーパーなどで購入した栗は、すでに甘みの増加や下処理が行われている場合が多いため、そのまま食べることがおすすめです。
反対に、自分たちで収穫した栗は、まだ甘みが十分でなく、下処理も行われていません。
低温環境にしばらく置き、甘みが増してから下処理を行うほうがよいでしょう。