ワインのコルク栓を抜いた時のワインの香りは、これから飲むワインへの期待を盛り上げてくれる効果があります。
しかし、ワインのコルク栓を上手に抜くことができないとちょっと気分も湿りがちになってしまいます。ましてや栓抜きが見当たらない場合にはイライラしてしまいます。
コルクの栓抜きに関して説明するとともに、栓抜きの代わりに使えるものについて紹介します。
ワインの栓はコルクだけ?
なぜ多くのワインにはコルクの栓が使われているのでしょうか。コルクは軽くて柔軟性があるのでビン内のワインを密封するのに適しています。
また、気体や液体を通すこともなく、腐敗にも強いという性質があります。このような特徴から、17世紀末頃からワインの栓にはコルクが使われています。
コルク栓と一口に言っても、いくつかの種類があります。天然素材のコルクを使ったものが、本来のコルク栓です。
天然コルクとはコルク樫の樹皮にあるコルク層から作られるものです。天然素材なので、ものによっては品質がバラついてしまうことがあります。
高級ワインには上等なきめの細かいものが利用されています。最近では原料であるコルク樫の調達そのものが難しくなっているので、他の素材を使ったものに変わりつつあります。
天然コルクを作る時に、大きさが足りなかったり欠片ができたりする場合があります。そのようなコルクを粒状にして圧縮したものを圧縮コルクと呼んでいます。
圧縮コルクは天然コルクに比べると安価なので、高級なワインや長期熟成が必要なワインなどにはあまり使われることはありません。
コルク資源の減少から、シリコンなどの人工樹脂を使ったコルクも登場しています。カジュアルなワインに利用されることが多い栓です。
密閉性は非常に高いのですが、コルクに比べると柔軟性に乏しいので、栓抜きのタイプによっては開封することが難しい場合もあります。
また、栓ではなくてスクリュータイプのキャップを使っているワインもあります。コルク栓などに比べると楽に開けられる点はメリットです。
ただし、スクリューキャップにはどうしてもカジュアルなワインというイメージがついてしまっているところが難点です。
最近では高級ワインにも使用されている場合があるのですが、前述の通り、高級ワインには天然素材のコルク、というイメージが定着してしまっているため、印象を覆すのは大変かもしれません。
コルクの栓抜きの種類
コルクの栓抜きにはいくつかの種類がありますが、それぞれの使い方や特徴について説明します。コルクの栓抜きは、一般的にはワインオープナーと呼ばれます。
最も知られているワインオープナーはスクリュータイプのものでしょう。コルクにスクリューを回転させながら刺していって、しっかりと刺さったら力を入れてコルクを引き抜きます。
見た目には簡単そうですが、実際にはまっすぐスクリューを刺すことができなくてコルクを砕いてしまったり、開けた瞬間にワインをこぼしてしまったりすることもあります。
しかし、慣れればワインを開けた瞬間の爽快な「ポン」という音を楽しむことができます。フレンチ料理店などでソムリエがカッコよくワインを開ける時に使っているのがソムリエナイフです。
ソムリエナイフはスクリューをコルクに刺すところはスクリュータイプのワインオープナーと一緒ですが、てこの部分をボトルの口に引っ掛けて、てこの原理でボトルを引き抜くものです。
上手に使えると見栄えも良いのですが、スクリュー式と同様にコルクを砕いてビンの中に落としてしまうような失敗をすることもあるので、使い方には訓練と注意が必要です。
ウィング型(バタフライ型とも呼ばれます)のワインオープナーは初心者や非力な女性に向いているワインオープナーです。
ハンドルを回転させることでスクリューがコルクに刺さっていって、両側にあるハンドルが上がっていきます。
両方のハンドルを持って下に引き下げればコルクが抜けるという構造になっています。
ウィング型のワインオープナーもてこの原理を利用したものですが、スクリュー式やソムリエナイフに比べると、非常に簡単に使うことができます。
ワインオープナーを上手に使うにはある程度の経験が必要な場合が多いですが、まったく経験がなくても利用できるものがあります。
それが電動式のワインオープナーです。ワインボトルの口にセットしてボタンを押すだけでコルク栓を抜くことができます。
コルクの上に巻いてあるアルミのホイルを切ってくれるホイルカッターと一体になっているものもあって便利です。
あまりに簡単にコルク栓を抜くことができるので、手動のワインオープナーを使うようなカッコいいところを見せることはできませんが、安心して利用できるというメリットは大きいでしょう。
このように様々なワインオープナーがありますが、もし身近にワインオープナーがなかっ
たらどうしますか。
コルクの栓抜きの代用品は
ワインのコルクを抜くことができないとせっかくのワインも口にすることができません。ワインオープナーの代用品になるものが身近にあるのでしょうか。
実は靴を使ってコルク栓を開ける方法があります。できれば底が固い革靴が望ましいです。
ワインボトルの底を靴のかかと部分に押し当てて、そのまま壁を叩いていきます。すると不思議なことにコルク栓が少しずつ上がって抜けていきます。
これは空洞現象という法則を利用した方法です。空洞現象とは液体にかかる圧力差が原因で泡の発生と消滅が起きる現象をいいます。
ワインボトルを直接壁に叩きつけると割れやすいことから靴を使っているのですが、それでもビンが割れてしまう可能性があるので、注意しながら叩くようにしましょう。
釘やネジを使う方法もあります。コルクへの引っ掛かり具合を考えるとネジの方が良いかもしれません。
スクリューのようにネジをコルク栓に回して埋めていきます。適度な部分まで埋めたら、釘抜きやペンチでコルク栓ごと引き抜きます。
フォークを使っても大丈夫です。てこの原理を使ってコルク栓を抜くのですが、ある程度の力は必要なので、その点には注意が必要です。
ナイフを使ってコルク栓を抜く方法もあります。小さめのナイフを使います。
コルクの中にナイフを回し入れて、ゆっくりと回しながら引き抜きます。力を入れ過ぎるとコルクがボロボロになってしまう場合があるので気を付けてください。
また、この方法は刃物を使うので、十分に気を付けて行わないと手や指を切ってしまう可能性もあるので慎重に行ってください。
ワインを飲むことを目的にしているのであれば、コルク栓を押し込んでボトルの中に落としてしまうという方法も考えられます。
指で押し込むのは難しいので、身近な道具を使って押し込んでしまいしょう。コルク栓がワインの中に入ってしまっても、すぐに飲み切ってしまえば品質や味に影響はないでしょう。
しかし、コルクを押し込む時にコルクが崩れてばらばらに砕けてしまうような場合があります。
そうなってしまうと細かいコルクの破片がワインに浮いてしまって、とてもじゃないですが飲めたものではありません。
ひとつひとつ破片を除いてからワインを飲むようにするか、ワインを濾してから飲む必要がありますが、どちらにしても非常に手間です。
最悪の場合は、ワインをそのまま捨てることになってしまいます。したがって、コルク栓をボトルの中に押し込むのは最終手段として考えておいた方がよいでしょう。