ストッキング、タイツ、パンストそれぞれの違いは、女性であれば多くの人が知っているかもしれませんが、男性では良くわからない人が多いのではないでしょうか。
冬場には温かくて良いかもしれませんが、暑い日でもストッキングなどを穿いている女性を目にすることがあります。
ストッキング、タイツ、パンストはどのような目的で穿かれているのかを説明して、それぞれの特徴を紹介します。
ストッキング、タイツ、パンストを穿く目的
ストッキング、タイツ、パンストはどのような理由で穿かれているのでしょうか。
例えば、タイツは防寒対策商品として、女性用だけでなく、男性用や子供用の商品も販売されているので、寒さを防ぐためという理由が考えられます。
以前は男性の防寒用下着としては股引が主流でしたが、現在では見栄えや素材も考慮されてタイツが主流になっています。
また、股引は綿素材のものが多かったので重くて動きにくかったのですが、化繊などのタイツであれば暖かくて軽くて動きやすいという利点があります。
しかし、女性にとっては必ずしも防寒目的だけで穿いているのではなさそうです。
ストッキングやパンストに顕著ですが、ファッションの一環としてこれらの製品を女性は利用しているのです。
ストッキングなどには素足を締め付けて足をキレイに見せる効果があります。
様々なデザインやカラーのストッキングなどが販売されており、自己アピールの道具として重要な地位を占めているのです。
また、冠婚葬祭やオフィシャルな場では生足でいることが失礼とされる場合があり、マナーとしてストッキングなどを穿くということも考えられます。
女性の中には、足のすね毛処理を忘れていても目立たない、ミニスカートを堂々と履ける、などの理由でストッキングなどを穿いている人もいます。
夏場でもストッキングなどを穿かなければならない場合は、暑苦しくて大変でしょう。男性にも穿かせてこの苦しみを味あわせてやりたい、などと怖いことを考えていまうかもしれません。
現在では夏用のストッキングが販売されています。例えば、涼感加工されたものやUVカットが施された製品です。
引き締め効果は薄れますが、お尻や腰がメッシュ構造になっているものもあります。このように暑い夏にも利用できるストッキングなどが利用されるようになってきてはいます。
ストッキング、タイツ、パンストの特徴
それでは、ストッキング、タイツ、パンストはそれぞれ何が違うのでしょうか。それぞれの特徴を説明します。
ストッキング
ストッキングとは薄手の長靴下のことで、ナイロン製のものは女性のファッションアイテムとして用いられています。
ストッキングには様々な種類のものがあります。後述しますが、パンスト(正式名称はパンティーストッキング)もストッキングの一種です。
ストッキングには、パンスト以外にも、ガーターストッキング、ノンガーターストッキング、ショートストッキング、エアーストッキング、医療用ストッキング、和装用ストッキングなどがあります。
ガーターストッキングは、ストッキングがずり落ちるのを防ぐために腰に付けたガーターベルトでストッキングの上部を留めているものです。
しかし、着用が面倒なため、ストッキングの上部のゴム部分が強化されると徐々にガーターベルトが廃れていきガーターベルトがなくても履けるノンガーターストッキングへ人気が移りました。
パンストは好まないしガーターベルトは面倒と考える人に支持されています。ショーツストッキングは、ハイソックスのように短めのストッキングを差します。
エアーストッキングとは、通常のストッキングとは異なり、生足にスプレーをして素足をきれいに見せるものです。足用のファンデーションと言っても良いかもしれません。
一般的なストッキングは足を美しく見せるためのものですが、医療用ストッキングは治療や予防のために利用されているストッキングです。
例えば、足のむくみに対する治療、静脈瘤や静脈血栓による塞栓症の予防などの目的で、強い圧力や柔軟な伸縮性を持ったストッキングが医療現場や医師の指導に基づく在宅治療などで使われています。
和装用ストッキングとは着物を着た時に穿くことができるストッキングのことです。
このように様々なストッキングがありますが、ストッキングにはきちんと定義があります。それは、「ナイロン製で30デニール以下の靴下」というものです。
長さには特に決まりはありません。デニールとは、普段あまり使うことのない、糸や繊維の太さの単位です。
糸は細くて柔らかいので、長さで表すことが難しいものです。そこで一定の長さの質量によって太さを表すという方法が取られることになりました。
具体的には、9,000m(メートル)の糸の質量をg(グラム)で表したものがデニール値となります。すなわち、長さ9,000メートルの質量が30gであれば30デニールとなります。
デニールの値が小さい方が細い糸を使っている、ということになります。
タイツ
タイツは一義的には保温を目的に製造されているもので、デニール値も30デニール以上のものを差します。
またメーカーによっては、ストッキングは1本のナイロンで編まれているものに対して、タイツは複数の種類の糸で編まれているものとしている場合もあります。
また、タイツは厚手のため、保温性だけでなく耐久性にも優れており、下着も透けにくいものが多くなっています。
ストッキングは前述したように靴下ですが、タイツは衣服として定義されています。
なお、全身タイツもタイツという言葉が使われていますが、これはレオタードから誕生したもので本来のタイツとは別物です。
網タイツにもタイツという言葉がありますが、これはパンストにより近いものと認識されています。
春から夏へと季節が変わるとタイツからストッキングへと衣替えする人が多いようですが、最近では冷え性の女性も増えてきており、夏場でもタイツを手放せない人もいるようです。
前述したように男性用のタイツも増えてきており、ファッション性の高い製品も販売されています。またランニング用タイツなどの目的に応じた機能性を高めたタイツも登場しています。
パンスト
パンストは、前述したようにストッキングの一種ですが、足の部分だけではなくてお尻の部分まですっぽり隠すことができるストッキングをパンスト(パンティストッキング)と呼びます。
つまり、その名の通り下着であるパンティと靴下であるストッキングが一体化されたものです。
しかし、そもそも女性用下着をパンティと呼ぶことが少なくなってきており、パンストと呼ぶことも減ってきています。
現在では、パンストのことを単にストッキングと呼ぶことも多いと考えられます。
もともとはパンティを穿かずにパンストは着用するものでしたが、透けて恥ずかしいということからパンティの上に穿くようになりました。
日本では1990年代半ばの生足ブームで、冠婚葬祭などの場以外での着用が一時急減しましたが、2012頃からのタイツ・ストッキングの復権によりあらためて注目を浴びるようになりました。
ブームを先取ると言われている女子高生が、社会人女性のストッキング姿を見てカッコいいと真似始めたことがブーム再来のきっかけと言われています。
このように、パンストはストッキングの一種ではありますが、タイツは少し定義や利用方法が異なっているということです。
最近では男女の性差をなくそう(ジェンダーレス)という考え方が広まっており、男性でもきれいになりたいのでストッキングなどを履きたいという人が増えています。
この動きを受けてストッキングなども様々な方向に発展するかもしれません。