2016年夏、驚きのニュースを耳にした方は多いことでしょう。
天皇陛下が生前退位の意向を示され、約30年続いた平成という時代が終わるというものです。
ですが、結局いつになったら変わるのかという疑問をお持ちの方もいることでしょう。
今回は一つの時代の節目を迎える前に、平成についてご紹介します。
平成はいつ終わる?意味や由来・理由は?
まずは平成はいつから始まったのでしょうか。
平成の始まりの日は1989年1月8日です。
元号は、新天皇が即位されたときに新しいものへと変わります。
つまりは、この前日である1989年1月7日が、前天皇である昭和天皇が崩御された日ということです。
崩御とは天皇や、皇帝、国王や皇太后、皇后などが死去した時の敬語表現です。
日本国内では天皇の死去に対し、崩御という言葉を使うことが多いです。
なぜ天皇が変わると元号を変えなければならないの?
日本には元号法と呼ばれる法律があり、その名の通り元号について定めた法律です。
もともと大日本帝国憲法では、旧皇室典範の第12条により定められていましたが、日本国憲法の現皇室典範の制定によりその条文が消失し、法的に明文されていない状態が続いていました。
ですが、それによって元号が消えるわけではなく、国会や政府、裁判所といった公的文書や民間における新聞でも慣例的に元号を用いた年号表記が使われていました。
昭和天皇が高齢になってきたこと、1976年の世論調査により国民の87.5%が元号を使用しているという事実から、1974年、つまり昭和54年6月6日に国会で元号法が成立し、6月12日から公布・即日施行されました。
この法律によると、元号は法令で定めること、元号は皇位の継承があった場合に限り改めることとされています。
元号が同じ天皇の間変わらないというこの第2項は、一世一元の制と呼ばれています。
そして、昭和64年1月7日に昭和天皇が崩御され、元号を改める政令が同日に公布されました。
この政令には附則があり、公布の翌日、つまり平成元年1月8日から施工される旨が書かれていました。
当時、官房長官を務めていた小渕官房長官が「平成」と書かれた文字を掲げながら発表していたのは、きおくにのこっているかたも多くいるのではないでしょうか。
この元号が改まるのは、新天皇の即位を祝福する気持ちで行われているようです。
結局いつまでが平成なの?
平成は2019年、つまり平成31年4月30日までとなりました。
もともとは、区切りのいい平成30年12月31日で区切る予定でしたが、年末は公務などで皇室が忙しい時期です。
そのため、通常の公務に加えて現天皇陛下の退位や皇太子さまの即位が重なってしまうと混乱を招きかねません。
ですので、年末で区切るということは避けたようです。
また、日本には3月末で年度を終え4月から新年度が始まるという慣習があります。
そのため、3月31日ではないのかと考える方も多くいらっしゃったでしょう。
ですが、4月には統一地方選が控えています。
また、4月は新年度の始まりに伴い、全国的に人の移動が激しくなります。
公務や、国民の生活が忙しくなる時期を避けた結果、4月30日が適当であると判断され、この日が平成最後の日となるようです。
平成の意味や由来って?
平成という案は最終候補に残った3案のうちの1つで、東洋史学者であり、東京大学名誉教授でもある山本達郎氏による案です。
由来は、中国前漢の武帝時代に司馬遷によって編纂された史記や、同じく中国最古の歴史書で、政治史や政教などが記された書経あるいは尚書にある言葉です。
史記の五帝本紀には内平外成(内平かに外成る)と、書経には大禹謨の地平天成(地平かに天成る)という言葉が記されています。
これらからきた平成には、国の内外、天地ともに平和が達成されるという意味が込められています。
また、史記には平成以前にも元号の出典先として過去12回採用されています。
他にはどんな候補があったの?
最終候補に残った2つは、宇野精一氏が提案した「正化(せいか)」、目加田誠氏の提案した「修文(しゅうぶん)」がありました。
しかし、どちらもが頭文字がSで始まり、元号をアルファベットで省略した時に昭和のSと見分けがつかなくなるという理由から、平成になったとされています。
次の年号は何になる?
平成があと1年をきりましたが、平成30年7月18日現在、まだ平成の次の元号が何になるのかは発表されていません。
元号を決めるルールは?
元号を制定する際には、いくつか条件があります。
まずは、国民の生活において理想となるようなよい意味を持つものであることです。
また、漢字二文字であり、書きやすく読みやすいものである必要があります。
そしてこれまでに元号として、またはおくり名として使われたことがないものでないといけません。
さらに俗用されているものは元号として使うことができません。
実は、「平成」という文字は俗用されていたとのことです。
人の名前で、平成(たいら しげる)さんという男性や岐阜県関市にある下之保平成(へなり)というのは元号制定前から存在していましたが、当時はインターネットなどが今ほど普及しておらず、検索結果が十分でなかったことから、平成の選定過程で同じ漢字が使われていることが調査ではわかりませんでした。
また、公式では明文化されていませんが、これまでの傾向から近代で用いられた元号とはイニシャルが同じにならないようにされるのではないか、とも言われています。
決まってから変更になる可能性はあるの?
基本的には公表後に変わることはありません。
ですが、公表前に早い段階から大々的に噂になっていたり、テレビや新聞などで取り上げられてしまった場合は変更される場合があります。
実は、昭和という元号を決定する際にも、もともとは違う元号を使用する予定でした。
ですが、ある新聞社により政府の発表前に発表されてしまったため、急遽政府が変更せざるを得なくなったという過去があります。
変更に伴う不安なことは?
生前退位が決まり、元号が変わることが発表されているのにも関わらず、新元号がなかなか発表されないことに対して不安感を持っている人たちがいるのも事実です。
それは、システムエンジニアであったり、カレンダーやシステム手帳などの製作会社の人たちです。
通年通りでしたら、崩御により元号が改まるので、事前に察知しておくことは不可能でした。
ですが、今回はあらかじめいつから元号が変わるのかはわかっています。
カレンダーなどは前年の夏ごろに次のカレンダーを製作するようです。
現時点で新元号が判明していないため、5月以降の元号欄を省いていたり、最初から西暦表記のみにするなどと現状で努力をされています。
また、免許証などの更新も混乱が起こると予想されています。
運転免許証は公的な書類のものですので、元号表記で書かれています。
更新日が平成31年5月以降である場合は、それがいつであるか忘れてしまうとうっかり失効などの危険性がありますので、より注意深く自分の免許証の更新年を把握しておく必要があります。
そして、現天皇陛下が退位されるのが4月30日、皇太子さまが即位されるのが5月1日ですので、数時間とはいえ、日本に天皇がいなくなる時間が生まれるということを不安に感じている方もいます。
まとめ
平成31年4月30日をもって、平成という一時代が終わりを迎えます。
現在多くの方が、次の元号は何になるのか気にされているのかもしれません。
ですが、あまり騒ぎすぎるとせっかく決まっていた元号が急遽変更となる可能性も否めませんので、見守るほうがよいかもしれませんね。