突然ですが、月経カップという言葉を聞いたことはありますか?
その名の通り、月経つまり女性が生理の時に使うものです。
別にこれは最近登場したものではありません。
欧米ではすでに50年以上前から使われているもので、それほど珍しいものでありません。
それに比べて日本では、生理の時はナプキンやタンポンを使う方が多く、月経カップを使っているのはごく少数派でした。
ですが、第三の生理用品とも呼ばれる月経カップは最近日本でも認知され始め、少しずつですが使用している方も増えてきています。
もともと日本の製品ではなかったため、購入する場合は通販などで欧米製のものを購入する必要がありました。
日本では、薬事法により生理用品の定義が決まっていました。
ナプキンやタンポンなどの生理用品は、生理処理用品という医薬部外品に分類されていました。
医薬部外品ですので、生理処理用品基準というものが定められています。
簡潔にまとめると、清潔であり白色であること、においは無臭かほとんどないこと、異物が混入していないこと、本体の重さの10倍以上の吸収ができることなど細かく定められています。
ですので、月経カップは生理処理用品の範疇外となり、日本では認められていませんでした。
そしてようやく、2017年に日本製の月経カップが販売されました。
ROSE CUPは初めての純国産の月経カップです。
また、2018年1月には、経血量を外からでも確認できるように、クリアタイプのものが製造販売されています。
月経カップとは?安全面や危険性を比較
では、まずは月経カップとはどんなものかについてご紹介します。
ほとんどのことはまだ見たことがないのではないでしょうか。
ナプキンやタンポンは装着部位にこそ違いはありますが、繊維で作られた生理用品で経血を吸収させるものです。
一方、月経カップは医療用のシリコンや天然ゴムで作られており、膣内に装着しそこで経血を溜めるカップのような形をした生理用品です。
月経カップは安全?
同じ膣の中に入れて使用するタイプでしたら、タンポンが挙げられます。
ですが、タンポンは長時間つけているとTSS(トキシックショック症候群)になることがあります。
これは人の常在菌である黄色ブドウ球菌が異常発生し、それらが毒素を出すことにより発熱や嘔吐、意識の混濁や失神、最悪の場合は死を引き起こすおそろしい病気の1つです。
初期の症状が風邪に似ているため、気づかずにそのまま悪化し、ということがあります。
では、月経カップではどうでしょうか。
実は黄色ブドウ球菌は乾燥した環境を好むバクテリアです。
タンポンは経血を吸収してしまうので表面は乾燥しています。
月経カップは経血をそのまま貯留するだけですので、膣内の湿潤を失うことはありません。
もちろん、1度TSSを引き起こした方は膣内に黄色ブドウ球菌が潜んでいる可能性が高いですので使わないほうが無難でしょう。
ですが、タンポンに比べるとTSSのリスクは低いといえます。
危険性はないの?
現状、同じ膣の中に入れるタイプのタンポンに比べると安全といえるでしょう。
ですが、月経カップはタンポンと違い使い捨てではありません。
カップが傷ついたり汚損していると、TSS以外にも病気を引き起こしたり、経血が漏れ出すという恐れがあります。
また、膣内に挿入して使いますので、爪が伸びていたり派手な装飾のついたネイルで取り扱うことは避けましょう。
長時間装着していられる経血カップですが、長時間経血を溜めっぱなしにしておくと雑菌の繁殖リスクが高くなりますので、外し忘れるということには注意が必要です。
どのように使えばいい?
最初は使い方が難しいかもしれません。
ですが、慣れれば簡単という意見も多いですので、正しい使い方や入れ方、お手入れ方法を知っておくとよいでしょう。
月経カップの入れ方
入れるときは、膣口をふさぐようにして膣内に挿入します。
月経カップは医療用シリコンや天然ゴムで作られていますので、折り曲げることができます。
入れやすいようにUの字型になるように折り曲げます。
カップを折り曲げたまま膣内に挿入し、挿入できたら指を離しカップを広げます。
その後、カップの下についているステムと呼ばれる部分を持ち、回転させてきちんとカップが広がっているか確認します。
ステムが膣内にすべて収まるように挿入し、装着は完了です。
月経カップが開かないときは
月経カップをいきなり奥の方まで入れてしまうと、開かないままの場合があります。
ですので、最初はステムが隠れるかどうかといった浅い位置まで挿入します。
それからステムを少し押してやれば通常は、元の形に開きます。
それでも開かないという場合は、ステムを持ち回転させましょう。
ほとんどの場合はこれで開きます。
まだ開かなければ一度取り出し、再度挿入するとよいです。
月経カップのお手入れ方法
取り出した月経カップには、経血が貯留されていますのでトイレなどに捨てます。
その後、水もしくはぬるま湯を使い、伸ばすように洗い流します。
膣内には自浄作用があるため、基本的にはこの洗い流す作業だけで構いません。
可能であれば毎回、少なくとも1日に1度くらいは、石鹸など弱酸性の洗剤で洗うことが推奨されています。
主な原料が医療用のシリコンなどですので、汚れは残りにくいですがにおいなどが気になるという方は洗ったほうがよいでしょう。
においがなかなか取れない場合は、セスキ炭酸ソーダなどのアルカリ洗剤を少量とかしたぬるま湯に漬けおきすることで落ちやすくなります。
また、心配な方は月経カップ専用の洗剤を使うとよいです。
たまに消毒殺菌をする
体内に入れるものですので、清潔さが気になるという方はたまに消毒してやるとよいでしょう。
基本的にはレンジやお鍋などを使い、煮沸消毒します。
注意点としてはあまり殺菌効果が高い消毒薬などは使わないことです。
強い殺菌効果は、膣の中にある常在菌なども除菌してしまいます。
そのため、常在菌のバランスが崩れ、トラブルのもととなってしまうことがあります。
月経カップが取れないときはどうすればいいの?
まずは焦らないことです。
取れないからといって強く引っ張ってしまうと月経カップの破損や膣内の損傷につながります。
ステムを引っ張るというよりも、本体部分を少し潰すようにしてやるとカップの中の空気が抜け、取り出しやすくなります。
痛くなった時の対処方法は?
月経カップは一度入れてしまうと違和感なく使える生理用品ですが、なかには痛みや違和感を感じるという方もいます。
その場合は、正しい位置に挿入されていない可能性が考えられます。
何度か入れ直し、自分にあった位置を見つけることで痛みや違和感が抑えられます。
もし、ステムが当たって痛いという場合は、はさみなどを使い長さを調整しましょう。
また、サイズがあっていないこともありますので、自分に合ったサイズの月経カップを購入した方が無難でしょう。
オススメの月経カップの選び方は?
膣の形は人それぞれで、大きさや長さ、または同じ人であっても出産前と出産後で異なることもあります。
ですので、まずは自分に合ったサイズの月経カップを選びましょう。
子宮口までの長さをチェックする
いわゆる子宮頸部と呼ばれる場所までの長さが長ければ、使えるカップの種類も増えますし、反対に短ければ使うことのできる月経カップが限られます。
指を挿入してみて、第一関節までしか入らない場合は、距離が短いですので使えるカップがかなり限られてきます。
その場合は小さめのカップを選びましょう。
月経カップの硬さを選ぶ
柔らかいカップは痛みや圧迫感が少ない分、開きにくいというデメリットがあります。
また、経血が漏れ出してしまうリスクもあります。
反対に硬めのカップは、潰れにくく圧迫感を感じやすいですが、開きやすく漏れにくいです。
骨盤底筋群と呼ばれる筋肉が強い方は、固めのカップのほうがオススメです。
サイズを選ぶ
よく、経産婦は大きめのカップでも大丈夫といわれていますが、海外製の月経カップは欧米人の体格を基準に作られています。
欧米人に比べて小柄な日本人では経産婦でも大きく違和感を感じるという話もあります。
もちろん、大きいカップのほうが貯留できる経血量も多いですので、経血量が多い方は大きめのカップを選んでもよいでしょう。
ですが、そうでもない方は小さめのカップを選ぶほうが無難です。
ほとんどの海外製品のブランドでは2種類の大きさがあります。
オススメできる月経カップは?
やはり、日本製のROSE CUPがオススメできます。
まず日本製品ですので、説明書は日本語です。
また、サイズが1サイズしかありませんが、日本人の体格を基準に作られていますので違和感なく使える方が多いです。
それでも大きいという場合は、ドイツで開発されたMELUNA(メルーナ)がオススメです。
シリコンやラテックスなどを含まない低アレルギー性で、医療先進国であるドイツの医療機器や、赤ちゃんの哺乳瓶の乳首にも使われている素材で作られています。
硬さも柔らかく、サイズや種類が豊富にあります。
子宮口が低い人向けに、メルーナSHORTYという製品もありますので、ほとんどの方に合う製品が見つかります。
また、挿入しやすいため性交経験がない方にもオススメできます。
まとめ
最近は日本でも使用者が増加しつつある月経カップは、使い方さえ誤らなければ安全に繰り返し使える生理用品です。
多くの商品で、医療用に使われるシリコンなどの安全性が高い素材が使用されています。
欧米では50年以上使用されていましたが、ようやく日本製の月経カップも販売され始めました。
大切なことは自分に合ったサイズの月経カップを選ぶことです。
激しい運動や水泳などの時にも使うことができますので、スポーツをされている方やナプキンなどを頻回に変えるのが面倒だという方は候補に入れてみてもよいのではないでしょうか。