歩きスマホとはスマホを使いながら歩くことで、危険な行為として注意喚起がなされています。歩きスマホの危険性とはどのような点にあるのでしょうか。
歩きスマホはスマホを使っている本人以外にも被害が及ぶケースがあります。歩きスマホの危険性や予防・対策について説明します。
歩きスマホは人混みの中で行うのはとても危険なので注意しましょう。
歩きスマホが危ない理由とは?
スマホが登場するまでは携帯電話で話をしながら歩くことはありましたが、現在ではスマホの画面を見ながら歩いている人も見かけます。
スマホの場合は視覚が奪われてしまうので、危険が近付いても気が付かないことがあるのです。ましてやイヤホンをしていれば、視覚も聴覚も使うことができません。
スマホに集中してしまうと、周囲の状況に気が付かなくなってしまうのです。そのような状況で発生する事故には笑って済まされないようなものもあります。
例えば、交通事故はすぐに考えられる事故です。車道に飛び出してしまったり、信号が変わっていたり自動車が危険な速度で近付いてるのに気が付かなかったり、最悪の場合には命に関わるような事故になることもあります。
自動車ほどではないかもしれませんが、自転車にぶつかってしまう可能性もあります。
最近の自転車は性能がよくて速度が速いものもたくさんあります。
たとえ自転車との衝突事故であっても、死亡事故や障害が残ってしまうような事故も発生する可能性はあるのです。
また、自動車に比べると走っている音は静かなので、歩きスマホをしている人には余計に気付きにくいかもしれません。当然人とぶつかることも考えられます。
相手が気を付けてくれれば、ぶつかることはないのだから、もしぶつかったとしても相手も悪いんじゃないの、と思うのはあまりにも自分勝手です。
人にぶつかった場合に大きな怪我をするようなことは考えにくいのですが、ぶつかったことが原因で喧嘩になり、大きな騒動になってしまう可能性はあります。
人混みの中で歩きスマホを使っている人がいると、他の人にとっては歩行の邪魔になります。
電信柱や看板などにぶつかってしまうこともあるでしょう。自業自得かもしれませんが、軽い怪我くらいでは済まないケースもあり得ます。
道路工事をしているような時に掘り返してる穴に落ちてしまうような場合です。本人にとっても痛い思いをすることになりますが、多くの人に迷惑がかかることを覚えておくようにしましょう。
最も危険なのは駅のホームでの歩きスマホでしょう。混雑しているホームでは人にぶつかる危険性もあります。
さらに転落防止用の柵がないようなホームでは線路に落ちてしまう可能性もあります。電車との衝突事故は、自動車以上に重大な結果となってしまう可能性があります。
もちろん生命の危機もありますし、場合によっては鉄道会社から巨額の賠償金を請求されることもあります。
このように歩きスマホは危険な行為ですが、法律で取り締まられているのでしょうか。残念ながら、歩きスマホそのものを禁じてる法律はありません。
しかし、歩きスマホで人にぶつかって怪我をさせてしまったような場合には、傷害罪に問われる可能性があり、不法行為による損害賠償を求められるかもしれません。
悪意を持って歩きスマホをしている人に故意に体当たりをして、賠償金をせしめようとする人もいるので気を付けてください。
また、日本では取り締まり対象ではないから、といって海外で歩きスマホをすると罰金を課せられてしまう可能性があります。
例えば、多くの日本人が観光に向かうハワイ州のホノルル市では条例で歩きスマホを禁止しています。
この条例は、「Distracted Walking Law(注意散漫歩行条例)」と呼ばれており、違反回数に応じて15米ドル~99米ドルの罰金刑が課されます。
日本の場合は、憲法第21条の通信の自由(秘密)があり、簡単には歩きスマホを法律では制限できない、と考えられていますが、これだけ重大な事故が発生している以上、自治体レベルでの条例などは将来的に検討される可能性があるでしょう。
歩きスマホしている人に巻き込まれない予防対策は?
歩きスマホの怖いところは、自分が歩きスマホをしていなくても歩きスマホをしている人に巻き込まれて事故にあってしまう可能性があることです。
基本的には歩きスマホをしている人のそばには近付かないことです。歩きスマホをしている人にぶつかって、車道に押し出されてしまったり、線路に転落してしまったりしては大変です。
正義感の強い人は「危ないから歩きスマホは止めてください」と、本人を注意することもあるかもしれませんが、全ての人が素直に聞いてくれるとは限りません。
余計なトラブルになってしまう可能性もあります。正しいことをしているのかもしれませんが、歩きスマホには近付かないことが一番です。
駅や歩行者天国の道路などの公共性のある場所では、駅員や警察官などに歩きスマホをしている危ない人がいる、と注意をしてもらうのもよいかもしれません。
法律では取り締まれなくても、危険な行為を防止する責任が施設管理者にはあるからです。
防止機能がついている携帯もある?
どのような方法で歩きスマホの注意を促したり、警告をしたりしていても、ついつい歩きスマホをやってしまう場合があるかもしれません。
不思議なもので、その「つい」というタイミングで事故が起こったりしてしまうものなのです。
そこで歩きスマホの対策として、防止機能が付いているスマホもあります。NTTドコモが販売しているスマホには「歩きスマホ防止機能」が付いている機種があります。
歩きスマホ防止機能とは、スマホを見ながら歩いていると、スマホが歩行中であることを感知して画面に警告を表示するものです。歩行中はスマホの操作ができなくなります。
あんしんモード、というNTTドコモのサービスに含まれている機能で、あんしんモードのアプリをインストールして、歩きスマホ防止機能を設定すればすぐに使うことができます。
他の大手携帯キャリアでも歩きスマホの防止対策を実施しています。ソフトバンクでは、「STOP歩きスマホ」というアプリを用意しています。
歩きスマホをしていると「止めましょう歩きスマホ」という文言が画面に表示されます。
また、NTTドコモと同じように、この文言が表示されている間はスマホの操作をすることができません。
auでも歩きスマホへの対策を行っています。「歩きスマホ注意アプリ」というアプリがあり、スマホが歩きスマホであることを検知すると、警告が画面に表示されます。
歩くことを止めると警告画面は消えます。これらの大手キャリアによる歩きスマホ防止アプリは無料でダウンロードすることができます。
このように携帯電話会社も歩きスマホの危険性を十分に認識していて、安全に利用者に使って欲しいという願いがあることが、これらのアプリ開発につながっていると考えられます。
上記の大手キャリア以外にも、歩きスマホ防止のためのアプリはいくつか開発されています。
基本的には、歩きスマホを感知すると警告文が表示されて、スマホが使えなくなるような機能を備えているものが中心です。
しかし、アプリは一つの防止策にすぎません。
大切なことは、スマホの利用者が、スマホを使ってはいけない状況なのか、それとも使っても問題がない状況なのか、をきちんと判断して行動することなのです。
便利な道具であるスマホを使うことで自分や他人の体や財産を危険にさらすことは、厳に慎むようにしましょう。