電子レンジは、ファミリー世帯はもちろん老弱男女を問わず単身者世帯においても広く普及しています。もはや調理に欠かせない器具となっていると言って良いでしょう。

ガスコンロなどと違って火を使わないので安全な調理器具であると認識されていますが、誤った使い方や日常の手入れ不足を原因とする火災が多く発生しています。

消防庁からは電子レンジの発火による火災は増加傾向にあるとの調査結果が公表されています。今回は、電子レンジの火災原因とこれを防止するための日常の掃除の注意点などを説明します。


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電子レンジで火災が起きる原因は?

 

火災発生の原因として「間違った使用方法」と「日常の手入れを怠っていた」という2つがあります。

 

間違った使用方法

 

まずは、取扱説明書は必ずよく読むことが大切です。「使用上の注意」は、どのメーカーの取扱説明書でも先頭部分に詳細な記載があります。
メーカーは顧客の安全を第一に考えています。以下、個々に見ていきます。

1. 水分が少ない食品の長時間の加熱

さつまいも、じゃがいもなどの根菜類は水分が少ないので予想よりも短時間で水分が蒸発し、過熱の結果、発火・発煙を起こすことがあります。

2. 量が少ない食品

千切の人参やゴボウ、冷凍食品のミックスベジタブルなど、100グラム以下の量での加熱は発火することがあります。

3.高温になりやすい食品

肉まん・アンマンなどは長い加熱時間で発火することがあります。

4.油を含んだ食品

天ぷら、唐揚げ、フライなどは長時間の加熱で発火することがあります。

5.電子レンジに適さない容器の使用

レトルト食品の包装はアルミ箔を使っているものがあります。これをそのまま電子レンジで加熱すると発火・発煙を起こすことがあります。

また、金属装飾されたお皿などを加熱すると火花が出ることがあり、これも使用できません。

 

日常の手入れを怠っていた

 

電子レンジは高い周波数の電磁波(マイクロ波)を照射して、食品に含まれる水分子を高速で振動させその摩擦熱で加熱します。

日常の掃除を怠っている場合、庫内が飛び散ったりこぼれたりした食品で汚れています。この汚れにマイクロ波が集中します。

これが繰り返されると付着した食品が炭化します。炭は電波をよく吸収するので、よりマイクロ波が集中し、発火・発煙が発生することがあるのです。

 


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対処方法は?

 

前述の「間違った使用方法」に掲げた電子レンジ全般についての禁止や注意事項を守ることがまずは第一です。

ただし丸いターンテーブルのあるタイプ、ターンテーブルのないフラットタイプでは使用方法の注意点がわずかに違っていたり、オーブンレンジ機能がついている機種もあります。

やはりまず取扱説明書をよく読んで使用方法をよく理解することが大切です。

電子レンジはほとんど毎日、しかも朝昼晩と使用する電気製品の中では特に過酷な利用環境にあります。

定期的に掃除などの手入れをする必要があります。また、調理の匂いとは違う、部品が溶けたようなにおいやビニール臭がする場合はすぐに使用をやめて修理に出す必要があります。

 

 

水分が少ない食品や量が少ない食品などは、加熱時間は短めにして、様子を見ながら加熱しましょう。

また、電子レンジの自動調理メニューは使用せず、手動で加熱時間を設定スましょう。

庫内に食品が付着しないように次のような食品を調理しないようにしましょう。

1.殻や膜のある食品

卵のように膜、銀杏のように殻のある食品は、過熱により内部の圧力が高まり爆発することがあります。爆発すると庫内に食品が飛び散って汚れてしまいます。

2.密封された容器

これも爆発するおそれがあります。穴をあけたり、蓋をとったりして加熱しましょう。

3.飲み物を加熱しすぎない

牛乳などもコップに入れて加熱する場合など加熱時間に気をつけないとコップから吹き出して庫内を汚してしまうことがあります。

4.食品以外を加熱しない

電子レンジは食品調理を目的として設計されています、食品以外のものを加熱すると予期しない爆発の発生などが考えられます。

 

日常の手入れ

 

使用後、庫内は冷めてからふきんなどで付着した油やこぼれた食品をふき取ります。汚れがひどいときは、薄めた台所用洗剤(中性)を布にしみこませてふき取ります。

スチーム機能がついている機種の場合、機密性の高い構造になっているため、スチームを利用しないときも庫内の底や側面に水滴が付着しやすいので特に注意が必要です。

また、庫内に温度センサーがでている場合があります。庫内の拭き取り中、温度センサーには触れないようにしましょう。

 

電子レンジで火災が起きないためにキレイに掃除するコツとは?

 

発火の原因となる庫内にこびりついている焦げを取り除く掃除をします。掃除の前に必ず電子レンジのコンセントを抜いてください。

万が一の感電を防止しましょう。庫内のマイクロ波出口カバー付近は強い力を与えないよう注意しましょう。

また、庫内や周囲のパッキン部分をつよくこすらないように、柔らかい布を使用します。

 


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重曹を使用する

 

庫内の焦げ付きなどの汚れを浮かせるためには、重曹を使うと効果的です。重曹はアルカリ性のため、酸性の油汚れの塊である焦げ付きを分解してくれます。

深めの皿にコップ1杯の水と重曹を大さじ1杯入れよく溶かします。これを普通の調理と同様に電子レンジに入れて、約2~5分間加熱します。

加熱後約30分~1時間ほどそのまま置いておきます。庫内に重曹の水蒸気が充満しこびりついている焦げ付きに浸透していきます。

その後やけどに気をつけながら庫内を拭き取ります。

また、重曹ペーストを作る方法もあります。作り方は、重曹3:お湯1の割合で、ペースト状になるまで混ぜます。重曹ペーストを直接塗り、上からラップでパックをしてしばらく置いておきます。

かなりひどい汚れも楽に拭きとることができます。

 

ひどい焦げ付きには歯磨き粉を利用する

 

重曹が入った水蒸気で浮かせての拭き取りで取り除けないほどのしつこい焦げ付きは、歯磨き粉を使うというのも効果的です。

歯磨き粉には細かい粒子が含まれており、研磨剤入りの洗剤代わりに利用できます。

使い古した歯ブラシに歯磨きと同様、歯磨き粉をつけ、こびりついた汚れを丁寧にこすります。

クレンザーほど目が荒くないので庫内の塗装などを傷つけることは少ないですが、あまり強くこすらないよう注意します。根気よくこすって泡と一緒に浮き出た汚れを拭きとっていきます。

 

レモンを使用する

 

重曹と同じくレモンを使っても効果的です。レモン1個を半分に切ります。大きめのお皿に500CCくらいの水を入れてレモン半分を絞り入れ、絞りカスと残った半分のレモンを入れます。

これを普通の調理と同様に電子レンジに入れて、約2~5分間加熱します。

加熱後約10分ほど、そのまま置いておきます。その後やけどに気をつけながら庫内を拭き取ります。

 

クエン酸や酢を使用する

 

焦げ付きは重曹などを使用するとよいのですが、コンロの油汚れに近い臭いを取るにはクエン酸や酢の利用がおすすめです。

クエン酸の場合は100mlの水に小さじ1~2杯、酢の場合は4~5倍に薄めます。これを約2~3分間加熱します。加熱後約10分ほど、そのまま置いておきます。

その後やけどに気をつけながら庫内を拭き取ります。