玄関先に打ち水をすると涼を感じられて、気持ちが清々しくなるような気がします。打ち水はどのような場所や時間にするのが適しているのでしょうか。

また、そもそもなぜ日本では打ち水をするようになったのでしょうか。打ち水の説明をしたうえで、2018年の打ち水に関するイベントを紹介します。

 


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打ち水の意味や由来は?

 

 

打ち水はどのようにして始まったものなのでしょうか。

 

打ち水の由来

 

打ち水とは、玄関や庭先に水をまくこと、またはまいた水のことを言います。歴史的には茶の湯が完成した戦国時代から安土桃山時代に打ち水が行われるようになったようです。

茶の湯の世界で、お客様をもてなすために玄関先や茶室の入り口などに水をまくことが行われました。

また打ち水には、涼を得るだけでなく、アスファルトなどない江戸時代などには、土ぼこりが舞う街道や玄関先のほこりを沈める目的もありました。

 

打ち水の意味

 

打ち水には、神道の影響も大きく、その場所を清めるという意味があります。

お客様を迎える時には、穢れのない神聖な清らかな場所に迎えたい、というもてなしの気持ちが強く、玄関先などに打ち水をするようになりました。

前述したように、涼を得たり、土ぼこりを抑えたり、という目的もありますが、打ち水には神、道の考え方に立脚する、穢れを払って来客をもてなすという「日本人らしさ」が表れているのです。

 

 

打ち水は効果がある?時間帯はいつがいい?

 

 

現在では、土の上はコンクリートで覆われている場所がたくさんあります。そのような場所でも打ち水には効果があるのでしょうか。

また、打ち水はいつ行っても問題はないのでしょうか。

打ち水イベント

 

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打ち水の効果

 

打ち水をすると気分的に涼しくなったような気がしますが、本当に気温が下がるような効果はあるのでしょうか。

打ち水をする時にはバケツや桶に水を汲みますが、その時に水に触れることもあるので、実際に涼感は感じられるでしょう。

打ち水を行うイベント(詳細は後述)では、実際に1℃から2℃くらいの気温低下が確認されています。

冷房などを利用せずに打ち水をすることは、地球温暖化対策にも効果的です。実際に涼しくなる効果があるのであれば、積極的に打ち水を利用しましょう。

なお、打ち水は水を使うので、水道料金がかかります。そのため、雨水や二次利用水などを利用することをおすすめします。

二次利用水とは、風呂やシャワーの残り水、エアコンの室外機から排出される水、スポーツ施設のプールの水、などを言います。

これらの二次利用水を使って打ち水をすれば、環境対策としても有効な方法になるでしょう。

 

打ち水に適した時間帯と場所

打ち水はどのような時間帯でも効果はあるのでしょうか。

 

打ち水に適している時間帯は早朝、あるいは夕方が適しています。時間帯で言えば午前5時から午後8時の間頃、または午後6時から7時の間頃が良いでしょう。

日中を涼しく過ごすためには早朝に、寝苦しい夜を避けるためには夕方に、それぞれ打ち水をするのが効果的です。

太陽が直接降り注ぐような時間帯に打ち水をするとあっという間に蒸発してしまうので、効果が長続きしません。

また、打ち水をする場所にも工夫が必要です。昔と違って、都会では土が剥き出しになっている場所は少なくなりました。

本来であれば、玄関先の土の部分に打ち水をするのが望ましいのでしょうが。そのような場所がある家はあまりないかもしれません。

その場合には、マンションのベランダなどに打ち水をすると効果があります。打ち水は、水分が蒸発する時に熱を奪う気化熱の仕組みを利用しています。

ベランダやバルコニーには熱がこもりやすいので、打ち水で温度を下げておくと快適に過ごせるでしょう。

アスファルトの道路に打ち水をして、涼を得たいと考える人も多いかもしれませんが、それは逆効果になってしまう可能性が高いでしょう。

高温のアスファルトに打ち水をするとあっという間に水は蒸気へと変化します。熱せられた水蒸気はその場所の温度を上げてしまうことがあります。

 


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アスファルトに打ち水をした直後は一瞬涼しく感じるかもしれませんが、水蒸気にはジメジメした不快な気持ちを、さらに不快にしてしまうという悪い効果もあります。

炎天下での打ち水の作業は重労働ですので、涼しい時間帯に効果の高い場所ですることをおすすめします。
道路の打ち水

 

 

打ち水2018のイベントは?

 

 

日本に根差している打ち水の習慣ですが、打ち水をイベントとして活用しようという催しがあります。

 

打ち水大作戦2018

 

打ち水大作戦は2003年に国土交通省のメンバーなどで、予算ゼロで始まった社会実験でした。実際に気温が1℃下がり、ヒートアイランド現象に効果があることが実証されたのです。

ヒートアイランド現象とは、東京などの都市中心部の気温が郊外の気温に比べて高くなる現象のことを言います。

打ち水による効果が見られたことから、徐々に打ち水は全国に拡大していきました。翌2004年には、ストックホルムで海外発の打ち水が行われました。

2007年には打ち水大作戦開始から5年が経ったことを記念して、全国打ち水会議を開催しました。参加者は961万人にも達しました。

2008年のスペインのサラゴサ国際展覧会では日本の皇太子も打ち水をして、世界に日本の打ち水イベントを紹介しています。

2010年になると打ち水のルールを徹底して、水道水を使わない打ち水をするように定めました。

この年は、記録的な猛暑になっていたこともあり、打ち水大作戦のイベントが各方面から大きな注目を浴びました。

2018年の打ち水大作戦は、7月23日から8月23日を打ち水強化月間と定めています。打ち水大作戦の主催は打ち水大作戦本部で、事務局は日本水フォーラムが担当しています。

打ち水大作戦は全国に広がりを見せており、さいたま市、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、北九州市、などでも同様のイベントが行われています。

 

打ち水大作戦2018

 

埼玉県川口市では、2018年7月28日(土)の午前 10時半から打ち水のイベントを開催します。
場所は、川口銀座通り樹モールにあるドン・キホーテ像前です。

 


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用意した水がなくなったら終了となる予定です。川口では、打ち水文化研究会川口の方々が打ち水の普及に取り組んでいます。

川口市も内陸部でヒートアイランド現象が起きやすい場所です。また、都心に通勤・通学している人も多い住宅地域でもあります。

町工場が多くある場所でもあるので、打ち水による気温低下の効果は多くの人が感じられる地域ではないでしょうか。
象の打ち水

 

打ち水大作戦 in 紀州和歌山

 

和歌山県和歌山市にある伊太祁曽神社でも、2018年7月31日(火) 午後3時から打ち水のイベントが行われます。

伊太祁曽神社とは、日本に樹木を植えて全国を巡ったと日本書紀に登場する五十猛命(いたけるのみこと) を祀っている神社です。

五十猛命は木の神様として一般的には有名ですが、そのために全国の林業や材木商などの関係者による参詣が多い神社となっています。

伊太祁曽神社での打ち水イベントは、2018年で11年目となります。浴衣の着付けサービスも行っています。

打ち水が終わった後には、みんなでシャボン玉を飛ばす企画も用意されています。このイベントは、NPO法人コミュニティーマネーわかやまを中心に行われています。

 

たいとう打ち水大作戦!2018

 

東京都台東区では、7月23日から9月30日までを打ち水推進期間と定めて、夏の打ち水をすすめています。

台東区では、蒸気の打ち水推進期間中に、お祭りなどで団体で打ち水を行う時に、バケツやひしゃくを無料で貸し出しています。

また、環境課の職員がによる打ち水の方法を伝える出前講座も実施しているので、気軽に相談してください。