箸は中国から日本に伝来したようですが、いつ頃日本に伝わったのか正確な時期は不明です。

古事記や日本書紀には神代から箸を使っていたという記述がありますが、最初は宗教的な儀式や祭祀で箸が使われていたものと考えられています。

普段は手を使って食事をしていたようですが、聖徳太子が朝廷の食事に箸を使うようになり、徐々に民衆に広まったとされています。


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古い歴史を持ち、現在でも食事に欠かせない箸ですが、箸の使い方にはマナーがあることは知っていますか。

相手に気持ち良く食事を楽しんでもらうためにも、知っておくべき箸のマナーを紹介しましょう。

 

 

食事中の箸使いでしてはいけないマナーとは?

 

 

箸の基本的な持ち方から説明しましょう。箸は人差し指と中指で上の箸を摘んで、薬指と小指で下の箸を支えます。上の箸だけを動かして、食べ物をつかむようにします。

その際は箸の先の部分、1.5cmから3cmくらいを使うようにして、3cm以上先の部分は使わないようにします。

それでは、してはいけない箸の使い方を紹介します。

 

ねぶり箸

 

ねぶり箸とは、箸についた食材を口や舌で舐め取ることを言います。箸をきれいにするために、ついやってしまいがちな行為ですが見た目に美しいものではありません。

 

箸渡し

 

箸から箸へ食べ物のやりとりをすることを箸渡しと呼びます。亡くなった人を火葬した後に骨を拾う時にこの箸渡しが行われて、骨壷に骨が納められます。

縁起が悪いとされていますし、途中で食べ物を落としてしまう可能性もあるので、マナー違反とされています。

 

そら箸

 

食べ物を食べようとして、箸を手に取ったものの、結局食べずに元に戻すことをそら箸と言います。似たようなものに迷い箸があります。

 

迷い箸

 

どの料理を食べようか迷っていて、あちらこちらと料理の上で箸を動かすことを迷い箸と言います。そら箸も迷い箸もマナー違反です。

食べたいものがないと相手に思われてしまい、失礼な行為に映ってしまいます。また、落ち着きのない人だと思われてしまうかもしれません。

 

握り箸

 

箸の持ち方で、箸を握り絞めて持つ方法のことで、つかむ、挟む、といった箸の機能を果たすことができない持ち方です。

幼児に多い持ち方ですが、早めに直しておいたほうが良いでしょう。食事中に握り箸をすると、相手に対する攻撃とみなされる場合があります。

 

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刺し箸

 

料理に箸を突き刺して食事をすることです。箸の意味がないうえに、見た目にも美しくはなく、非常に失礼な食事作法になります。

 

立て箸

 

ご飯茶碗に箸を突き立てることを立て箸と言います。亡くなった人の枕元や仏壇に供えるご飯には箸を突き刺して立てておきます。

仏事を想像させて縁起がよくないので、食事中には立て箸はしないようにしましょう。

これらを「嫌い箸」と呼び、マナー違反としています。しかし、ついやってしまうような箸に関するマナー違反もあります。

以下のようなマナー違反をしていないかどうか、確認してみてはいかがでしょうか。
箸と豆

 

探り箸

 

お味噌汁などの汁物の茶碗の中を箸でかき混ぜたり探ったりして、自分の好物を探し出して、または嫌いなものを見つけて、食材を選り好みすることはマナー違反になります。

自分の食器の中だから問題ないと考える人もいるかもしれませんが、近くで見ている人にとっては気持ち良いものではありませんし、食事を作ってくれた人に対して失礼です。

 

重ね箸

 

好きなものは何度もたくさん食べたいと思うのは仕方ないかもしれませんが、同じものばかり延々と食べ続けることは重ね箸と言って失礼な行為になります。

特に他所の家で食事をご馳走になるような場合には、気を付けましょう。バランス良く用意された食事を頂くようにすることが基本的なマナーです。

 

噛み箸

 

癖なのかもしれませんが、箸の先を噛むことは噛み箸といって嫌がられます。箸の先は噛むと形が崩れやすく、使いにくくなりますので、止めましょう。

 

涙箸

 

箸の先から料理の汁を落とすことや、箸で摘んだ料理から汁を落とすことは涙箸と言います。見た目にも汚らしいですし、テーブルや卓袱台を汚してしまいます。

以下のような、箸に関するマナーを知っていると一目置かれるかもしれません。

 

渡し箸

 

食事の最中に、食器の上に箸を橋のように渡して置くことを渡し箸と言います。渡し橋は、これ以上はご飯は要りません、という意思表示になりますので、気を付けましょう。

 

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違い箸

 

違う箸を一組にして使うことを違い箸と言います。

あえてファッションでデザインの異なる箸を組み合わせているのかもしれませんが、一般的にはマナーを知らない人だと思われてしまうでしょう。

 

かきこみ箸

 

ご飯茶碗を口に当てたまま、茶碗の中身の食べ物を箸でかきこむように食べることをかきこみ箸と言います。

元気に男の子らしく食事をする印象がありますが、行儀の悪い食べ方です。消化にもよくないですし、止めておいた方が良いでしょう。
割り箸と箸置き

 

寄せ箸

 

箸を使って食器を引き寄せることを寄せ箸と言います。見た目にも下品ですし、一緒に食事をしている人も不快に感じてしまいます。横着はしないようにしましょう。

 

 

箸置きの正しい使い方とは?

 

 

食事をしている時に箸を休ませることがあるかと思いますが、皆さんはどのようにしていますか。

食器に箸を渡して、渡し箸の状態にしていませんか。渡し箸は、上記のように、マナー違反ですし、食事が終わった合図と受け取られかねません。

きちんとした和食のお店では、箸置きが用意されているところが多いのではないでしょうか。箸置きの使い方について説明します。

食事の合間に箸を休める場合には箸置きに箸を置くようにしましょう。

飲み物を飲んだりして箸を休ませる度に箸置きに箸を置くのは面倒に思うかもしれませんが、それが正式なマナーです。

箸を持ったまま飲み物を飲んだり、相手にお酌をすることは行儀作法がなっていないだけでなく、相手にも大変失礼です。箸置きをきちんと利用することが正式なマナーなのです。

 


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お店によっては箸置きが用意されていないようなところもありますが、箸袋などで箸置きを作って利用することはマナー違反なのでしょうか。

箸袋で箸置きを作って、正式な箸置きの代用品として利用することは、一般的にはマナー違反ではありません

テーブルに直接箸を置いたり、渡し箸にするよりも、よほど丁寧な箸の休め方だと言えるでしょう。

しかし、高級料亭や畏まった会席などの席では、箸袋で箸置きを作ることには抵抗があるかもしれません。

箸袋で箸置きを作ることはマナー違反ではありませんが、その場の雰囲気に応じて、箸袋を作るかどうかを決めてはいかがでしょうか。雰囲気を壊すかどうかが判断基準になるでしょう。

箸置きが用意されておらず、箸置きを作る雰囲気でもない場合はどうすればよいのでしょうか。

 

 

箸を直接テーブルや卓袱台に置くことが最大のタブーなので、お皿の端に箸を一文字に並べて置いたり、箸の先を食器に立て掛けておいたりしても良いのではないでしょうか。

箸置きが用意されていない食事に、正式な食事作法を言い出しても対応するのは大変です。そもそも、そのような場であれば、箸置きを用意していないことが無作法です。

したがって、臨機応変に、食事の雰囲気を壊さないように対応すれば問題はありません。
夫婦箸

箸に関するマナーについては、普段から気を付けておくと、いざという時に慌てなくてすみます。

日本人として箸のマナーを身に付けて、美しい食事作法ができるようになると、食事そのものもさらに美味しく感じられるのではないでしょうか。