豆腐には木綿豆腐と絹ごし豆腐の代表的な2種類があることは多くの人が知っていると思います。

しかし、固い豆腐が木綿豆腐で、柔らかい豆腐が絹こし豆腐、くらいは知っていても、それぞれの違いを詳しく説明できる人はどのくらいいるのでしょうか。

木綿豆腐と絹ごし豆腐の違いを詳しく解説します。

 


スポンサードリンク


 

木綿豆腐と絹ごし豆腐の違い

 

 

木綿豆腐は木綿の布で作ったから木綿豆腐、絹ごし豆腐は絹製の布で作ったから絹ごし豆腐、と思っている人はいませんか。残念ながらそれは誤解です。

豆腐の舌触りの違いから、木綿豆腐、絹ごし豆腐と呼ばれるようになったのです。木綿豆腐と絹ごし豆腐の、原料、製法、栄養素、それぞれに適した料理、などについて説明します。
豆腐

 

木綿豆腐

 

木綿豆腐の原料は、大豆です。絹ごし豆腐も、原料は大豆なので、この2つに原料に関しては大きな違いは無いということになります。

次に作り方です。木綿豆腐と絹ごし豆腐の最大の違いは豆腐の製法です。

木綿豆腐を作るときは、最初に大豆を一晩中水に漬けることから始めます。乾燥した大豆は固いので加工に向いていないのです。

そして、水に漬けた大豆を、細かくすり潰すことでペースト状にします。この状態を「呉」と呼んでいます。呉は大豆が豆乳とおからに分かれる前の段階のものです。

呉に水を加えることで、濃さを調整します。濃厚な呉であれば濃い味の豆腐に、薄めの呉であれば淡白なさっぱりとした豆腐になります。

濃度を調整した呉と水を熱を加えて焚きます。この段階では、鍋が焦げ付かないように注意しましょう。

 

 

呉が炊き上がったら、布でろ過します。ここで木綿の布を使うから「木綿豆腐と呼ぶという誤解が生じたのでしょう。

呉を布でこすと、液体の部分は豆乳になります。固形の部分がおからです。
豆乳ににがりを加えると少し固まり始めます。そこで、豆腐を成型するための箱に、布を敷き、その上ににがりを入れた豆乳を流します。

最後に上に重しを乗せて、固めることで、木綿豆腐の出来上がりです。

 


スポンサードリンク


 

食感に関しては、木綿豆腐の方が舌触りがざらざらしていて、豆腐を食べているという実感が味わえます。

また、大豆の味をダイレクトに感じることができるという人もいるので、豆腐本来の味を楽しみたい人には木綿豆腐の方が向いているのかもしれません。

一方で、木綿豆腐の固い食感が苦手な人もいます。重しで水分を切っていることから、食材としての滑らかさという点では絹ごし豆腐には負けているのかもしれません。

それでは木綿豆腐の栄養素には、どのようなものがあるのでしょうか。300gあたりのカロリーは、木綿豆腐は216kcal です。

一方の絹ごし豆腐は168kcalで、木綿豆腐の方がカロリーは多いのです。これは、木綿豆腐は重しでぎゅっと成分を押し固めていることから、栄養価が高くなっていると考えれます。

しかし、木綿豆腐の方が全ての面において栄養価が高いかというと、実はそんなことはありません。

木綿豆腐の栄養成分は水溶性のものが多く、重しを乗せて水を切る時に、栄養分も一緒に流れ出てしまうものが多いのです。

例えば、ビタミンBやミネラルといった成分は、絹ごし豆腐の方が高くなっています。一方で木綿豆腐には、非水溶性のカルシウムや鉄分などが絹ごし豆腐よりも豊富に含まれています。

木綿豆腐は、固い食材なので、焼いたり煮たり炒めたり、色々な料理に利用することができます。

炒り豆腐や豆腐ハンバーグなど、しっかりした食感を楽しめる料理を作ることができます。

また、木綿豆腐のざらついた食感が好きな人であれば、あえて、冷奴で食べてみても面白いかもしれません。

一般的には、冷奴は絹ごし豆腐の方を好む人が多いのかもしれませんが、そこは個人の好みで好きな方を食してみてはいかがでしょうか。
豆腐料理

絹ごし豆腐

前述したとおり、絹ごし豆腐は、木綿豆腐と異なる特別な原料を使っているわけではなく、同じ大豆から作られている豆腐です。

ただし、木綿豆腐とは製法が少し異なります。絹ごし豆腐は、大豆を水に一晩中漬けておく、細かくすり潰すことでペースト状にする、ところまでは木綿豆腐と同じです。

次に、大豆を細かくすり潰した呉を、木綿豆腐を作るときよりも濃い目に調整します。調整した呉を焚きます。

焚いた呉を布で濾して、豆乳にして、にがりを加えて固めることで完了です。つまり、木綿豆腐のように重しを乗せることはなく、水を切ることもありません。

 

 

したがって、呉を濃い目に調整することで、ちょうど良い食感の絹ごし豆腐になるのです。栄養素については、上記のように、木綿豆腐の方が豊富なものが多いのですが、それでもビタミンBなどは絹ごし豆腐がかっています。

ビタミンBは体の代謝を上げる機能があるので、ダイエットに励んでいる人には絹ごし豆腐は適した食材だと言えるでしょう。

絹ごし豆腐は口当たりも滑らかなので、そのまま冷奴で食べることが多い食材でもあります。他にも豆腐サラダなど、素材をそのまま生かすような料理に使われることが多い食材です。

スポンサードリンク



柔らかいので、焼いたり炒めたりすると形が崩れてしまうことが最大の難点だと言えるでしょう。また、実は、木綿豆腐と絹ごし豆腐には食感だけではなく、味にも違いがあるのです。

これは前述した製法の違いによるものなのですが、木綿豆腐は苦味が、絹ごし豆腐には旨味が、それぞれ強いとされています。

したがって、自分の好きな豆腐を使って料理をすることが原則なのですが、よく言われるのは、麻婆豆腐には木綿豆腐を使うべきなのか、それとも絹ごし豆腐を使うべきなのか、という問題です。

どちらでも良い、というのが正しいと思いがちですが、実は、木綿豆腐ではなく絹ごし豆腐をすすめているお店や料理人の方が多いようです。

木綿豆腐は、絹ごし豆腐と異なり型崩れしにくいし、麻婆の味が染み込みやすいから、正解でしょう、と思っている人も多そうですね。

四川料理の麻婆豆腐は、とろっとした食感がひとつの売りです。この食感を出すためには絹ごし豆腐の方が向いているといえます。

決して、木綿豆腐ではいけないというわけではありませんが、多くの有名店では絹ごし豆腐を麻婆豆腐に使っています。

絹ごし豆腐を麻婆豆腐に使う場合の注意点について説明します。絹ごし豆腐の型崩れを防ぐことが最も大切なポイントになります。

そのためには、絹ごし豆腐の水気をしっかりと切っておくことが大切です。そして少し大きめに絹ごし豆腐を切っておくことです。

もっとも大事なのは、優しくかき混ぜることです。激しくかき混ぜることで、豆腐の形が崩れてしまうのです。
麻婆豆腐
このように、木綿豆腐と絹ごし豆腐については、大きくは製法の違いによる差異があります。現在では、単純に木綿豆腐か、絹ごし豆腐か、と単純に区分できない豆腐も開発されています。

また、変わり豆腐として、大豆以外の豆を使った商品も続々と登場しています。しかし、木綿豆腐と絹ごし豆腐以上に圧倒的な存在感を持つ豆腐は現われていません。

それだけ豆腐が日本人のDNAに深く刻まれていることの証なのかもしれません。料理やその日の気分や状態に合わせて、自分が一番食べたい豆腐を選んで食することが大切です。

現在、都会では多くのお豆腐やさんが廃業していると聞きます。

昔ながらのお豆腐やさんにとってみれば、値上げや後継者不在の問題、地価の上昇による事業継続の難しさ、大手資本の豆腐屋との競争、など、厳しい環境であることは間違いありません。

しかし、日本の「豆腐」に関する文化を継続するためには、街のお豆腐屋さんでお豆腐を買ってたくさん食べることがその助けになるはずです。