少し古くなった食べ物を食べようとしていると、家族から「期限が大丈夫かどうか確認してから食べてね」と言われることはありませんか。

確かに多くの食品には賞味期限や消費期限が付いていますが、中には何の期限も記されていない食品もあります。

賞味期限や消費期限とはどのような期限なのでしょうか。また、何の期限も付いていない食品は何か問題でもあるのでしょうか。これらの疑問について説明します。

 


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賞味期限と消費期限は何の期限?

 

 

スーパーやコンビニで品物を買う時に、賞味期限や消費期限を気にしながら商品を選ぶ人は多いのではないでしょうか。

少しでも長く食べられるものを購入したいというのは主婦(主夫)の偽らざる気持ちでしょう。

しかし、賞味期限と消費期限の正確な意味を理解している人はどのくらいいるのでしょうか。

 

賞味期限

 

食品は時間が経つと味が劣化していきます。簡単に言うと時間と共に少しずつ美味しくなくなっていきます。

そこで、「○日までであれば、まだ美味しく食べることができます」という期限を定めることにしました。

この期限を賞味期限と言います。簡単に言うと、美味しく食べられる期限のことです。

どんな食品にも美味しく食べられる期限があるだろう、と考えてしまいますが、そうすると全ての食品に賞味期限を記すことになってしまい、膨大な手間とコストが発生してしまいます。

そこで、比較的品質の劣化が緩やかなものを対象に賞味期限を付すことにしたのです。

具体的には、缶詰、カップラーメン、チーズ、スナック菓子、など冷蔵や常温で保存できる商品です。

ちなみに、「常温」とは日本工業規格(JIS)によると「20度±15度」のことで、5度~35度のことを指しています。

これらの食品のパッケージなどには賞味期限が記載されているはずです。賞味期限は美味しく食べられる期限なので、この期限を過ぎたら食べられなくなるわけではありません。

 


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通常は5日超の保存ができる食品に対して消費期限は記載されますが、食品によって期間はまちまちです。例えば、納豆や卵は短めで10日から2週間くらいの消費期限となっています。

逆にカップラーメンなどは月単位での期限設定になっているのが一般的ですし、缶詰などは年単位になっています。

なお、製品の製造日から賞味期限までが3ヶ月以上の期間があるものは、年月だけで賞味期限を表示することが可能です。

ただし、消費期限を大幅に超えて、あまりにも長期間保存されていたような食品の場合は、食べるのを止めておいた方が良いでしょう。
賞味期限

消費期限

消費期限は、賞味期限と異なり、食べることができる期限を表示しています。

賞味期限は、過ぎても食べることは可能でしたが(常識的な期間内であれば、ですが)、消費期限を過ぎた食品は食べるのを止めておいた方が良いでしょう。

消費期限を過ぎてしまった食品を食べると身体に悪影響を及ぼす可能性があるので、もし消費期限が過ぎた食品が冷蔵庫などにあったら、キッパリと捨ててしまった方が良いでしょう。

賞味期限と消費期限を混同していると、消費期限を少し過ぎているくらいだから食べても問題がない、と誤解してしまうことがあり得ます。

もし誤った認識のままだと、非常に危険な状態になる可能性があるので、くれぐれもこの2つを間違えないようにしましょう。

消費期限は、長期間の保存に適していない食品に記載されるものです。具体的には、お弁当、サンドイッチ、ケーキなどです。

これらの食品は早めに食べないとすぐに傷んでしまいますし、雑菌などが繁殖しやすくなってしまいます。もったいないと思わずに廃棄しましょう。

 


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消費期限を1日過ぎたくらいだから食べても大丈夫だろうと考えがちですが、そこは完全に自己責任の行動になります。

万が一事故が発生しても、消費期限を守らなかった自分が悪いことになります。また、小さなお子さんがいる家庭では、大人が十分食品の消費期限には注意をすることが大切です。

食中毒事件は、最悪の場合は、人命に関わる重大な結果になってしまうことがあります。

少しくらい、という些細な判断が重大な事故になってしまうことを知っておく必要があるのです。

賞味期限にも消費期限にも共通して言えることですが、どちらも商品が未開封の状態で設定されている期限です。

商品を開封してしまった時点で、設定されている期限に意味はなくなってしまいます。

消費期限も賞味期限も、未開封の状態で、表示されている保存方法保存している場合の期限であることは忘れないようにしましょう。

もし、その商品を一度に食べ切ることができず残してしまった場合には、なるべく早く消費してしまうことをおすすめします。

賞味期限も消費期限も、この期限を守っていれば絶対に問題は起きない、というものではありません。

保存状態などで食べ物の状態は常に変化しています。それぞれの期限を過信することなく、保存状態には気を付けて、食材を管理することが重要です。
もやし

誰が決めているの?

賞味期限や消費期限は誰がどのように決めているのでしょうか。賞味期限や消費期限は食品衛生法やJAS法(農林物資の規格化等に関する法律)によって定められています。

かつて、食品衛生法では賞味期限のことを「品質保持期限」と呼んでいましたが、それが「賞味期限」という名称に統一されました。

このように法律で期限が表示される前は、各食品に製造年月日が記されていました。しかし、製造年月日の記載は以下のような理由で反対意見が強かったのです。

一つは「外圧」です。海外の食品には賞味期限が記されていることが一般的で、日本向けにあらたに製造年月日を記載することはコスト高となり、国際間競争の阻害要因になると指摘されました。

 


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食が国際化している中で、日本独自の規格に固執している点が諸外国から批判されたのです。

次に、深夜操業の問題があります。牛乳などを製造している工場では、消費者への印象を良くするために、配達当日の製造年月日を記載するように販売店から強い要望がありました。

しかし、これは深夜労働の強化となり、多くの問題を発生させることとなりました。このような経緯から、賞味期限が記載されるようになったのです。

ただし、生協などの一部の企業では、製造年月日も併記しているようなケースもあります。

消費期限も、賞味期限と同様に、法律で規定されているものですが、法律違反が生じた場合(誤った期限を記載するなど)には、より大きな被害を発生させる可能性があるものです。

 

 

豆乳
2007年に発覚した、洋菓子の老舗である不二家の消費期限切れの牛乳使用事件は、大きな社会問題となりました。

結果的には、不二家の牛乳を使用した商品で健康被害が生じたこととの関連は証明できませんでした。

しかし、タンクの洗浄不足などで大きな被害を出した2000年の雪印手段食中毒事件との連想から、不二家は多くの非難を浴びて、社長の引責辞任や株価の暴落など、社会的に大きな制裁も受けることになりました。

賞味期限も消費期限も、改ざんすることは法律で禁止されています。もし、勝手に改ざんした場合には、処罰の対象となります。

また、上記の不二家の例にもあるように、食品の賞味期限や消費期限のルールに違反することに関しては、一般の人々にも大きな影響があるので、大きな社会的批判が起きることになります。

企業としては、コンプライアンス(法律遵守)の制度をあらため策定する必要に迫られますし、社員教育の徹底も求められます。

このように、賞味期限、消費期限に関する制度を正しく理解して運用することは、消費者はもちろん企業にとっても必要かつ有益なことなのです。