昼寝すると普段の睡眠不足を解消することができるので、スッキリすると思いがちですが、実際は昼寝をして起きた時に、頭痛で気分が悪くなったり、だるくなったりすることがあります。
夜に寝られない代わりに昼間に寝ているのに、なぜ体調が悪くなってしまうのでしょうか。
昼寝をした時に気持ちが悪くなる原因と、そうならないための正しい昼寝の方法について説明します。
昼寝でだるくなってしまう原因は?
昼間に寝ると、どんな場合でも気分が悪くなってしまうかというと、そんなことはありません。スッキリした気分で起きられる場合もあります。
多くの人は昼寝の時間が短いから気持ちが悪くなってしまうと思っているかもしれません。もっとたっぷり長い時間寝ることができれば、だるくなるようなことはないはず、と。
しかし、長い時間昼寝をすれば良いというものではありません。いつまでも寝ていれば、昼寝から起きても気持ちが悪くならない、というものではなく、適切な昼寝の時間というものがあります。
人間が寝る時の体の状態について考えてみましょう。寝てから、しばらくの間は、起きている時の体の状態とあまり変化はありません。
寝てから時間が経ち始めると、呼吸は浅くなり、神経も落ち着いてきて、外界の変化に対する反応が鈍くなってきます。
さらに血圧も低下してきますが、逆に血液の流れが緩やかになることで血管も広がり、体全体がリラックスした状態へと変化します。
この状態になると、夜に寝ている時と変わらない状態になります。昼寝ではなく、夜寝ている最中に急に起こされた場合には、どうなるでしょうか。
気持ち悪くて、不快な状態にはなりませんか。昼寝の場合も、同様なことが体に起きていると考えられます。
つまり、昼寝をしているうちに体中がリラックスした状態になり、完全な睡眠をしている状態へと移行します。
その最中に起きることになるので、血液は太い血管の中を緩やかに流れている状況から、急な活動により血液の流れに加速がつくことになり、頭痛を起こす原因になります。
特に昼寝の場合には、意識の中では少し休んで起きたらまた○○をしなければ、と考えている人がほとんどでしょうから、昼寝から起きたら寝る前と同じ状況や体調で行動ができると考えている人が多いと思われます。
しかし、長時間の昼寝をしてしまった時点で、体調は起きていた時の状況とは大きく変化しているのです。
適切な昼寝の時間とはどのくらいなのでしょうか。実は意外と短くて、15分間から20分間くらいが適切な昼寝時間と言われています。
このくらいの昼寝時間であれば、起きて気持ちが悪くなることはなく、スムーズに活動を再開できるとされています。
例えば、受験勉強で寝不足だから1時間だけ昼寝してから頑張る、という話はよく聞きますが、1時間「も」寝てしまうと、脳や体調を勉強していた時の状態に戻すのには、数時間もかかってしまう可能性があります。
夜寝ている時に1時間しか寝ていないのに起こされて、すぐに全力で勉強をすることが難しい状況になるのと同じことをしてしまっているのです。
短時間の昼寝は、寝るというよりも脳や体に休養を与える時間と考えた方が良いかもしれません。
リラックスすることによる記憶力や体力の回復が昼寝の目的であり、本格的な睡眠とは区別したほうが良いかもしれません。
もう一つ、昼寝をする時には気を付けた方がよい点があります。それは昼寝をすると太るということです。
実はこの問題は昔からいろいろな説が唱えられている疑問でもありました。
「昼寝をすると太る」という人は、昼寝をすることにより、消化が悪くなる一方で食欲が増進するので、太ると言います。
確かに昼間に家で寝ている状態を想像すると、太ることを連想してしまいがちですが、逆に「昼寝をしても太らない」という説もあります。どちらの説が正しいのでしょうか。
最近の研究では「太るか太らないか」には、睡眠よりも肥満遺伝子の有無の方が大きな影響を与える、との考え方が主流になってきています。
それでは、昼寝をしてもしなくても、どちらも関係ないということなのでしょうか。少なくとも、昼寝をすることで、生活習慣が乱れることは確かです。
生活習慣の乱れは代謝の減少と食欲の増加をもたらすこともわかっているので、現在では昼寝は肥満に繋がる可能性がある、というのが一般的な考え方になっています。
昼寝をする時に、夜に寝るように暗い部屋で熟睡するような環境にすることも良し悪しだと考えられます。
脳と体をゆっくり休めるためには、このような環境は全く問題ないと考えられますが、このような環境は「熟睡しましょう」、と言わんばかりの環境です。
短時間で起きられれば何の問題もありませんが、目標としている時間に起きることができず、長時間寝てしまい、体調を悪化させてしまう可能性が高いと考えられます。
もし長時間寝てしまう可能性があり、心配な時には、家族などにしっかり起こしてもらうように頼んでおくことが重要です。
正しい昼寝のコツは?
昼寝をしても気持ちが悪くならないようにするコツや、もし気持ちが悪くなってしまった時の対処法はどのようなものなのでしょうか。
まずは、前述しましたが、昼寝の時間を適切な時間内に留めておくことです。
時間を気にせずに昼寝ができることは幸せかもしれませんが、目覚めた時の不快さを避けるためには、15~20分間くらいの短時間の昼寝が最適でしょう。
昼寝をする環境にも気配りが必要です。体を冷やさないようにタオルケットなどを体にかけて、普段使っている枕で昼寝をすると良いでしょう。
普段寝ている時に使っている枕を使えない環境にいる時でも、頭の位置は高くして寝たほうが血液が頭に溜まらないのでよいでしょう。
人によるかもしれませんが、普段の生活音がある方が昼寝をしやすいし、起きる時も短時間でスッキリと起きることができるという人がいます。
逆に、夜に寝るのと同じ環境でないと昼寝ができない、という人もいます。
一方が正しくて、もう一方が間違っているということはなく、普段の生活習慣の違いなので、こうでなければいけない、ということはありません。
大切なことは、短時間でリラックスして昼寝ができることなので、自分にとって最適な環境を見つけ出すことが重要です。
もし、昼寝から目覚めた時に気持ちが悪くなったらどうすれば良いのでしょうか。気持ちが悪くなる原因は、寝ている間に血行が悪くなったりすることなので、シャワーを浴びることは効果的かもしれません。
寝汗も流すことができますし、温かいシャワーで血行も回復するので、一石二鳥の方法かもしれません。
また寝相の悪い人は、昼寝のような短時間であっても、体が緊張してしまっている可能性があるので、そういう人にとってもシャワーはおすすめの対処法です。
逆に昼寝をし過ぎて頭痛が発生している場合は、血管が太くなっていることが原因です。この場合は温めるよりも、氷や冷却材などで首などを冷やしてあげましょう。
昼寝から目覚めたら、カフェインを含むコーヒーなどを飲んで、意識を覚醒させるように努めることも効果的です。カフェインには血管の収縮効果もあるので、頭痛には良いでしょう。
このように昼寝で体調が悪くなった場合の対処法は、状態によって異なりますので、適した方法を行うようにしましょう。
昼寝を有効に活用するためには、とにかく寝過ぎないようにすることです。昼寝をし過ぎると体調が悪くなることもありますし、何よりも、夜に眠れなくなってしまいます。