高級海老、大きな海老と言われれば何を思い浮かべますか。

 

伊勢海老やオマール海老といったものは、その代表格ですね。

伊勢海老と言われれば、和食でよく使われる高級海老です。


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オマール海老と言われれば、洋食の高級海老の代表格ではないでしょうか。

 

ですが、この2つを見分けることはできますか?

 

2013年に話題になりましたが、覚えているという方も多いかもしれません。

 

ちょうど食品偽装の話題になっていた時のひとつです。

 

名古屋市にある名鉄グランドホテルで提供されていた料理の表記が誤っていたというものです。

 

問題となっていたのは「伊勢海老のテルミドール」という料理です。

 

テルミドールとはオマール海老や伊勢海老など大きな海老を半身に割り、クリーム系のソースをかけその上にチーズをかけて焼いたものです。

 

ですが、この伊勢海老のテルミドールに使われていた海老は実はロブスターであったということが発覚したのです。

ここまでで、伊勢海老、オマール海老、ロブスターという3種類の海老が出てきました。

 

この3種類はどう見分けたらよいのでしょうか。

 

今回は簡単な海老の見分け方をご紹介します。

 

 

オマール海老とロブスター

 

 

実はこの2種類は全く同じものを表しています。

 

ロブスターという名称は英語の「lobster」に由来します。

 

もともとは、ラテン語の「Locusta」から来ています。


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意味は「イナゴ」「バッタ」というものもありますが、この場合は「ザリガニ」という意味で、大型の歩行型海老を総称して呼ぶことがあります。

 

同じものをフランス語では「homard」と言います。

 

発音で日本語表記にした際は「オマール」と呼ぶので、そこが名称の由来です。

 

この「homard」はフランス語でハンマーを意味するものです。

オマール海老の見た目の特徴は大きなハサミですが、これがハンマーにも見えることからそのように呼ばれはじめました。

 

英語圏では「hammer」、ドイツ語圏では「Hummer(フマー)」とも呼ばれています。

 

 

伊勢海老

 

 

日本語では完全に別物として区別されていますが、英語圏ではどのように呼ばれているのでしょう。

 

伊勢海老の英語表記は「Japanese spiny lobster」となっています。

 

ロブスターという文字が見えますね。

 

似たような名前に思えますが、きちんと別物として区別され提供されています。

 

 

オマール海老と伊勢海老の違い

 

 

では、オマール海老(ロブスター)と伊勢海老の違いを明確に分けてみましょう。

 

どこに注目すればよいのか、どのような差があるのかをご紹介します。

 

生物学的違い

 

まずは名称がどのように区分けされているのかというご紹介です。

 

オマール海老(ロブスター)は十脚目(エビ目) 抱卵亜目(エビ亜目) ザリガニ下目に属する海老で、ザリガニの仲間です。


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伊勢海老は十脚目(エビ目) イセエビ科に属する1種ですので、イセエビという種類の海老です。

 

つまり伊勢海老は狭義の海老であり、オマール海老は厳密には海老ではなくザリガニということですね。

 

オマール海老の別名であるロブスターにはザリガニという意味が含まれていますので、その名称通りであると言えます。

 

見た目の違い

 

オマール海老、つまりロブスターはその名の通りザリガニの仲間です。

 

ザリガニを見たことがないという方は少ないでしょう。

 

ザリガニの特徴は第1歩脚、つまり1番前の足が強大なハサミとなっている点です。

 

この大きなハサミが「ハンマー」に見えることが由来で、フランス語でオマールと呼ばれるのがオマール海老と呼ばれる由来です。

 

このハサミは主に威嚇用で使われ、巣となる穴を掘ったり、餌を採ったりするためには口元にある小さな脚を使っています。

 

性格が獰猛で、仲間同士で争うことも少なくないため、漁獲後はゴムバンドなどを用い、ハサミを動かせないようにすることが多いです。

 

ハサミの関節部分には棘があります。

 

反対に体部分には棘が少なく、体表面は滑らかな触り心地です。

 

触覚は2対あり、2番に位置する触覚は体長よりも長く伸びています。

 

体長は50cmを超える大型のものが多く、アメリカ産では120cmを超える種類のロブスターもいます。

 

体色は暗赤色、灰色から薄い黄色などがあり、これは生息する場所の環境に関係すると言われています。

 

全身が美しい青紫色で覆われた個体も存在します。

 

その中でも、遺伝子の異常によりきれいな青色をした個体がいます。

「オマール・ブルー」「青い貴婦人」とも呼ばれるその個体は、200万匹に1匹という割合で見つかります。

 

漁獲量が少ないことから、どうしても価格は高騰しています。

 

伊勢海老は前足にハサミを持ちません。

 

ですが、メスは第5脚、つまり一番後ろの足が小さなハサミに変化しています。

 

触覚は2対ありますが、第2触覚は太く頑丈な殻に覆われています。

 

その根元には発音器官があり、外敵に掴まれるなど命の危機に瀕した時は、そこを鳴らすことで威嚇音を出します。

 

体長は通常20〜30cmほどでオマール海老に比べるとやや小型です。

 

まれに40cmに達する個体もおり、そういった大型個体は1kg近くの重量になります。

 

太い円筒形の体型をしており、全身は暗赤色をしています。

 

もちろんこちらも環境や遺伝子の異常により青くなる個体もいます。

 

全身が棘だらけの頑丈な殻におおわれており、腹部の背側には短い毛の生えた横溝があります。


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英語名の「Japanese spiny lobster」は「日本の棘の生えたロブスター」という意味です。

 

この場合はザリガニのロブスターを表すのではなく、海底面を歩くという意味のロブスターということですね。

 

味の違い

 

味の感じ方には個人差があるため、明確に違いを示すことは難しいかもしれません。

 

ですので、一般的に言われる違いをご紹介します。

 

オマール海老(ロブスター)は弾力が強く、ぷりぷりとした食感が特徴的です。

 

ハサミの部分と体の部分では食感や味が異なるため、部位ごとに違った味わいが楽しめます。

 

伊勢海老に比べるとパサパサとした食感で、どちらかというと大味です。

 

ミソが少ないため、味付けをして加熱して使われることが一般的です。

 

殻は細かく粉砕することで料理に使えるため、捨てるところが少ないのもオマール海老の特徴です。

 

伊勢海老はオマール海老と比べるとやわらかい食感で、身に甘みがあるのが特徴です。

 

生のまま刺身としてもく食べられ、海老自体のミソを味付けにした料理も多いのが特徴です。

 

繊細な味を楽しむことができ、加熱しても筋っぽくなりにくい海老です。

 

殻は食用として使われることよりも飾りとして使われることが多いです。

 

そのため、触覚の部分もついた綺麗な姿であるほど高級なものとして扱われます。

 

価格の違い

 

産地や大きさ、鮮度で異なってきますが、オマール海老は1kgあたり3,000円~5,000円、伊勢海老は1kgあたり、6,000円~10,000円あたりで取引されています。

 

もちろん時価により変動はありますが、この価格帯を目安に変動しています。

 

近年では、伊勢海老の価格高騰もありこの価格の倍近い額で流通することも少なくありません。

 

おおよそオマール海老の1.5倍〜4倍近い価格の差があります。

 

 

まとめ

 

 

オマール海老と伊勢海老は見た目で簡単に見分けることができます。

 

ハサミの有無が1番簡単な見分け方ですね。

 

オマール海老はザリガニの仲間ですので、ハサミがあります。

 

また、伊勢海老に比べるとさらに大型であるというのも大きな特徴です。

 

味わいも異なり、オマール海老は弾力があり淡白な味なのに対し、伊勢海老は柔らかい食感で、身自体に甘みがあります。

 

2種類の海老の特徴や違いを知っておくことで、自分が何を食べているかを把握することができます。

 

ぜひ、今回の知識を役に立ててみてくださいね。