お餅といえば、どちらかというと冬のイメージが強いかもしれません。
ですが、現在は家庭で餅つきなどをする方も減ってき、1年中生産されているお餅は、いつでも食べることのできる食品です。
ですが、お餅ってカビが生えやすいですよね。
特に、梅雨の時期などはジメジメとしており、カビが生えるにはうってつけの環境です。
せっかくのお餅もカビが生えてしまえば台無しになってしまいます。
今回は、カビの生えにくいお餅の保存方法をご紹介します。
あわせて、お正月には欠かすことのできない鏡餅の長期保存方法もご紹介しますので、次のお正月に参考にしてみてください。
なぜお餅にはカビが生えやすいのか
一般的にカビが生えやすい条件というものがあります。
10℃〜35℃くらいの温度、40%以上の湿度、酸素、栄養分といった4つが必要となります。
温度でしたら20℃〜30℃、湿度でしたら80%以上で爆発的に増加してしまいます。
夏はもちろん、20℃〜30℃というのは満たしていますね。
ですが、最近は冬でも暖房器具の普及によりこのくらいの室温というのは珍しいことではありません。
湿度も、夏は特にジメジメとしているので80%以上になる日は少なくなく、40%を下回ることなどほとんどないでしょう。
冬場は風邪やインフルエンザの予防のために、加湿器などを使って湿度を高めているというご家庭も多いです。
少なくとも40%以下の湿度を保っているという方は多くないはずです。
また、お餅にはでんぷん質やたんぱく質、脂質というカビの好む養分が豊富に含まれています。
さらには、お餅自体にも水分が含まれていますので、カビが繁殖するには最適の土台ともいえます。
そこに酸素や温度、湿度といった条件がそろってしまうことで、カビが一気にお餅の上で増殖していってしまうのです。
自宅などで餅つきを行うことがある方は経験をお持ちでしょう。
つき終わったお餅はそのままにはしておきませんよね。
基本的には、ついたお餅は丸めます。
ですが、そのまま丸めようとすると、お餅が指にくっついたりして、なかなか丸まりません。
お餅が指や他のお餅にくっつかないようにするため、つきたてのお餅には餅取り粉と呼ばれる粉を使用します。
この餅取り粉は主に片栗粉を使いますが、実はこの片栗粉がカビをより発生しやすくしているのです。
お餅を保存するコツとは?
お餅を、カビが生えないように長期保存するためには、カビが生える条件を少なくしてやることが重要です。
正しい方法で保存することで、1ヶ月はもちろん半年近く保存することも可能です。
つきたての餅
つきたてのお餅には、さきほどご紹介した餅取り粉がついている状態です。
お餅を丸めるためにはどうしても欠かすことができないのが餅取り粉ですので、保存する際はなるべく粉を落としてから保存するようにしましょう。
また、関西地方では神仏にお供えするお餅の多くは鏡餅に倣って丸いものですし、すぐに食べるお餅も丸く成形したものがほとんどです。
関東地方では、四角いのし餅がお供えされますし、食べられるのもこちらが多いでしょう。
のし餅とはのして伸ばした餅という意味です。
のし餅にする際は、餅取り粉を使わない方がよいでしょう。
基本的にのし餅はお供えすることが多いものですので、少しでも日持ちさせるためです。
もちろん、丸餅にする際も同じ方法を使うことができます。
つきたてのお餅は柔らかいので、形を変えることは簡単ですが、ベタベタとしているので手や他のお餅にくっつきます。
ですので、つきたてのお餅は保存させる予定があるのでしたら、未使用の清潔なゴミ袋などのビニール袋や漬物用の少し分厚めの大きな袋に入れます。
のし餅にする時は、熱いのでやけどなどに気をつけながら、お餅をビニール袋の上からめん棒などで伸ばします。
なるべく厚さが均等になるように丁寧にシワを伸ばしていきます。
手につかない程度のほどよい硬さになったら、お餅を丸めていきます。
のし餅にする時は、2~3時間ほど置いておくと、耳たぶの柔らかさくらいになります。
その柔らかさくらいになれば、ビニール袋からだして包丁で切り分けていきます。
餅取り粉を使わなくてもきれいにはがすことができます。
お餅にまだ熱がのこっているとビニールにくっついてしまうので、完全に冷めるまで置いておいてもよいでしょう。
その状態でも、まだ柔らかいので包丁でも十分切れます。
もし少し切りにくいと感じたら、大根を切りながら餅を切ると切りやすくなります。
大根にはアミラーゼという酵素が含まれていますので、お餅の中のでんぷんを分解してくれるので、結合が弱まり切りやすくなるのです。
保存する時は、アルコールでお餅の表面をふきとってから保存するとよいでしょう。
もちろん口に入れるものですので、焼酎など食用のアルコールを使うほうがよいでしょう。
アルコールの殺菌作用で、カビが生えることを防いでくれます。
ですが、焼酎には独特のにおいがありますので、苦手な方もいるでしょう。
その時はなるべく原材料がお餅に近い米焼酎をおすすめします。
なるべくアルコール度数は高い方が殺菌効果がありますので、甲類焼酎がよいでしょう。
この方法でしたら、鏡餅など飾りながら長期保存させる必要があるお餅の保存にも適しています。
鏡餅は、お餅とお餅の間や土台となる三方との間に、短めの割り箸などを挟んでおくとよいです。
隙間ができ、風通しがよくなりますのでカビを防止します。
そして、2〜3日に1度、ハケなどに塗った焼酎で拭いてやるとよいでしょう。
すぐに食べない部分は、冷凍保存してしまいます。
冷凍焼けを防ぐためにも、お餅は1つずつラップで包みます。
ラップに包まれたお餅を5個程度を目安にして、フリーザーバッグに入れ、冷凍します。
この時フリーザーバッグの中の空気をよく抜くことが長持ちさせるコツです。
使う時は、オーブントースターなどで温め、食べることができます。
ですが、この方法ですと冷凍庫の容積を圧迫してしまいます。
お雑煮などにする分は、水餅として保存するほうがよいでしょう。
冷蔵庫などがなかった時代にも使われていたお餅の保存方法です。
蓋付きの密封容器に、お餅が完全に浸かるように水を入れ、その中にお餅を入れます。
この方法は、お餅と空気の触れ合いを遮断してカビを予防する方法です。
ですので、お餅が少しでも水から出ているとそこからカビが生えてしまいます。
お餅を入れたら、しっかりと蓋はしておきましょう。
冷暗所で保管は可能ですが、可能でしたら冷蔵庫で保存するようにしましょう。
水はできる限り毎日、少なくても2日に1回は取り替えるようにするほうがよいです。
万が一水が腐ってしまうと、お餅も傷んでしまいます。
水を清潔に保ち、正しく保存できていれば約1ヶ月は保存することが可能です。
わさびやからしと一緒に保存することでも長持ちさせることができます。
わさびやからしに含まれる辛み成分であるアリルイソチオシアネートという成分が殺菌作用を持ちますので、カビが生えにくくなります。
お弁当などが傷まないようにするワサビシートと同じ原理です。
保存容器に入れる際に、数ヶ所にお弁当用のカップに入れたわさびやからしを入れておくとよいです。
この時にチューブのものを使っても構いませんが、おすすめは固めに溶いた粉タイプです。
チューブのものしかなければ、そちらを使っても構いません。
賞味期限の切れたものがあれば、食用ではないので使ってもよいですね。
乾燥したら取り替え時ですので、新しいものに替えましょう。
この方法でも正しく使えば1〜2週間は保存できます。
辛み成分が苦手だという方は、保存容器の中にカイロを貼っておくとよいです。
市販のカイロの多くは、中の鉄分が酸素と結合し、温かくなるものです。
ですので、保存容器内の酸素を使ってくれます。
それにより、カビが生えにくくなります。
市販のお餅
市販のお餅は個包装されていることが多いです。
その場合は、その個包装の袋ごと冷凍保存してしまいましょう。
個包装でないタイプは、ラップに包んでフリーザーバッグに入れ、冷凍保存します。
その際に、アルコールで消毒してやるとよいですね。
鏡餅は真空パックにされているので、そのままでも長持ちさせることができます。
カビを予防するにはどうしたらいい?
まずは、お餅の表面を殺菌することです。
甲類焼酎などのアルコール度数が高い、食用アルコールで拭きます。
冷凍保存する際は、冷凍焼けを防ぐためにも1個ずつラップに包んでください。
それをフリーザーバッグに入れ、中の空気をできる限り抜き、冷凍します。
冷蔵庫で保存する際は、わさびやからし、カイロと一緒に保存するか、水餅にしてしまいましょう。
わさびやからしは乾燥したら交換するとより長持ちさせることができます。
水餅にする際は、水から餅が出ないようにしましょう。
最低でも2日に1回、できれば毎日水を取り替えて水が腐らないようにすることが長期保存のコツです。
冷暗所の保存でもいいですが、最近は部屋の温度が高いことが多いですので、やはり冷蔵庫での保存が無難です。
カビの取り方は?
様々なカビ対策をしていても、お餅にカビが発生することはあります。
その場合は、お餅をどうすればよいのでしょうか。
昔はよくお餅につくカビは食べても問題はないと言われていました。
ですので、多少カビが生えてもそのカビの生えた部分を削って食べればいいと思っている方も少なくはないのではないでしょうか。
たしかに、カビの種類によっては毒性を持たないので食べても問題ないものもあります。
また、毒性のあるカビであった場合、中毒やアレルギー症状を引き起こしたり、高い発がん性を持っているものもあります。
なによりも、お餅に生えたカビを食べても大丈夫という科学的根拠はありません。
また、カビは表面に見える部分だけを削り落としても、目に見えない根の部分は残っています。
その毒性は熱にも強く、食べられるように加熱したくらいでは菌自体は死んでも毒素は消えません。
カビが発生してしまったら基本的には対処方法がありません。
ですので、発生しないように対処することが大切です。
もしどうしても食べたいのであればカビが生えているところから3cm程度は切り落としてから食べましょう。
ですが、あくまで自己責任で行うようにしましょう。
ベストは、カビの生えたお餅は廃棄することです。
まとめ
お餅はカビが生えやすい食品ですが、正しく保存することで長期の保存が可能です。
つきたてのお餅は、アルコールなどで表面を消毒してから保存しましょう。
アルコール保存は、常温で置くことの多い鏡餅にも使える方法です。
市販の場合、個包装であればそのまま冷凍してもよいです。
万が一カビが生えてしまったら、そのお餅は廃棄してしまうことが無難です。
どうしても食べたい場合は、見えているカビよりも大きく切り落としてから食べましょう。
ですが、あくまでも自己責任ですよ。