紅葉狩りは考えてみると不思議な言葉です。キツネ狩りやウサギ狩りなどは実際に狩猟を行いますし、ブドウ狩りやリンゴ狩りなどでは狩りはしないにせよ実際に果物を持って帰ります。

しかし、紅葉狩りは紅葉を見に行くだけで実際に紅葉を持ち帰るわけではありません。それなのになぜ紅葉狩りと呼ばれるのでしょうか。

紅葉狩りの由来やマナーを説明して、2018年の地域ごとの紅葉シーズンについて説明しましょう。

 


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紅葉狩りの意味由来は?

 

 

「狩り」には狩猟という意味もありますが、山や野原で自然を鑑賞すること、という意味もあります。

昔は、実際に食料を手に入れるために狩りをしていましたが、平安時代になり貴族が登場すると自分たちでは狩りをせずに自然を愛でることを大切だと思う人々が増えてきました。

そういった人々が花や草木を鑑賞することを「狩り」と呼ぶようになったのです。今でこそ「お花見」という言葉になっていますが、昔は桜の花を観賞することを「桜狩り」と言っていた時代もあったのです。
赤い紅葉
このように秋の風物詩である紅葉を鑑賞することを「紅葉狩り」と呼ぶのはわかりますが、実は紅葉狩りには鬼女伝説も関わっているのです。

現在の長野県に戸隠村という場所があります。戸隠蕎麦で有名な土地ですね。

昔この戸隠村に紅葉という女性が住んでいました。最初の頃は村人とも仲良く暮らしていましたが、そのうち仲間を増やして悪事を働くようになったそうです。

この紅葉一味の根城が「鬼の岩屋」という場所でした。紅葉一味の悪行は朝廷の知るところとなり、平維茂(たいらのこれもち)に紅葉退治の命令が下されました。

 


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紅葉がお坊さんに化けて平維茂の陣に入り込んだり、平維茂が紅葉に毒入りの酒を飲ませようとして失敗したりとなかなか決着がつきませんでしたが、竜虎ヶ原という場所が決戦地となりました。

紅葉は妖術を使い鬼に化けて平維茂を悩ませましたが、平維茂は八幡大菩薩を念じてついには紅葉を討ち果たしました。

紅葉だけではなく、残党全員を打つことに成功した平維茂は勝どきを上げたのですが、その場所は現在では「安堵ヶ峰(あんどがみね)」と呼ばれています。

平維茂は凱旋したものの、この時の傷が原因で亡くなったと伝えられています。この鬼女の紅葉を「狩る」という伝説も、紅葉狩りの由来のひとつとなっているのです。
山と紅葉

 

 

楽しむべきコツや守るべきマナーは?

 

 

紅葉狩りを楽しむためには、マナーを守る必要があります。自分勝手な行動をして、周りの人に迷惑をかけてはいけません。

秋の行楽シーズンになると大勢の人が紅葉狩りに行きますので、有名な紅葉狩りのスポットはたくさんの人が押し寄せて渋滞が発生して、駐車場も満杯になってしまうでしょう。

そんな時こそきちんとルールを守ることが重要です。駐車禁止の場所や他人の家の庭や車庫の前などに車を止めることは絶対にやめましょう。

止められた人が迷惑するのは当然ですが、止めた側も警察に事情説明に行ったり車を取りにいかなければならなくなったりで、いっしょに紅葉狩りに行った家族や友人にも迷惑がかかります。

交通ルールはきちんと守ることが最低限のルールです。紅葉の季節は冬が近付いている季節なので、時間帯によっては思っていた以上に寒くなる場合があります。

また紅葉を楽しめる場所は山の中のことが多いと思われますので、平野部よりも少し気温が低いでしょう。

したがって、寒くない服装で紅葉狩りに出掛けるようにしましょう。防寒具を持参することも忘れないでください。

また、山道を歩くことも多くなるので、歩きやすい靴を履いて紅葉狩りに出掛けるようにしましょう。ハイヒールやすべいやすい靴では危険です。

 


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きれいだからといって紅葉の枝を折って持ち帰るようなことも、絶対にしてはいけません。場合によっては、不法侵入や器物損壊などの罪に問われる可能性もあります。

お花見とは異なり紅葉狩りをしながら大宴会をすることはないかもしれませんが、紅葉をみながらお弁当を食べたりお茶を飲んだりすることはあるかもしれません。

自分で出したゴミは自分で持ち帰るか指定の場所に捨てるようにしましょう。

大勢の人が紅葉狩りには押し寄せるので、ゴミを放っておくとあっという間にゴミだらけになってしまいます。

せっかく美しい紅葉を観賞しようと思っていたのに、周辺がゴミだらけでは気持ちが萎えてしまいます。

ゴミと同様に気を付けなければならないのは煙草の吸殻です。空気が乾燥してきている時期なので、火のついた煙草を放置すると火災が発生してしまう可能性もあります。

最近では喫煙者には厳しい視線が向けられることが多いようですが、紅葉を大勢の人が楽しむような場所では、少し煙草を吸うのを止めてみるのも良いかもしれません。

たくさんの人が気持ち良く美しい紅葉を楽しめるように、みんなで協力して紅葉狩りができるように努めましょう。
滝と紅葉

 

 

2018年の紅葉シーズンはいつ?

 

 

紅葉は日中の最低気温が8℃以下になると色付き始めて、5℃以下になると一気に紅葉が進むと言われています。

その他の条件としては、昼と夜の気温差が大きいこと、平地よりも斜面であること(日光のあたる面積が広くなるので)、空気が澄んでいてきれいなこと、適度に水分があること、などが揃うときれいな紅葉が見られます。

日本列島は南北に長く、また場所によって標高も異なりますので、地域や場所によっては紅葉の進み方が全然違います

地域ごとに紅葉の見頃の時期を説明します。

 

北海道・東北地方

 

基本的には北の方から早く寒くなりますので、北海道や東北地方での紅葉の見頃は日本でも最も早く9月上旬から11月上旬となります。

特に高い山などにおいては9月にはすでに山が色付いてきます。

例えば、北海道の大雪山では9月上旬~10月上旬頃が、山形県と宮城県の間に位置する蔵王連峰では9月下旬~11月中旬頃が紅葉の最盛期となります。

 

関東・甲信越地方

 

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関東・甲信越地方は、北海道や東北地方に次いで紅葉するエリアで、観光地も多いので紅葉狩りの季節になると多くの観光客が訪れる地域でもあります。

関東・甲信越地方の紅葉狩りの最盛期は、10月上旬から12月上旬とされています。

 

 

有名な観光地である栃木県の日光は10月上旬~11月中旬頃、千葉県の養老渓谷は11月下旬~12月上旬頃、東京都西部の高尾山は11月中旬~12月上旬頃がそれぞれ見頃です。

また、東海地方の神奈川県の箱根では10月下旬~12月上旬頃、山梨県の河口湖では10月下旬~11月中旬頃が最も紅葉が美しい時期でしょう。

 

中部地方

 

高い山が多く、紅葉になると多くの人が訪れる中部地方では、10月下旬から12月上旬が紅葉の見頃になります。

富山県の黒部渓谷は10月下旬~11月上旬頃が、静岡県の天城では11月下旬~12月中旬頃が紅葉の最盛期です。

 

関西地方

 

あまり高い山はありませんが奈良・京都などの観光地を抱える関西地方は紅葉を愛でるのにふさわしい場所でもあります。10月下旬~12月上旬頃が紅葉の最盛期です。

京都の嵐山では11月中旬~12月上旬頃が紅葉の最盛期になりますし、同じく京都の大原では11月中旬頃が見頃となります。

 

中国・四国・九州地方

 

日本列島では最も紅葉が遅く見られる場所です。10月下旬から11月下旬が紅葉の最盛期となりますが、北海道や東北地方に比べると、場所によっては2カ月以上のタイムラグがあります。

このように地域によって紅葉の最盛期は異なっていますが、マナーを守って紅葉の美しさを楽しむことは日本全国共通の季節の行事だと言っても良いでしょう。