柔らかい上質な肉はとても美味しくて大満足ですが、逆に固い肉だとがっかりしてしまいます。
せっかくであれば柔らかい肉を食べたいものですが、なぜ肉が固くなるのでしょうか。固い肉の原因と柔らかくする方法について説明します。
柔らかくて美味しいお肉を食べましょう。
そもそも肉が固い原因は?
肉が固い、というのは、そもそも生肉の状態で肉が固い状態である場合と肉を焼いた時に固くなる場合の2つのタイプがあります。
肉を焼く前から固いというのはどのような原因があるのでしょうか。豚・牛を問わず、赤身の肉では時々固い部位があります。
良く動く筋肉のような場所の赤身肉は脂肪が少なく固い肉になっている場合があります。逆にあまり動かさない部位の肉は柔らかい状態になっています。
上質な牛肉や豚肉であっても、部位によっては固い状態のものがあるのです。また、肉の処理方法を間違えても固い肉になってしまう場合があります。
肉の筋や繊維の部分を取り除こうとして残してしまったりすると、食べる時に引っかかってしまい、固い肉と感じてしまいます。
丁寧な下処理を行うことで、固い肉ではなく柔らかい肉とすることも可能なのです。次に焼いた肉が固くなる場合について説明します。
まず考えられるのは肉を焼き過ぎてしまうことです。肉は熱が入ると固くなりますが、高温で長い時間焼いてしまうと水分が必要以上に蒸発してしまいます。
肉の柔らかさは水分によるところが多いのです。水分がなくなっていけば肉は固くなってしまいますし、場合によってはパサパサの状態になってしまうこともあります。
焼き過ぎは、焼き肉やステーキには大敵なのです。
レストランやステーキハウスで肉を食べる場合には、プロの料理人が調理をするのであまり心配はいらないでしょうが、自宅で調理をする場合には火加減には十分に注意をすることが必要です。
調理の方法によって肉が固くなってしまう場合もあります。肉に下味を付けた方が美味しくなる場合もありますが、順番を間違えてはいけません。
例えば、鶏肉などを煮る場合ですが、最初に砂糖やみりん、日本酒などで煮込んだ後に、醤油などで煮込むようにすると柔らかく仕上げることができます。
最初から全ての調味料と一緒に煮込んでしまうと肉が固くなってしまいます。肉に火が通ってから塩分を含む調味料を使った方がよいでしょう。
最初に醤油や塩などで肉を煮てしまうと、肉の表面が締まって固くなってしまうのです。
塩の使い過ぎにも注意しましょう。肉料理に塩を多く使ってしまうと、水分が抜けて肉が固くなってしまいます。
肉を半冷凍、あるいは未解凍の状態で調理しても固くなってしまいます。家で調理をする場合には肉をきちんと解凍できてない状態で、焼いたり煮たりしてしまうことはありませんか。
肉が解凍されて柔らかい状態になる前の、凍っていて固い状態のまま熱が入ると肉はその固い状態のまま焼かれたり煮られたりすることになります。
肉を室温に馴染ませてから調理をするように気を付けると、肉が固くなりにくくなります。
このように肉が固い原因は、部位による固さ以外は、人の手による処理や調理の問題であることがわかります。
この肉は安いから固い、ということもあるかもしれませんが、自分の間違った調理方法に原因があるかもしれません。
どのように処理すれば柔らかくなる?
それではどのように肉を処理すれば柔らかくできるのでしょうか。最初に生肉を柔らかくする処理方法について紹介します。
前述したように、筋や繊維が残っていると食べたときに固く感じてしまうので、筋や繊維部分を取り除くことが重要です。
豚肉の場合には筋が残っていると肉が反り返ってしまい、満遍なく肉が加熱されない危険性があります。
豚肉の繊維を細かく切断することで肉の反り返りも防止できますし、固い食感も避けることができます。また赤身肉の繊維にも切り込みを入れておくと柔らかく感じます。
鶏肉の場合も、筋があると固く感じてしまいます。
豚肉と異なるのは鶏肉の内部に筋が残っている場合があることです。そこで、鶏肉の筋は肉から引き抜いてしまうことが重要になります。
また、鳥の胸肉は厚みがあるので、繊維を切断するように包丁を入れると食べる時に固さを感じなくなります。
肉の繊維を柔らかくするためには、肉を叩くという方法もあります。包丁の刃の背の部分で肉を叩いて繊維を壊して柔らかくするのです。
料理用品を販売しているお店では、肉専用のハンマーを扱っているところもあります。トンカチの先が金属状のデコボコした形になっているものです。
すりこ木や綿棒を使って肉を叩いても良いでしょう。安い上等ではない肉でも、このような下処理をきちんと施すことで柔らかい美味しい肉にすることができます。
次に調理方法などで肉を柔らかくする方法を紹介します。肉に火を入れる前に、コーラに漬けておくと肉が柔らかくなります。
コーラに含まれている炭酸(炭酸水素ナトリウム)には、筋や繊維の主要な成分であるたんぱく質を分解する力があります。
さらに、コーラに含まれている砂糖には、水分を保つ力もあります。したがって、肉を焼いた時にも水分が抜けにくくなるのです。
コーラに漬けておく時間は10分くらいで十分です。もしコーラの匂いが気になるような場合には、水でよく洗えば問題はありません。
肉をパイナップルに漬けることでことで柔らかくなることは多くの人が知っているかもしれません。
海外では、消化が良いからとハンバーガーに肉と一緒にパイナップルを挟むものもあったりします。
パイナップルは果汁100%のジュースや生のパインを使うようにしましょう。缶詰のパイナップルではあまり効果がない可能性が高いと考えられます。
パイナップルには、たんぱく質を溶かす酵素があるので、コーラと同様に、肉の繊維や筋を溶かしてくれます。缶詰のパイナップルにはこの酵素が少ないのです。
ただし、パイナップルの酵素は強力なので長く漬けすぎると肉が柔らかくなり過ぎてしまうので、30分くらいにしておきましょう。
玉ねぎにも、肉を柔らかくする酵素が含まれています。すりおろした玉ねぎに30分くらい肉を漬けておくと柔らかくなります。
玉ねぎの場合は、パイナップルほど酵素が強いわけではなく、そのまま調味料としてもソースなどに使えますので、便利かもしれません。
ヨーグルトの乳酸菌にも肉の繊維を柔らかくする力があります。肉をヨーグルトに1時間~2時間くら漬けておくと、乳酸菌が肉に染み込んで柔らかい肉に変えてくれます。
ヨーグルトも玉ねぎと同様に、そのまま調理に使うことができるので、便利な食材です。また、ハチミツにも肉を柔らかくする力があります。
肉の表面にハチミツを塗ってから30分ほどしてから焼くとしっとりとした柔らかい肉の味を楽しむことができます。
ハチミツをたくさん塗り過ぎると甘過ぎる肉になってしまうので気を付けましょう。また、舞茸にも肉を柔らかくする機能があります。
舞茸には、タンパク質を分解する酵素である「プロテアーゼ」が多く含まれています。
この酵素は結構強力で、茶碗蒸しに舞茸を入れないのはプロテアーゼが卵のたんぱく質を壊してしまうので固まらくなってしまうからです。
このように工夫して、調理をする前に処理しておくことと、前述した調理の手順を守るようにすれば、肉が固くならず美味しい柔らかい肉を食べることができます。
高いお金をかけて高級な肉を食べることばかりが、美味しくて柔らかい肉を食べる方法ではないのです。